現役東大生が教える東大合格のための生物の勉強法

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「東大=最難関」というイメージから、東大生物もとてつもなく難しいのでは?と考えてしまいがちかではないでしょうか。

どんな問題が出ているのかと思って過去問を見てみた日には、びっしりと書かれた問題文と記述問題に「この問題で点数が取れるようになるのか?」「生物選択でよかったのかな…」と不安を感じてしまうかもしれません。

しかし実のところこれらの問題はすべて、基礎をしっかりと積み上げ、思考力・記述力といったプラスαの力を伸ばすことで太刀打ちできるように作られています。焦らず一歩一歩実力をつけていきましょう。

ここでは、実際に筆者が東大に合格するために行った、なるべくスムーズに学力を伸ばしていけるための東大生物の勉強法を紹介していますので、参考にしてみてください。

1.はじめに知っておきたいこと

東大生物は独特の問題形式と傾向を持っています。

それぞれを理解したうえで、目標点数の目安を決めてから学習に取り組むとスムーズです。

1-1東大生物の形式

東大生物は大問3つで構成されています。

・動物分野から一題(第一問が多い)
・植物分野から一題(第二問が多い)
・遺伝や分類、進化、多様性などの総合問題から一題(第三問が多い)

というのが例年の構成です。
とても大雑把なくくり方ですが、生物のあらゆる分野から毎年まんべんなく出題がされています。

各大問には3つ程度の文章がのっていて、それぞれが生物学上の発見事実や、実験について解説したものです。それらの文章を読み解いて答える考察問題が大半で、その多くが記述式問題です。一方で、各大問には生物の基礎を問う知識問題も、必ず何問か出題されています。

したがって東大生物では

・生物全般にわたる確実な基礎知識
・問題文を読解して考察する思考力
・考察内容をわかりやすく伝える記述力

が求められると言えます。

1-2東大生物の傾向

東大生物の問題はどれも最先端の研究を題材にしたものです。
しかし問われる設問そのものは決して高校の指導要領を超えません。

基礎をしっかりと積み上げ、問題文の情報と自分の持っている知識を組み合わせれば解けるようになっています。
また最先端の研究を題材に持ってくるからこそ、研究が盛んな分野は必然的に出題頻度が高くなります。なかでも遺伝子操作や遺伝子発現に関する問題は毎年必ず出題されています。
したがってこの分野は特に力をいれて対策することが大切です。

1-3目標点数について

はじめに東大理科について形式をおさえておきましょう。

東大理科
・1科目60点の配点
・2科目合わせて150分の試験時間

「2科目合わせて150分」というのは、それぞれの科目に何分間かけてもいいし、行ったり来たりしてもいいので、150分間のなかで生物・化学・物理・地学の4科目から選択した2科目を解くということです。

時間配分が自由に決められるので、極端なことをいえば
「75分生物にかけて30点+75分化学にかけて30点=60点」と、
「150分生物にかけて60点+化学は解かず0点=60点」
のどちらの戦略を選択しても問題ありません。

したがってもう1つの理科の選択科目と合わせて考慮して、理科全体で最も効率よく高得点を取れる戦略と、それぞれの目標点数を考えることをおすすめします。

今回の記事を書くうえで参考にした、目標点数の目安は以下の通りです。

20〜29点…生物があまり得意ではなく、生物以外の他の科目でカバーすることを考えている人
30〜44点…生物は標準くらいの学力で、合格者平均点くらいを取りたいと考えている人
45点以上…生物は得意なので、高得点を取ってリードしたいと考えている人

もちろんこれはあくまで目安です。

科類によっても合格最低点数は変わりますし、理科以外の他の科目とのバランスも考慮する必要があります。目標点数のことはなんとなく頭の片隅に置いて、基礎から勉強を進め、余力次第で徐々にステップアップしていくのがいいでしょう。

1-4学習計画・スケジュールについて

この記事で述べている勉強法についてですが、目安としてはだいたい本番の受験の1年前から始めれば間に合うくらいのスケジュールで考えています。
もちろんこれは目安なので他の科目の勉強計画との兼ね合いも考慮して、自分の学習計画を決めていきましょう。1年以上前から始めても、もちろん構いません。

ただし過去問については、目標点数に関係なく、遅くとも9月には解き始めるのがベターです。それまでに過去問を一度解いて、なんとなく雰囲気を掴んでおくことで、本番に向けての対策を余裕をもって行うことができます。

特に過去問研究をしっかりしたい!という場合は夏休みには着手し始めることをおすすめします。9月に入り本番が近づくにつれ、他の科目の勉強も立て込んでくるため、時間的な余裕がなくなってくるからです。

