センター英語の長文問題で得点するための勉強法
センター英語では全6問中、第3問から第6問までが長文問題となっており配点が高いので、長文が解けるかどうかが明暗の分かれ目になります。
問題に特徴がありますが、対策をしっかりすれば点数はついてきます。
準備を万全にして本番の試験に臨めるようにしましょう。
この記事では二次対策でも英語を勉強していることを前提に、それに併行して取り入れるべき、センター試験に特に関わる部分の勉強法を紹介します。
目次
1.全体の傾向と対策の方針
まずは全体を通しての問題の傾向と、大まかな対策の方針を紹介します。
1-1 傾向
センター英語長文の最大の傾向として挙げられるのがその問題形式の独特さとバリエーションの豊富さです。
英語の試験問題全6問のうち、第3問〜第6問までが長文の問題で、かつ第3問は3つのパートに、第4問は2つのパートに分かれています。
そしてこれらはすべて異なる形式の問題です。
具体的には長文の内容や長さが様々であったり、グラフ・図やチラシの絵の読み取りと組み合わせるものがあったりします。
ただこれらすべての問題の根底にあるのは、「英文の読解ができるか」を問う共通の出題意図です。
また、センター英語の時間設定は少々厳しめです。
第一問の発音・アクセントと第二問の文法も含めた全6問を80分で解きますが、第一問と第二問に20分かかると計算して長文に当てられる時間は1時間です。
第一問と第二問をどれだけ素早く解けるかにもよりますが、これは上に挙げた7つの長文問題を解くのにそれほど余裕のある時間設定というわけでもないでしょう。
したがって時間配分も得点のための重要なポイントです。
1-2 対策の大まかな方針
まずは対策の大前提として、読解力そのものの強化があります。
二次対策としてやっている人も多いかと思いますが、これは英文をどれだけ正確に速く読めるかという学力で、単語力や文法力がカギになります。
読解力をしっかりつけ、そのうえでセンターの傾向を把握し、過去問を用いて対策をしましょう。
以下でさらに細かく説明しています。
◆単語力
単語力は文章読解をするうえでもっとも大切です。
もし文法が分からなくても単語の並びからなんとなく意味が取れることはありますが、文法は分かるのにたった一単語の意味が分からないだけで文意が読めなくなることはままあります。
英単語は市販の単語帳を用いるのがやはり効率的に勉強できます。
センターで必要とされる語彙は3000語〜4000語と言われています。
二次試験ではもっと高い語彙レベルが必要とされる場合も、ひとまずはこのレベルに合わせた英単語帳で学習することをおすすめします。
単語数の少ない単語帳のほうが頻出のレベル分けがより細かく、量も少ないので効率良く勉強できるからです。
おすすめの単語帳を二つほど紹介しておきます。
言わずと知れた有名単語帳ですが、もちろんクオリティーもとても高いです。特に付属のCDがついていて、リズミカルに単語を発音してくれるので、発音も合わせて単語が頭に入りやすいです。「キクタン」という名前の通り、耳で聞いて覚えたい人におすすめです。
こちらの単語帳は「ミニマルフレーズ」という短いフレーズで単語を覚えるという方式を採用しています。ちなみにこの方法は単語のみを覚えるより記憶が定着しやすいため、とても効率的かつ自然です。文脈と合わせて単語を覚えたい人はこちらを使ってみてください。
◆文法力
「もし文法が分からなくても単語の並びからなんとなく意味が取れることはある」とは言っても、一度勉強していなければ絶対に分からない文法事項があることも事実です。
例えばso that構文はsoとthat自体は誰もが知っている単語ですが、so…that〜という構文の意味は勉強するまで知らなかったひとがほとんどではないかと思います。文章を正確に読むには文法もとても大切です。
センターで出題される英文法は基本的なものです。
基礎レベルの文法は学校で勉強している人が多いかと思いますが、もし不安があったら、文法書で復習しておきましょう。
おすすめの参考書は以下のものです。
英文法の全範囲を基礎から一通り、わかりやすく解説した参考書です。説明が中心で初学者でもわかるように書いてあるので、英文法がとにかく苦手でもう一度しっかり復習したいという人におすすめします。
四択問題の形式でスピーディーに文法の復習ができます。文法は一通り習得したけどいまいち自信がなく、もう一度確認をしたいという人におすすめです。またこちらの参考書は熟語や会話表現などもまとまっていて、センター対策に重宝します。
傾向をしっかり把握する
「1-1傾向」で述べたように、センター英語の長文問題には独特の形式があるので、しっかり傾向をつかんでおくことが高得点を取るためにはとても重要です。
そして傾向把握には過去問を使って勉強するのが最適です。
センター試験の公式HPからは過去3年分の本試験・追試験の過去問が無料でダウンロードできます。
これらは必ずチェックしましょう。
それ以前も多少の出題傾向の変化はありますが、出題傾向は基本的に同じなので余裕がある範囲で解くのが望ましいです。
また設問ごとの細かな傾向は「3.設問別対策のポイント」にまとめてあります。一読して傾向把握に役立ててください。
2.問題を解くうえで意識しておきたいこと
細かな問題傾向の説明に入る前に、ひとつ意識しておきたいことがあります。
それは英語のやわらかさ/硬さという軸です。
やわらかい英語ほど日常英語・会話文に近く、硬い英語ほど学術英語・論説文に近くなります。
センター英語の長文では会話、手紙、日記、論説文などさまざまな文章が出題されますが、使われている英語の硬さ順に並べると以下のようになります。
第3問A 第4問B 第5問 第3問C 第3問B 第4問A 第6問
←やわらかい 硬い→
英語の硬さによって、それぞれで使われやすい単語や熟語、文法も違いますし、なにより問われることが大きく異なってきます。
