地図帳をもっと活用して効果的に地理の力を伸ばす方法
地理は、
なかなか勉強しても点が伸びない、
統計資料のデータを多く覚えなければいけない、
など、なかなかうまい戦略を立てられていない、という方が多いのではないでしょうか。
今回は、具体例を多く取り入れながら、地図帳を活用して、知識を分野横断的に系統立てて整理するコツをお伝えしていいきたいと思います。
目次
1 地図帳を使うメリットとは
地理の勉強に地図帳、と聞いてどのような印象を持たれるでしょうか。
なるほどと頷く方もいれば、いつも補助的にしか使っていないよ、という方もいらっしゃることでしょう。地図帳を使い込んで、地図帳を地理の勉強の中心に据えていくメリットとしては次の3つが挙げられます。
順に見ていくことにしましょう。
1.1 地理、という科目の話の流れを大局的に把握できる。
まずは地図帳の話の前に、地理の全般的な話をしましょう。
大事なことは、地理の知識や話題の流れには、裏に必ず何かしらの論理がある、ということです。
地理という科目において与えられる知識は、地形、気候、民族、宗教など様々な背景こそあれ、何らかの成因があるということです。
この考え方の根っこを沢山捉えていくことで効率的な学習を進めていくことができるでしょう。
そういった論理の鍵を握っているのが、実際にどのような土地が広がっているかを示す地図というわけです。
大局的な見方で地図を眺めていけば、地理の理論のなりたちが見えてくることでしょう。
1.2 様々な地理の理論が、それぞれの地域でどのように作用しているかを探ろう。
前項では少しマクロな地球規模のことを言いましたが、ここからはもう少しミクロの、小さな地域などで展開される話についてです。
少々大袈裟なことを言いますが、地理は実像なき抽象論などではなく、地球上のどこかで、人が暮らしてきた、その暮らしの積み重なりの結果です。
地球上の世界は有限で、例えば大陸は全世界でも6つしかないわけです。
地形構造や、気候区分など、地理では数多くの地球規模の理論的な要素も勉強しますが、実際にその理論が、この土地ではどのような姿を見せているか、ということにフォーカスしていくことが非常に効果的です。
これは、理系科目に例えるなら、公式の証明に対する、問題演習のような対応をするものでしょう。(なので理系の皆さんの共通テストにも地理はとてもお薦めです!)
結局のところ、地理を学ぶ上で、最も大切なのは世界地図、地形がわかっているということに尽きます。
地理で扱うどんな出来事も、結局ほとんどが地図上の情報に結びつく、ということがわかってくれば、徐々に地理の点数は伸びてくることでしょう。
1.3 地図帳は、記憶という側面だけとっても、非常に効果的なツールだ。
先ほどまでの話は、地理という科目の特性から見て、地図帳が効果的だという話でした。
一方で、ここで申し上げたいのは、地図帳という様式自体が、記憶に残りやすいということです。
地図帳に書き込みを施していくと、地図というフォーマットの上で情報の関連付けや、思考の流れの整理を行うことでができます。
覚えた事項を地図上に落とし込むことで、知識間の連携が取りやすくなります。
こうした観点から見ても、地図帳は非常に有用なツールといえます。
2 実際の地図帳活用例
ここからは、筆者の地図帳でどういった情報がメモされていたか、その具体的な例を挙げていきたいと思います。実際の知識の整理の仕方、思考の流れのエッセンスなんかを盗んでいただけるといいでしょう。
地図帳で場所を押さえ、そこに情報を書き加えていって、どんどん地図帳を汚していってください。
そうすることで、覚えるべき内容とそれに付随する要因をまとめることが出来るとともに、地図上の具体的な位置と結び付けることで、記憶をより強固なものにすることができることでしょう。
学校で習ったこと、問題集で出てきたこと、などの情報をできる限り地図帳に集約させるように心掛けてみてください。
2.1 アメリカのページ
ワシントンD.C.、ボルティモア、フィラデルフィア、ニューヨーク、ボストンなどの都市群が(地図上で)これくらいの間隔で並んでメガロポリスを形成している。
ああ、そういえばボストンはエレクトロニクスハイウェーというのだった。