2.勉強を進めるうえでの注意点

具体的な勉強法を紹介する前に、勉強を進めるうえでの注意点を2点述べておきたいと思います。

・『いきなり過去問を解き始める』はNG
対策が遅れがちになって、受験まで時間がない!というときに陥ってしまいやすいパターンです。確かに過去問を解くことは二次試験対策をするうえで外せません。しかし基礎が不十分なまま過去問を解き始めても、用語の意味があいまいだったり、生物学的な思考に慣れていなかったりするので、十分な学習効果が得られません。過去問には基礎をしっかりと固めてから取り組んだほうが、最終的に取れる点数は高くなります。

・『記述問題を手を動かさないで勉強する』はNG
記述問題の対策をずっとしていると、解答を書く手が疲れてきたり、文章を組み立てるのが面倒になってきたりして、「キーワードだけ分かればあとは解答見ればいいや」という気持ちになることもあると思います。でも記述問題対策は「頭で解答を考える」→「実際に手を動かして文章の形にする」という一連の作業をして初めて意味があるものです。考えた答えが実際に書いてみるとまとまらなくて、考察が不十分だったことに気付く、ということもあります。
必ず手を動かし、解答を紙に書いて勉強するようにしましょう。勉強が思った通りに進まないときは誰でも不安になったり、焦ったりしてしまいます。しかしだからといって間違った勉強法で勉強していては、伸びるはずの学力が伸びなくなってしまい、もったいないです。

では、以上のことに注意して勉強を進めていきましょう!

3.東大生物でまず20点確実に取る勉強法

東大生物では、語句の穴埋めなど生物の基礎知識さえあれば解ける問題をしっかりと正解していけば、確実に20点は取れるようになります。なのでまずは基礎をしっかりと固めます。
考察問題を考えるときの土台にもなるので、さらに高得点を目指す場合も基礎作りは必須です。

3-1まずは教科書でインプット

まずは教科書を何回か読んで生物全分野の基礎概念を理解しましょう。

生物の基礎概念を解説する参考書に関してはさまざまな参考書が出版されていますが、一番に教科書をおすすめします。

・学習指導要領に忠実
・コンパクトに全範囲がまとまっていて、さらっと読み通せる
・学校で配られる

という理由からです。

教科書が手元にない、あるいは補足的な参考書が欲しいという人には、以下の参考書をおすすめします。

■生物用語集(駿台文庫)
(基礎事項が一冊にまとまっていながら、カラーの図が豊富で見やすいです。教科書と比べると少し情報量が多く、詳しくのっています。辞書として使うのにも適している一冊です。)


■大学入試の得点源 生物基礎[要点] / 大学入試の得点源 生物[要点](ともに文英堂)
(覚えるべき最低限のラインの内容のみに絞って、漏れなく載せてあります。図もあり、とにかくコンパクトに情報を整理して、概要を掴みたい!というタイプの人にはとても重宝すると思います。)


この段階ではまだ用語を完璧に暗記しなくても大丈夫です。大切なのは生物学的概念を一度自分のなかで咀嚼して理解しておくことです。
例えば、「転写」や「翻訳」がどういうものかきっちり説明できなくてもいいので、
「DNAからRNAが転写されてリボソームで翻訳される」と言われたとき「ああ、あのことか」と分かればこの段階はクリアです。

3-2基礎レベルの問題集を解く

おおまかなインプットができたら、つぎは基礎レベルの問題集を使って本格的に知識を頭に入れていきましょう。インプットのためのアウトプットをします。

用いる問題集はこの3冊のいずれかをおすすめします。いずれか1冊を進めていけばいいかと思います。ここで紹介している問題集以外にも、教科書傍用問題集が学校で配られている場合などはそちらでも全く問題ありません。

■リードLightノート生物基礎 / リードLightノート生物(数研出版)
(特に生物に苦手意識がある人におすすめします。書き込み式のノート形式の参考書で要点を無理なく覚えていくことができます。)



■生物(生物基礎・生物)入門問題精講(旺文社)
(解説が問題のすぐ横についていて見やすいです。内容は問題演習と基礎知識の確認が半々くらいで、両者をバランスよくやりたい人向けです。)

■理系標準問題集 生物(駿台文庫)
(解説にポイントがコンパクトにまとまっていて、暗記にも重宝します。基礎レベルの問題が過不足なく載っている印象です。問題演習を中心にやりたい人向けです。)

