電磁気学が苦手な人へ!確実に得点するための勉強法

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ご存知の通り、高校物理は力学、電磁気学、波動、熱力学、原子物理の5つから構成されています。

また大学入試の物理はほとんどが大問3題で構成されていますが、大問1題が力学から、1題が電磁気学から、もう1題が熱力学または波動または原子からの出題となっています。

つまり今回見ていく電磁気学は、大学入試で必ず出題される超重要分野といっても過言ではありません。

また学校の授業でも、かなり終盤に学習するため対策が万全にできないことも多く、点数を取る受験生と点数を取れない受験生の差がつきやすい分野ともいえます。

今回の記事を通して電磁気学の正しい勉強法を学び、ぜひとも電磁気学を得点源にしてください。

1.電磁気学が苦手な原因と対策

多くの受験生は、電磁気学という分野に対して、「力学よりも苦手だ」と感じていることでしょう。その原因と対策を見ていきます。

2-1. 現象が見えないから

高校物理でまずはじめに学習する力学と、今回見ていく電磁気学とでは大きく異なるポイントがあります。

それは「現象が目に見えない」ということです。

例えば力学だと、それぞれ異なる速度を持つ小物体を衝突させてみたり、小球を斜面で転がしてみたりする運動は、厳密に運動方程式を立てたりエネルギー保存則の式を立てたりしなくても、どのような運動をするのかはだいたいわかります。

しかし、電磁気学では違います。

当然慣れてくればどのような運動をするのかが感覚的にわかるようになってきますが、慣れるまではどのような現象が起きるのかが全然わかりません。

「電荷を持つ物体に電場をかけると、その物体に力が働く」と言われても、なかなか理解できないと思います。日常生活の中で、「電荷を持つ物体に電場をかける」などという経験はほとんどしないので、仕方ないことなのです。

そもそも、「学習」とはなんでしょう。

できないことをできるようにするのが学習ですし、わからないことをわかるようにするのが学習です。

最初はどんな現象をするのかを理解できないのは当たり前なので、正しく「学習」をして、現象を感覚的に理解できるようにしていきましょう。

では具体的には、どのような対策をしていくのがいいのでしょうか。

それは、「力を図示する」ということにつきます。

本来、物理現象を理解する上で、どのような運動をするかを感覚的に理解できるかどうかは正直あまり関係ありません。

なぜなら、運動方程式を立ててそれを解けば、現象をイメージできなくてもその運動がどんなものなのかを解くことができるからです。

なんども運動方程式を解いていけば、運動方程式を解かなくても自然とどんな運動をするかイメージできるようになります。まずはそのレベルになるまで力を図示して運動方程式を立てるところまでしっかりと実践していきましょう。

2-2. 「電場」と「電位」の違いがわからない

電磁気学の学習を始めて行うときに、ほとんど全員がぶつかるであろう壁が、「電場」と「電位」の違いが理解できないことです。

これは電場と電位に限らず、磁場と磁束密度の違いもそうですし、電磁気学で基本として使われている用語(用語というほどのものでもないですが)がきちんと理解できていないことがあります。

これははとても苦痛ですし、さらに難しいことを学習していくとなるとついていけなくなる可能性も高くなってしまいます。

しかしこれに関しては、完璧に理解する必要はありません

電場とはこういうもので、電位とはこういうものというのが、やんわりでも理解できれば大丈夫です。大学入試の問題で、「電場とは何か、日本語で解説しなさい」というような問題は出題されませんもんね。

2-3. 入試対策に割く時間が少ない

公立高校に通う受験生にとって、電磁気学を学習し終えるのは共通テストの直前である場合が多いでしょう。実際に私も、センター試験(現在は共通テスト)が行われる年の年始に電磁気学の範囲が終了しました。

学校の授業を聞いただけで問題を解けるようにはならないので、やはり力学などの分野に比べて圧倒的に演習量が不足してしまう傾向にあります。物理の成績は、どれだけ問題を解いたかも大きく作用すると言えるので、学校の授業の先取りで内容を学ぶか、最低限学校の授業で学ぶペースト同じスピードで問題演習をするようにしましょう。

3.おすすめの勉強法

基本的な勉強法は、教科書や参考書を使ってインプットしてから、問題集を使ってアウトプットをしていくという流れで問題ありません。

ただし、力学ほどではないにしろ、波動や熱力学に比べて問題のパターンが多いので、「公式を覚える」や「公式を使う練習をする」というレベルの話は早く終わらせて、典型問題のパターンを掴むレベルに到達しましょう。時間をかけるところを間違えないようにしてください。

では早速見ていきましょう。

3-1. 教科書や参考書を使って公式をインプットする

公式を覚えていない状態でいくら問題に取り組んでも、それは全く意味がありません。文字通り、「無駄な努力」になってしまいます。

まずは公式を覚えることから始めましょう。使う教材は、教科書でも参考書でも構いません。基本的には教科書で構いませんが、まとまっておらずに使いづらいと感じる場合は参考書を使えばいいでしょう。何よりも重要なのは、とりあえず早く公式の暗記を終わらせてしまうことです。

