【基礎〜難関レベルまで】生物のおすすめ参考書

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大学受験「生物」は、とにかく範囲が広く覚える事が多くて、途方に暮れている方も多いと思います。

参考書も色々出ていますが、種類があり過ぎて目移りしてしまい、いくつか持ってはいるけれどどれをメインに使ったら良いのか判らず、結局どれも中途半端に手をつけたまま通しでやり切っていない、という人が多いのではないでしょうか?

生物はその膨大なコンテンツが故に、隅から隅まで全てを深く理解し、入念に準備をして本番に臨む時間がありません。

したがって、他の理系教科と違い、所謂名著で定番と言われるものを基礎から発展に至るまで一通りやっておけば準備万端、と言う訳には決して行きません。

そこで、生物の参考書を用いる時には、自分の目標に合わせて無駄なく、かつ自分が継続して取り組みやすい物を種類別に組み合わせて選ぶ必要があります。

一冊でも問題数や情報量は膨大になりますから、大前提として冊数は極力少なく抑え、一度選出した参考書を何周もやる方が賢明です。

ところで、ここで言う種類とは、

・骨格を頭にたたき込む教科書
・辞書的に用いる解説の詳しい参考書
・図説
・問題集
・記述対策問題集
・用語集

の6種類を指します。

また、同じ種類の中であれこれ冊数をこなす事に意義はありませんから、上記それぞれの種類に対して自分が用いる1冊を定めたら、ひたすら何周もその1冊をやり込む、と言うのが鉄則です。

では、上記それぞれの種類に対してどんな物を選んだら良いのか、と言うのを、志望校のレベル別にご紹介したいと思います。

その際、教科書・図説・用語集はレベル依存ではなく自分が使いやすい物を選んだ方が良い為、全レベルに共通する選択肢として最初に挙げておきます。

 1.共通のもの

教科書

『改訂 生物2』 東京書籍

現在出回っている教科書の中で、時には大学の研究室や塾の先生も入手するほど、現在出版されている教科書の中では最も情報量が多く、かつ図表も必要十分に用いられていて丁寧で解りやすくまとまっている教科書です。

学校で配布されている教科書が合わない、と感じている人や、生物を得点源にするつもりで完璧にしたい人、医学部や農学部、生命科学系に進もうと思っている人は二冊目としても持っていて損はありません。

『改訂版 生物』 数研出版

現在最も多く出回っている生物の教科書で、学校で配布されている人もそうでない人も、生物を選択する人はまずこちらを入手しようと思うはずです。

それだけあって、もちろん情報量は一般的には十分なのですが、東京書籍のもののように、中には大学生物に足を突っ込むところまでの知識には触れていないので、生物を得点源にするつもりの人、医学部や農学部、生命科学系に進もうと思っている人には不足に思える時も出てくると思います。

教科書は、他に啓林館、実教出版と第一学習社から出版されていますが、特筆すべき事はないため、紹介するのは上記二冊だけにとどめておきます。

図説

①『視覚でとらえるフォトサイエンス生物図録』 数研出版

②『サイエンスビュー生物総合資料 四訂版』 実教出版

③『スクエア最新図説生物neo』 第一学習社

④『ニューステージ新生物図表』 浜島書店

現在、高等学校で配布されている図説はほぼ上記4つのいずれかでしょう。

通常、図説は一冊あれば間に合うとは思いますが、図説は通読する訳ではなく、欲しい情報がある際に参照しに行くものなので、そういった時に索引から調べても、載っているものと載っていないものがあります。

