医学部を目指している人が知っておくべき志望校の選び方と正しい対策方法

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医学部進学を希望されている皆さんに、まずはじめに行って頂きたい事は志望校選びです。

もちろん他の学部も先に目標を決めてから学習計画を立てるべきであるのは同様なのですが、特に医学部の場合はベースのレベルが非常に高い事、また大学によって出題傾向が全くといって良い程異なる事から、通り一遍の対策では到底太刀打ち出来ないからです。

他の学部よりも準備期間も長く必要になりますから、高校に入学してすぐのタイミングで志望校を選ぶのも中々難しいとは思いますが、そこは一日でも早く動き出した者ほど有利であると肝に銘じて、向かい来る茨の道を勇敢に突き進んで行って下さい。

1.そもそもあなたは医学部を目指すべきか?

冒頭でも述べましたが、医学部はベースのレベルが非常に高いため、ふと思い立って目指す、というのではまず太刀打ち出来ないと思って頂いた方が良いでしょう。

恐らく半数以上の受験者は親御さんが医師で、中学受験をする小学生時代から少なからず医学部進学を視野に入れて中学受験の志望校選びをしている、と考えても大げさではありません。

一般家庭から進学を志す人もいますが、その大多数はかなり小さい頃から「医師になりたい」という思いで小中学校時代にその下積みを築いている事が多いです。

そこで、医学部受験の大前提として「志望校選びを行う段階で以下の条件を備えていること」が必須と思って頂ければ良いでしょう。

ない場合で、それでも医学部に進学する意志が固いのであれば、3浪までを視野にいれ、期間を長めにとってまずは以下の条件を取りそろえる事に専念して下さい。

1-1. 基礎学力があること

医学部受験レベルの学習をする為には、『基礎学力』がなければ話が始まりません。

ではこの『基礎学力』は何かと言うと、中学3年生までに履修すべき内容はどの教科も(特に主要5教科については)9割方理解をし、かつ忘れてはならない事項はしっかり頭の中に整理していつでも引き出せるように留めてある状態の事を指します。

この基礎学力があれば学校の授業や定期テスト然り、模試や本番然り、事前に少しの学習で以て固めるだけで東大の二次試験等極端な難関を除けばまず6割の得点を下回る事はないと思われます。

それ故に、小学校時代から医学部進学を視野に入れてコツコツと学習してきた人は基礎学力を持っているので、出だしとしての底力があるのです。

もし自分の胸に問うてみて、中学3年生までにこの『基礎学力』が不十分な期間ないしは教科があると認識しているのであれば、今からでも遅くありませんからまずはそこを早急に埋める事に専念して下さい。

1-2. 受験科目で偏差値60あること

偏差値というのは

  • 学力のみならず制限時間内に与えらえた問題を全て解答出来るか
  • 問題の読み間違いがないかどうか
  • 解答の仕方の指示にきちんと従っているか

といった総合的に判断した結果が数値になっている訳ですので、学力の他に要領・注意力・集中力・正確性が求められると言う事になります。

如何に要領よく集中して精度の高い学習を継続していくかが重要です。そしてそれを行う為には、相当の自己管理能力が求められる訳です。

そこで、「偏差値60を取る」という事が一つの目安になります。

どうして偏差値60なのかというと、偏差値60を取るにはそれなりの要領・注意力・集中力・正確性が必要です。
一度でもそこをクリアしているという事は、これからもっとそれらの要素を磨いて行く上で最低限必要な体力(もちろん勉強においての)を備えているという事になるのです。

したがって、偏差値60を確保出来た段階で今後医学部合格レベルまでの険しい道のりを継続して乗り切れる、出来るだけ短い時間で必要かつ膨大な作業をこなして行ける土台が整った、と考えるのが賢明です。

ですからもし、まだ偏差値60が確保出来ていない段階の人であれば、前述の基礎学力同様、まだ医学部に特化した対策は早い段階です。

まずは偏差値60を超えるところまで一般的な受験勉強で到達するようにするべきです。

1-3. 得点源に出来る得意科目があること

得点源に出来る得意科目がある、というのは誤解のないように言っておくと、得意科目で点を稼いで、不得意科目で足りない点数を補う、という事ではありません。

特に医学部の場合は一科目でも不得意科目(どう頑張っても7割超える事が出来ない科目)があったらまずアウトですから、どの教科もマルチで8割9割取れる事は前提となります。

ただこの『得点源に出来る得意科目』と言うのは、仮にどんな状況であってもこの科目だけは必ず9割確保出来る、というものを指します。

万が一にも、調子が悪かったり問題との相性が悪くて他の科目で少しだけ転んでも確実に9割確保出来ている科目が一つあれば、そこを補えるからです。

今の時点でもしこの突出した科目がないのであれば、それを作る事から始めましょう。

どれにするか、それは自分が得点源としてコミットする為に準備が最も『楽』と感じる科目を選ぶのが良いと思います。

2.医学部受験の鉄則

では次に、具体的な選び方の話をして行きたいと思います。

これまでにも述べてきたように、医学部に関してはベースのレベルが非常に高く、かつ大学によって出題傾向が全く異なるため手広く受験しようとすればする程膨大な準備が必要になり戦況が不利になります。