そこから左下方向に向けて、ニューヨーク→フィラデルフィア→リッチモンド→ローリー→コロンビア→アトランタと並ぶピードモント台地東縁の都市群を滝線都市という。
ここは高地と平野の境目のような場所で、多くの滝群が存在する。これらの都市はかつて内陸交通として水運が重要であった時代、大西洋沿いから大西洋岸平野を流れる河川を航行してきた船の終点で(滝があるためそれより上流には進めない)、河港都市として栄えた。
また、多岐に生ずる水位差を活用して、水力発電所が多く設けられ、この電力を利用して綿工業なども発展した土地であった。
2.2 インドのページ
インドの中央に広がっているデカン高原は綿花の栽培に適した土地で、実際統計を見ても綿花の産出においてインドが毎年上位にランクされている。
この理由を、気候区分に着目して考えてみよう。
ここでインドのデカン高原のエリアの気候区分を確認してみると、Aw(サバナ)気候となっていることがわかる。
つまりw…winter:冬の(熱帯で言うなら比較的涼しいということで、)季節に乾季をもつ気候ということになる。
つまり、この乾季が綿花の収穫に適したものである、ということがわかる。
また、デカン高原の土壌は玄武岩が風化してできたレグール土というものであり、この土壌が保水力の大きなものである、ということも綿花の栽培に適しているポイント。
2.3 気候区分のページ
意外と後ろの方になっている気候ページも是非眺めてほしいページです。
例えばCs(地中海性)気候について。
ある程度学習の進んでいる受験生ならご存知かと思いますが、Cs気候はいわゆる地中海エリア以外にも、北アメリカ、南アメリカ、アフリカ、オーストラリアの各大陸の西海岸にも分布しています。
これらと、各大陸の近くを流れる寒流:カリフォルニア海流、ペルー海流、ベンゲラ海流、西オーストラリア海流などをそれら気候の成因として関連付けて覚えておくとよいでしょう。
2.4 地図帳にはインデックスをつけよう
余談ですが、ここまでの話は、筆者が高校で地理を習った際の恩師が地図帳を普段の学習時から大切にしてほしい、と力説していたところから始まる話でした。
この恩師によれば、地図帳を開きたいときに適切なページをスムーズに開けると、とにかく便利だということで、地図帳のそれぞれ該当するページにインデックスを貼ることを奨励していました。
これに従うと写真のような感じになります。
小さな工夫ではありますが地図帳を開く動作が、ぐっと楽になること請け合いですので、是非お試しください。
また、地図帳に書き込めるだけの情報量を超えてきてしまった場合や、定期考査等でより詳細な情報まで要求される場合は、白紙に自分で地図を描くか、白地図をネットからダウンロードするか、あるいはgoogle mapを印刷するなどして、そこに情報を細かにまとめていくのがよいでしょう。
3 お薦めの参考書
最後に、今回の方針に基づき、学習の指針となる便利な参考書もお伝えしておきましょう。
ここで挙げるような本を活用して、地図に書き込む内容を選定し、知識を詰め込んでいくための補助にするのがいいでしょう。
3.1 山岡の地理B教室―大学受験地理 (東進ブックス―気鋭の講師シリーズ)
学習初期の段階(まだ受験範囲を習い終わっていない人)の参考書としては、こちらが非常にお薦めです。
地理の教科書は、どうも個人的には役に立ちづらい印象があるので、是非代わりにこちらを使いましょう。
地理の勉強を始めて間もないころは、無暗に沢山の語句覚えるのは億劫だと思います。無味乾燥な暗記を避けるためにも、講義の実況中継的な書き方をしているこの参考書が非常にお薦めです。
3.2 地理B早わかり 要点整理 (大学合格新書)
先ほどの本よりは少しレベルが上がり、こちらは一通り習った分野があって、その分野で得た知識をどうやって共通テストや2次試験の点数に繋げていこうかという人にすごくお薦めな1冊です。
重要用語やその背景知識・具体例をイラストや図表を用いてコンパクトにまとめたもので、受検終盤にはこちらを使っていくのが便利でしょう。
演習問題で間違えたりした項目をより深く知りたい、という場合にもいいでしょうし、地図帳にどのような知識を体系的にまとめたらよいか、という疑問にもしっかり答えてくれる1冊です。
4 まとめ
地図帳を効果的に活用した地理の学習方法についてお伝えしてきました。
読んでくださった方の健闘を祈ります!