<進め方のポイント>
・問題を解いて、間違えた部分や足りない知識は教科書や参考書で再度確認し直す。
このとき大切なのは、用語はもちろんですが、「流れ」を確認するということです。
たとえば血糖値調節の仕組みについて、「インスリン」「ランゲルハンス島」といった用語を覚えるだけでなく、「血糖値が上昇すると間脳視床下部が刺激され、副交感神経を伝わって膵臓のランゲルハンス島B細胞からインスリンが放出される。」といったような仕組み全体を覚えます。
ストーリーを頭に入れることで、知識と知識が網の目のようにつながりあい、覚えやすく・忘れにくくなります。この作業を繰り返して、生物の地図のようなものが頭のなかに描けるようになれば完璧です。

・記述問題の解答は覚えてしまう。
基礎レベルの問題集の記述問題の解答は、基礎知識を過不足なく簡潔に説明しているので、インプットに最適です。また東大の過去問で全く同じ問題が出ることもあります。覚えるときは、もちろん一言一句ではなくて、話の流れ・キーワードを覚えれば十分です。

・問題集は何冊も解くより、一冊を何周かして、解けない問題は完全に潰す。
こうすることで全範囲の内容を暗記することができます。基本的な用語や概念をおおむね理解し、人に説明できるくらいにまでなれば、この段階はクリアです。
特に、先述した遺伝子操作・遺伝子発現に関する分野に関しては、完璧に説明できるようにしておきましょう。

3-3【番外編】センター試験対策について

東大を受験する場合、センター対策がおろそかになりがちで、二次の勉強とどう両立するか悩みどころです。
しかし生物に関しては、これらの勉強法はセンター試験対策にも有効です。上記の方法で基礎をしっかり固めれば、あとは過去問を解くだけで十分かと思います。
また基礎固めの最終確認に、センターの過去問でチェックするのもおすすめです。85点以上を目安としてチェックしてみてください。

3-4【補足】生物が苦手な人の過去問への取り組み方について

生物があまり得意ではなく、他の科目に力を回したいという場合には、いままで述べてきた基礎を中心とした勉強のあと、過去問を解くのがいいかと思います。
この場合、過去問は形式や問題の雰囲気を知るために解くので、5年分程度解くことをおすすめします。
雰囲気がつかめたら、センター対策と併行した基礎知識のメンテナンスと、直前期の過去問演習にしぼって、あとは他の科目に注力しましょう。

4.東大生物でさらに30点以上を目指す勉強法

『2.東大生物でまず20点確実に取る勉強法』をクリアすると、基礎レベルの問題がしっかりとれるようになると思います。さらなるステップアップを目指す人は、次に考察問題への対応力をつけていきます。

4-1標準〜やや難レベルの問題集で考察問題に慣れる

過去問へのステップアップとして、標準〜やや難レベルの問題集を解きます。過去問の難易度を10すると、これらの問題集の難易度は4〜7といったところです。
このような程よい難しさの問題に慣れることで、過去問によりスムーズに接続できます。

問題集は以下の3冊のうちいずれか一冊を進めることをおすすめします。

■生物[生物・生物基礎]標準問題精講(旺文社)
(問題数は少なめですが、その分解説にボリュームがあり、考察の過程が詳しく解説されています。考え方を特に重点的に勉強したい人向けです。)


■2016 実戦 生物重要問題集 生物基礎・生物(数研出版)
(問題数が多く、一方で解説はコンパクトにまとまっています。問題数をこなして実力をつけていきたい人向けです。)

■大森徹の最強問題集 159問 生物[生物基礎・生物]
(問題・解説ともにボリュームがあり、レベルも上記の2冊に比べると若干難しめです。しっかりとやり込みたい人向けです。)

<進め方のポイント>
問題集を進めるうえで特に重視したいのが、考察問題の解き直しです。
解き直しをするときは以下のことに注意するといいと思います。

・問題文を読みなおす。
問題文を読みなおして、説明されている実験の流れや現象の仕組みをもう一度理解しましょう。自分で図などを描いてまとめ直すのも効果的です。

・設問内容をはっきりさせる。
例えば「現象が起こった理由」を聞いているのか「その現象の与える影響」を聞いているのかで解答に書くことは全く違ってきます。当たり前のことのように聞こえますが、問題を解いていると意外と見誤りがちです。復習のときしっかり確認して、設問が何を聞いているのか考えるくせをつけましょう。

・基礎の穴はこの段階で完璧に埋める。
問題が解けなかった原因が知識の抜けだったということはこの段階ではまだよくあることだと思います。そこで抜けていた知識は教科書や参考書に立ち戻って、インプットをし直しましょう。