また同じ情報でもこちらにはさらっとしか紹介されていないのに、こちらを見たら詳細に解説されていた、という事もよくあります。

したがって、理想としては全て手元に備えておくことなのですが、場所も取るし冊数を最小限にしたい、という人も多いでしょう。

その場合は最優先で③を選択する事をお勧めします。4冊の中では最も細かい情報まで網羅されていて、医学部、農学部や生命科学系の学部受験に十分使えます。

用語集

『生物用語集』 駿台受験シリーズ

実は、高校生物の用語集と呼べるものはほとんど出ていなく、こちらが出回っている唯一のものと言って良いかもしれません。

わからない単語や初めて見る名称が出てきた時に、辞書のように用いるための参考書です。

持ち運ぶにも厚すぎず重すぎず丁度良く、持っていて損はないと思いますがあくまで高等学校の範囲内に留まりますので、医学部、農学部や生命科学系の学部を受験する人には不足が少なからず生じます。

あくまでも一冊目として、高校1,2年生の段階から生物受験の準備をされる人のための副読本としての利用をお勧めします。

『生物教育用語集』 東京大学出版会

少し古く現在は絶版になってしまっているのですが(中古で手に入ります)、上記で物足りない人や生物を得点源にするつもりの人、医学部や農学部、生命科学系の学部を受験する人にはこちらがお勧めです。

上記で不足するからと言って、大学で用いる用語集となると分野別に枝分かれしてしまっていて高等学校生物を学習するのには情報が多すぎて向きません。

そこでこちらは何が良いかと言うと、高等学校での生物指導者向けに出されている生物用語集である、という所です。

大学以上の知識を持っている人に対して、高等学校で出てくる範囲内の用語や知識で解説をする為の補助教材ですので、医学部を含む難関校受験を予定している人には最適です。

2. 志望校レベル別お勧め参考書

ここからは志望校別に参考書と問題集(通常のものと記述対策用)のお勧めの組み合わせを紹介して行きたいと思います。

出来るだけ最小限の冊数で済ませる事を念頭に置いている為、各段階で2、3冊ずつしか紹介しませんが、今現在の自分のレベルの所から開始して頂くのが望ましいです。

つまり、もし難関私大医学部を狙っているけれど、現在はやっと中堅私大を狙うレベルに居る、という場合にはまず私大看護学部・中堅私大理系でご紹介するものから開始して下さい。

そして、その後レベルが上がる毎に、各段階でご紹介するものから持っていないものを追加していくようにしてみて下さい。

私大看護学部・中堅私大理系 

①『大森徹の最強講義117講 生物』 文英堂

②『リードLightノート 生物』 数研出版

③『リードα 生物基礎+生物』 数研出版

まず、②を何冊か用意しましょう。(最低三冊)

これは書き込み式のノート形式になっていて、最初にその単元の概要説明があり、続いてステップ別の問題を、穴埋めで書き込んで解いていくというものです。

③の中から絶対にはずせないものを抜粋していますので、③の下準備になります。

①は辞書的に用いるためのものですので、解らない事象が生じたら参照し、線を引くなり書き留めるなりして②と③を進める補助にしましょう。

②が完璧になったら、③を通しで三周ほどやり、最後に間違えた問題だけを再度やり直せば完了です。

なお、この段階ではまだ論述対策問題集は必要ないと思われます。

論述対策問題集は普通~難関レベルのものしか出ていませんし、何よりこの段階ではまず基礎知識を固める事に専念するべきだからです。

敢えて先々論述対策につながるような事をするのであれば、用語集をこまめに調べたり、自分が解らなかった事象についてあちこち調べながら自分なりの言葉でノートに書き留める等の作業をしておきましょう。

上位私大理系 

・『大森徹の最強講義117講 生物』 文英堂

・『エクセル生物』 実教出版

・『大森徹の最強問題集159問 生物』 文英堂

まず、①を活用しながら②を三周ほどやり、最後に間違えた問題だけを再度やり直して完了します。 最後に③を、出来ればやはり三周ほどやります。

③は①の完全準拠問題集で、国公立・難関私大受験レベルまでカバーしています。①と併せて用いれば、単発だった知識が有機的につながり、事象をただの暗記でなく理解する事が可能になります。