やわらかい英語の文章ではより話し手が伝える細かな情報(特に時間、場所など)に着目して設問が作られているのに対し、硬い英語の問題では細かい内容よりは文章全体の論理に重きが置かれています。
これらを問題を解くまえに踏まえておくと、出題意図がつかみやすくなると思います。
3.設問別対策のポイント
それでは以上のことをふまえていよいよ設問別の対策のポイントに入っていきましょう。
これから紹介することを意識して過去問や対策を進めてください。
3-1 第3問A
短い会話文を読んで、空欄のなかに当てはまる文章を選ぶ問題です。
長文の問題のなかで会話形式の問題はこの第3問Aのみとなっています。
問題を解くポイントは登場人物(話し手)の置かれている状況を前後の会話から読み取ることです。特に空欄のあとにも会話が続く場合は、空欄後の聞き手の反応が重要になってきます。
また会話文特有の熟語が聞かれることも多いです。
第3問Aが苦手な人は文法書の会話表現の章を復習しましょう。
3-2 第3問B
短い英文を読んで不必要な文を抜き取る問題です。
英文自体は硬い文章に近く、文章が短いために情報量が少ないので、文章の論理構造をしっかり押さえる読み方ができないとなかなか正解しづらく難関です。
一文一文がその前後の文に対しどのような働きをしているのかを考えながら、特に選択肢にあたる部分は丁寧に読みましょう。その文がもしなくても英文全体として意味が通るかを考えると解きやすいです。
とりわけ問われる論理構造は主張−具体例です。
具体例は主張に説得力を持たせるためにあるので、削除しても全体の構造に影響はありませんね。したがって具体例にあたる文を抜き取ることになります。
とても頻出なので第3問Bが苦手な人も、過去問で練習してこのパターンだけは押さえておきましょう。
3-3 第3問C
大学の授業で行われたという設定のディスカッションを読んで、空欄にあてはまる英文を選択する問題です
会話の流れを読んで空欄への当てはめをするという点では第3問Aと同じですが、この問題では3人の人物が一つのテーマについて異なる意見を言い、それをまとめる司会者の発言が空欄になっています。
つまりそれぞれの話し手の意見を最も正しくまとめた選択肢が答えになるということで、硬い英文の要素もある問題だと言えます。
各話し手の意見をしっかり読み取ることはもちろんですが、ディスカッションの流れを押さえながら読むととても問題が解きやすくなります。
ポイントは話し手が自分の意見をまとめて言う前のところです。ここではそれぞれ司会者の出すテーマに賛成か/反対かということや、前に発言した人の意見に賛成か/反対かなど、「話し手がどの立場でこれから発言するか」が示されます。
それを読み取り、念頭に置きながら問題を読むと意見が整理しやすいです。
この問題はそのような読み方にさえ慣れればそんなに難しくないと思います。長く出題され続けている形式なので過去問で練習しましょう。
3-4 第4問A
説明文とグラフを読み、問いに答える問題です。
この問題では文章とグラフの関係をつかむことがとても重要になります。グラフは必ず文章の主張を裏付けるために使われています。
その「グラフによって補足されて伝えられている主張が何なのか」、そして「主張の上でグラフはどのように根拠を裏付けているのか」という点が問われます。
グラフは一見すると何を言っているのか分からないことも多いです。
でもそのような場合には必ず文章でグラフの説明がされているので文章をしっかり読みましょう。
3-5 第4問B
英語のチラシから情報を読み取って、問いに答える問題です。
これはセンターの英語長文の中で最も独特な問題で、二次試験ではほとんど見ないかと思います。ただ過去問で慣れておけばとても得点しやすい問題でもあります。
出題されているチラシが、日本でよく見るものと印象が違うので、はじめは戸惑うかもしれません。しかしどこに何の情報が書いてあるかを把握していけば、読み取りはそこまで難しくありません。
チラシの下や端の方に示されている、補足の情報がカギとなることも多いので、問題を解くときは必ず一度は隅々まで目を通しましょう。
3-6 第5問
長文読解の問題です。
第6問の長文とは少し違い、内容が物語であったり、手紙やメールであったりとそこまで堅くないのが特徴です。
いずれの文章にしても時系列と場所の情報をしっかり押さえながら読むようにしましょう。
特に物語文では必ずしも出来事が語られる順番と、その実際の出来事の順序が一致しないことも多いです。
〜agoやwhen I was … years old などの表現から時系列を読み取れるよう,時を表す表現や熟語を文法書で一通り復習しておきましょう。
3-7 第6問
論説文の長文読解の問題です。
英語の長文のなかで最も配点が高く、ここをしっかりと正解することが大切になります。
それなりに長い文章なので全体の論理構造加えて、各段落のなかでの展開も問われます。
この各段落の内容についての設問では、”According to paragraph (1)”や”In paragraph (1)”のように問題となる段落がはっきり示されます。この示された段落のなかの情報のみで基本的に問題は解けるようになっているので、該当の段落をしっかり読み込みましょう。
そしてここの段落ごとの設問に丁寧に答えていけば、全体の流れはしっかり把握できます。加えて段落のはじめに示されている‘First’,‘Second’,‘Last’や‘Also’,‘However’などのディスコースマーカーに着目して、段落間の関係を整理しましょう。
最後の要約の設問はそれらを活かして頭の中を整理しながら解きます。
このように問題を解くうえでディスコースマーカーはとても重要な手がかりとなるので、もしあまり知らないのであれば文法書で復習して一通り覚えておきましょう。
4.まとめ
センター英語長文は癖がありますが、対策をしっかりすれば点数は確実に取れるようになります。
この記事の内容をふまえて、勉強を進めましょう。