4-2過去問を解いてみる

上記の問題集を復習しつつ一周して、考察問題に慣れてきたらいよいよ過去問を解いてみましょう。

「過去問は最良の問題集」というのは、類似の問題集のほとんどない東大生物においては特に銘じておいてほしいところです。過去問研究をしっかりすることは外せません。
点数はどうしても気になりますが、結果に一喜一憂するより解き直しをしっかりすることの方がずっと大切です。過去問をすみずみまで研究し尽して、傾向や感覚をしっかり叩き込みます。

過去問は赤本でも、各予備校が出版している過去問集でもいいと思います。解説が自分に合ったものを選びましょう。

<進め方のポイント>

・まずは一度時間を計って解いてみます。時間の目安は理科の試験時間の半分の75分です。はじめのうちや、どうしても延長していときは5分〜10分延長しても構わないと思います。実際の試験の時間感覚を体感しましょう。

・問題を解き終わったら、解答解説を見るまえに問題文の実験や現象の流れをもう一度じっくり見直して確認します。考察をするうえでどこがひっかかったのか、分からなかったのかを明確にすることが目的です。時間があれば図などにまとめるのも有効です。

・解答解説を読んで丸付けをし、3-1の<進め方のポイント>と同様に復習をします。

4-3【補足】過去問を解きつくすのを避けたいときは

いままで過去問の解き方を書いてきましたが、過去問には年数に限りがあります。
直前期に初見で解く過去問を残しておきたい!という場合には以下の方法をおすすめします。

・何年ぶんか過去問を手を付けずに取っておく
一番オーソドックスな方法です。取っておいた過去問は直前期に最終チェックとして解きます。もちろんそのときも解き直しはしっかりと行いましょう。
取っておく過去問の年度ですが、4〜6年前くらいをおすすめします。1〜3年前の過去問はじっくり取り組んで直近の傾向をつかんでおきたいので、それ以前で古すぎない年度のものが適していると思います。

・東大型模試を受ける
東大型の模試は各予備校が毎年年に何度か実施しています。問題や解答の形式、難易度が実際に入試に合わせてあるのでこれを活用しない手はないです。
これらの模試では、模試の受験者集団≒実際の入試の受験者集団なので、本番に近い雰囲気が経験できるのもメリットです。

・東大型模試の過去問を解く
東大型模試を実施している各予備校は、それらの模試の過去問集を科目別に出版しています。どの予備校のものも解答がしっかりついており、過去問と同様の形式なので、解く過去問がなくなってしまった!という場合にはやってみるといいと思います。

5.東大生物を得点源にして45点以上を狙う勉強法

『2.東大生物でまず20点確実に取る勉強法』、『3.東大生物でさらに30点以上を目指す勉強法』を一通りこなすと、考察問題への対応もできるようになってくると思います。ここではさらに余裕があり、生物を得点源にしたい!という人のための勉強法を紹介します。

5-1考察力・記述力をさらに磨く

この段階では考察力や記述力にさらに磨きをかけていきます。
実はここまでくると、適当なレベルの問題集がほとんど見当たりません。生物は受験者数が化学や物理に比べると少ないため、どうしても出版されている参考書のレベルが頭打ちになってきてしまいます。

したがってこの段階では新しい問題集で力を伸ばすというよりは、いままで解いてきた問題をもう一度解き直したり、見なおしたりして、ひたすら精度を上げていくというイメージで取り組みます。

解き直し・見直しをするなかで、「この視点はいままで見落としていたな」「こういう記述の書き方があるのか」という解答の書き方や、「この仮説の立て方はよく見るな」「この実験結果はこういった意味をもつのか」という考察の仕方について、アイデアを発見してどんどん拾っていきます。ノートにまとめてストックしていくのもいいと思います。地道ですが、その積み重ねで考察力や記述力がアップしていきます。

また先ほど「参考書がない」と書きましたが、時間に余裕があり、記述力を問題を解いて伸ばしたいという場合にはこの問題集をおすすめします。

■生物 新・考える問題100選(駿台)
(80字〜200字近い記述問題がたくさん載っていて、解答も丁寧です。問題自体は東大の過去問に比べるとほんの少し易しめですが、解きごたえがあります。)

5-2解答スピードをアップさせる

高得点を取るためには、当然試験時間内にほぼ全問を解き切ることが必要です。時間内に解答しきれるように、解答スピードを上げることが大切になってきます。
これも特に該当する問題集はありませんが、過去問やいままでやってきた問題集を、時間を短めに設定して解き直してみます。より考察や記述がスムーズにできるように、とにかく回数をこなしていくのがベストです。

6.まとめ

東大生物は一見とてつもなく難しそうに思えますが、基礎を積み上げていけば着実に点数が取れるようになります。
まずはしっかりと基礎を固めて、そのうえでできるところまで考察力や記述力を伸ばしていきましょう。

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