論述問題も数多く掲載しているので、別途論述問題をやらなくともこれだけを完璧にしておけば、後は過去問をこなすことで十分でしょう。

難関私大理系

 ・『大森徹の最強講義117講 生物』 文英堂

・『セミナー生物基礎+生物』 第一学習社

・『理系標準問題集 生物』 駿台受験シリーズ

・『生物重要問題集』 数研出版

まず、①を活用しながら②を三周ほどやり、最後に間違えた問題だけを再度やり直して完了します。

①はこのレベルになってくると情報に不足する場面も多々生じますが、残念ながら代わりに辞書的に用いる上位の代替物がないため、不足点は図説や個別資料に求めるしかありません。

次に、③をやはり三周ほどやります。③は国公立・私大の二次試験向けに出されている問題集で、知識・計算問題から論述・考察問題までがまんべんなく154題収録されているので、これを完璧にしておけば大抵の大学には通用するでしょう。

最後に④ですが、こちらは必須ではなく、志望校が既に決定している人はそちらの赤本をやる方がベターです。実戦的な問題集として色々な有名国公立大学と私立大学の過去問を掲載しており記述考察問題も比較的多めなのでので、まだ志望校が確定していない人に最適です。

国公立大理系

①『短期攻略 大学入学共通テスト 生物』 駿台受験シリーズ

②『共通テスト過去問研究 生物/生物基礎』 教学社

このレベルの二次試験対策は、前項の難関私大理系とかぶっていますのでそちらをご参照下さい。

国公立の場合は二次対策以外に別途共通テスト対策が必要となりますので、ここでは共通テストに向けた最小限の準備に適切なものだけをご紹介します。

二冊と少ないですが、このレベルの二次対策をしている人は大方の事象を既に理解し、応用も利くようになっていると思いますので共通テストに関してはその独特の出題形式を把握し、慣れてしまえば問題ないでしょう。

そこまで時間を割けないと思いますので①を一周やった後に②で時間を計って出来るだけ多くの過去問にあたりましょう。目標は9割を確保する事です。

難関国公立大理系

①『生物標準問題精講』 旺文社

②『大森徹の生物 記述・論述問題の解法』 旺文社

③『東大の生物27カ年』 教学社

このレベルでも共通テスト対策は前項の国公立大理系と変わりませんので、共通テストについてはそちらをご参照下さい。

まず、①を少なくとも二周やります。こちらは標準となっていますが、内容的には難関レベルです。
難関国公立大学・私立大学の二次試験対策として丁寧な解説付きで評判の参考書ですが、難易度は高くても極めて標準的な出題傾向の大学の対策に向いています。東大や京大、私大医学部等その大学独自の形式や特殊分野からの出題がある大学までは網羅出来ません。

そこで②ですが、東大受験者はもちろんのこと、他の参考書で飽き足らなくなった生物好きの難関国公立受験者は是非こちらをやってみて下さい。

面白い問題が沢山載っていて、かつ大学受験レベルをはるかに超えた大学での研究レベルの知識にも足を突っ込んでいますので、かなりやりごたえがあると思います。

③ですが、このレベルの全員に必要なものではありません。ただここまで来て、まだ論述問題の詰めが甘いな、と感じている人は補強としてやると良いと思います。難易度は難となっていますが、標準~難ぐらいだと思います。

私大医学部

①『生物基礎問題精講』 旺文社

②『ニューグローバル 生物』 東京書籍

③『大森徹の最強問題集159問 生物』 文英堂


こちらはまず、私大看護学部・中堅私大理系向けの対策を先に行う必要があります(但し、このレベルを想定している場合はリードαは一周+間違えた問題のやり直しだけで大丈夫です。

それらが完了しているという条件で上記に入りますが、まず①を二周ほどやります。難関国公立大理系で紹介している『生物標準問題精講』の下位の問題集になりますが、基礎とは言っても内容的には標準~やや難解なレベルですのでそれなりに大変です。
やはり丁寧な解説付きなので、ここまでやって来て苦手だと認識している分野や問題には特に力を入れてやりましょう。