公式を覚える上で意識すべきポイントがいくつかあります。覚えた公式を、使える公式にしなくては意味がありません。

①文字の意味や単位を合わせて覚えること

②公式を導出できるようにすること

③実際に公式を使う練習をすること

これらのことを意識して学習する必要があります。何度も言うようですが、早く公式暗記を終わらせて問題演習に取り掛かる必要があります。ここは時間をかけずに、公式を覚えてしまいましょう。

3-2. 覚えた公式を使えるようにする

教科書や参考書を使って公式を覚えたら、次は実際に公式を使えるようにしていきましょう。

学校や塾、予備校の授業で言われた経験がある方も多いと思いますが、「わかる」と「できる」は違います。公式を「わかる」ようになった後は、「できる」ようにしていく作業が必要なのです。

こちらも学校で配布されている汎用問題集(リードα物理基礎+物理、セミナー物理基礎+物理など)を使って、まずは簡単な問題から問題演習をはじめていきましょう。

2-3. 実践レベルで使えるようにする

多くの受験生が実際に体感していることだと思いますが、学校の授業や教科書で扱っているレベルと、実際に難関大学の二次試験で出題されるレベルには、圧倒的なレベルの差があります。

それを埋めていく作業が必要で、その作業にあたるのが、実践レベルの問題集での問題演習です。公式を覚えたばかりでもなんとか太刀打ちができるレベルの問題が、実際に難関大学の入試に出題されるわけがありません。

実践レベルの問題集の使い方ですが、いきなり100%の出来を求める必要はありません。受験する大学にもよりますが、大抵の場合本番では60%〜70%程度ができれば十分合格圏と言えるので、大問のうちの6割以上が初見で解けたら立派なものです。

ほとんどの場合、初見だと半分にも到達せずにつまづいてしまうことだと思いますので、ここで重要になってくるのが「答え合わせ〜復習」です。

とりあえず答えまで到達できた問題は、答えがあっているかを確認することと、答えに到達するまでのアプローチの仕方が正しかったかどうかを確認する必要があります。

また答えまで到達できなかった問題に関しては答えを一通り読み、白紙に答えに到達するまでの過程を再現してみましょう。面倒かもしれませんが、最初に式を立てて答えにすぐいくのではなく、式を立てたところから実際に答えに辿り着くまでの計算過程も再現できるようにすることが大切です。

できなかった問題には印をつけるなどしてわかるようにしておき、できない問題がなくなるまで何度も何度も問題集に繰り返し取り組みましょう。

実際に使う問題集としては、

「重要問題集」

「名問の森」

などがおすすめです。これらの問題集を使って、実際の入試で電磁気学の分野を得点源にできるようにしていきましょう。

では、今回紹介した2つの問題集の特徴を以下にまとめておきます。

3-3-1. 物理 重要問題集

最初に紹介するのは、数研出版の重要問題集です。一部の進学校であれば、教科書汎用問題集とは別に、入試対策として学校採用されている高校もあるようです。

こちらはもう一つオススメしている名問の森よりも若干難易度が低く、東大や京大、東工大レベルだと若干物足りない感じはしますが、この超難関校を受験する受験生以外はこの問題集だけでも十分です。

学校の授業をある程度理解していれば、汎用問題集を挟まなくても十分取り組めるように工夫して作られており、東大京大以外の旧帝大レベルの問題が解ける段階まで、無理なく力がつけられるように作られています。

2-3-2. 名問の森

言わずと知れた物理問題集の定番、名問の森です。物理のハイレベルな問題集では、高校の物理の授業で学習する内容を超えて、微分積分を使って気難しく解説する問題集が多いですが、この名問の森では高校の授業のレベルで難関大学の問題を攻略しているので、とっつきやすい問題集と言えます。

収録している問題は、東大京大を始めとする超難関大学から、国公立の中堅大学まで幅広く、教科書汎用問題集の問題が8割方解けるレベルであれば、十分取り組めるように構成されています。この1冊さえ完璧にしておけば、どんな大学の入試問題でも合格点は取れるでしょう。自信を持ってオススメできる1冊です。

4.まとめ

今回は高校物理において、力学と並んで二大重要分野に数えられる、電磁気学の勉強法を紹介してきました。

力学に比べて苦手意識を持つ受験生が多いようですが、実際に問題演習を重ねていけば、問題を解かなくてもどんな運動をするのかが見えてくるようになります。出題されるパターンも力学に比べれば少ないので、きちんと対策をすれば確実に得点源にできる分野です。

ぜひ今回学んだ内容を生かして、電磁気学を得意に変えてしまいましょう。

著者情報

究進塾 編集局

究進塾 編集局
東京・池袋にある究進塾の編集局です。受験指導のプロが大学受験に役立つ情報をお届けしています。 大学受験対策コースはこちらからご覧いただけます。
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