その後、②に入ります。②は学校配布の教科書傍用問題集ですが、現在配布されているものの中では最も難易度が高く、生物基礎と分離しているのはこれだけなので網羅性も抜群で、また引用されている問題が難関国公立や私立医学部のものが多く、医学部対策にとても向いています。

したがって、まずは基礎の定着を確認する意味でも通しで一周やり、時間がなければ間違えた問題だけやり直すようにしましょう。

最後に、最強講義117講と共に③の論述問題だけ(もちろん、時間があれば全部やってもかまいませんが)を二周やり、土台を固めた後に受験する大学の過去問を出来るだけ多くの年数分こなす事が望ましいです。

難関私大医学部

①『生物思考力問題精講』 旺文社

②『お医者さんになろう 医学部への生物』 駿台受験シリーズ

このレベルは、前項の私大医学部対策が完了している事を前提にお話しします。

まず①を二周ほどやります。①は生物標準問題精講(標問)の上位の問題集で、標問との大きな違いは、標問は高難度の典型問題が多く解法暗記が必要なのに対し、こちらは高難度の非典型問題や現在トレンドとなっている生物学の知識が多く収録されており、どちらかと言うと思考力を強化する問題集である点です。標問を終えてから取り組む事が望ましいです。

②は医学部入試の決め手となる問題を9分野・41テーマ・86題を、知識問題から考察問題、古典的なテーマから最新トピックスまでバランスよく掲載しているので単価医科大学受験に最適です。

二周ほどやりたいところですが、時間が無ければ一周、特に苦手なテーマの解説を熟読しておくと良いでしょう。その後はやはりひたすら受験大学の過去問を出来るだけ多くの年数分こなして下さい。

国公立大医学部

『医学部攻略の生物』 河合塾シリーズ

こちらのレベルでは、国公立大理系の共通テスト対策並びに前項難関私大医学部の対策が完了していることを前提にお話しします。

ここまでのレベルになってくると、基本的には各大学の典型問題を制覇する為にひたすら過去問に取り組むのがベストなのですが、不安要素をつぶす為に何かしら解説付きの、網羅性の高い市販の問題集を、と思っている人にはこちらをお勧めします。

掲載されている問題がどちらかというと国公立向けのものなので前項では紹介しませんでしたが、左頁に問題、右ページに解説というレイアウトになっていて、苦手なタイプの問題を素早く確認出来るのでやるのに時間も左程かからず、準備に最も時間を要するこのレベルの人が使用するのに最適だと思います。

後は他のレベル同様ひたすら、受験大学の過去問を出来るだけ多くの年数分こなす事なのですが、手持ちの資料で情報が不足する問題にも多々出会う事と思います。その場合は医学部の教養課程で用いる教科書や、医学書等を入手して調べるという対応もしましょう。

3.まとめ

さて、大学受験生物のお勧め参考書を段階別にご紹介しましたが、教科の特性上段階によって用いるものが様々で読みにくい面もあったかと思いますがお許し下さい。

大学受験で生物を選択するのを躊躇う人は多く居ます。何故なら、理系教科であるにもかかわらず作業内容は文系的で、覚える事が沢山あり過ぎるからでしょう。

しかしながら、特に大学に行ってからも生物の履修を免れる事が出来ない学部を志望する人にとっては、生物で受験しておく事は必ずや大学進学後の糧となります。

逆に言えば、大学受験生物を制覇出来なければ、大学進学後の研究でも苦労する事になるでしょう。

是非とも生物をものにして、志望校合格を勝ち取って下さい。

著者情報

究進塾 編集局

究進塾 編集局
東京・池袋にある究進塾の編集局です。受験指導のプロが大学受験に役立つ情報をお届けしています。 大学受験対策コースはこちらからご覧いただけます。
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