かといって、1校だけに絞って毎年受け続けて受かるまで浪人する、という訳にも行きません。

そこで鉄則として、以下に述べる事を念頭におきつつ、まずは5校以内に絞り込む作業を行いましょう。

2-1. 得意科目に応じて志望校をえらぶ

「行きたい」と思う大学を先に選びたい気持ちはわかりますが、医学部の場合はとにかく準備に手間暇がかかるので、最も効率が良いのは既に得意科目であるものが武器になる大学を志望校として選ぶ、ことが重要です。

受験三教科全てが「やや難」または「難」という大学は少数で、大方のところはいずれか一科目が「難」で他二科目は「普通」か「やや易」といった感じになっていると思いますので、それらを洗い出したら最優先として自分の得意科目が「難」と言われている大学を選択するのが良いです。

自分の得意科目が普通かやや易だと、折角満点近く得点出来ても、その科目が得意でない人との差が歴然とつかないため、逆にそれ以外の科目を得意としている人にそちらで差をつけられて負けてしまう可能性が高いからです。

2-2. 出題傾向の似た所を志望校にする

出題傾向というのは具体的には

  • 英語であれば長文読解を重視している
  • 必ず英作文が出題される
  • 生物で言えば論述問題が多い
  • 化学で言えば無機はほぼ出題がなく有機と理論からの出題が殆どである

こういった部分です。

同じ一つの科目を学習する上でも、この『出題傾向』がバラバラであれば準備しなくてはならない範囲がむやみに増える事になりますから無駄ですよね。

もちろん、正論を言えば、どの範囲からどんな出題があろうが全てに対応できる学力をつけてこそ真の学力と言えるのですが、中々そうもいかないものです。

2-3. ハイブリッドの学習計画を(通常の学力+医学部対策)

おおよその志望校が選別できたら速やかに受験までの期間を逆算して学習計画の策定に入る訳ですが、医学部対策の場合はこの部分を二層構造で考えておかねばなりません。

つまり、通常の学力あってこその医学部対策であるので、そこを飛ばして医学部対策だけやっても全て穴から抜け落ちて行ってしまいます。

まずは一般受験である一定のレベルを受験し合格出来る程度の学力をつけ、その骨子の上に医学部対策という補強材をじわじわと塗り固めて行く必要があるのです。

ではこの一般受験で『ある一定のレベル』は具体的にどのレベルを指すのかという話ですが、ズバリ言ってしまえば早慶上智レベルです

厳しいようですが、医学部を合格圏に導き寄せるには一般の学部でこのレベルを確保出来ていないと補欠に引っかかる事すら難しいと考えて良いでしょう。

3.出題傾向を知るためには

では上記で述べた出題傾向を具体的に知るにはどうしらた良いのか、具体的に書いて行きたいと思います。

3-1. まずは各校の過去問をやってみる

出題傾向を知るために一番良いのは気になっている大学の過去問を一通りやってみて、自分はそれを『難』『やや難』『普通』『やや易』『易』のいずれと感じるのかを見てみるのが最も望ましいです。

傾向を知る目的で過去問をやる際には時間は計らなくていいので(まだ時間内に回答する実力が固まっていない時期でもありますので)、一通り目を通してみて、また巻頭にある出題傾向に関する説明等も読んで参考にしましょう。

3-2. 医学部受験ガイド誌を参考に

誤差はあるとはいえ、長年の経験をもとに編集された受験案内は貴重な情報源である事は確かですから、もちろん掲載されている情報は大いに参考にして下さい。

そして、そこに載っている一般的な評価と、自分の目でみた評価とを併せ考えて、じっくり出題傾向を把握した上で最終決定するようにしましょう。

4.「国公立」「私立」それとも「両方」を受けるか?

ところで、国公立にするのか私立にするのか、あるいは両方から受けるのかで迷う人も少なくないと思います。

そこに関しては家庭の事情等もあり、自分の意志だけで簡単に決められない部分でもありますが、あくまで考え方として以下にヒントを書いておきたいと思います。

4-1. 学費だけで決めない

予算の問題は深刻ですから、まして6年間の課程でベースの学費も通常の学費より高い医学部ともなると私立より国立の方が助かります。

しかし当然の事ながら国立の場合には通常の二次対策に加えてセンター試験対策も必要になって来ますし、同じ偏差値でも私立と比べると難易度は高いと言われています。

また国立前提で勉強している人の多くは、地方国立も視野にいれて(あるいは地方国立狙いで)準備していることと思います。

その際に、かかる住居代や週末や休暇ごとに帰省する交通費、食費等を考えたら左程の差が出ない場合も多々あります。

また、国立の方が進級に対する評価がよりシビアですから、期ごと学年ごとに求められる学業成績を達成していなければ、留年しやすいのも事実です。
私学のようなフォローアップも国立には少ないと考えておいた方が良いでしょう。

また、合格しにくい国立に絞って受験したばかりに3浪するよりは、その間の予備校代や書籍代等も考えると現役または1浪で私学に進んだ方がトータルで安上がり、という場合もあります。

そう考えると、国立だけを狙うのは得策ではないので、双方の準備をする手間暇がかけられるのであれば少なくとも国立と私立を併願するのが良いでしょう。

そして、地方国立ならどこでも、というのでなく、極力自宅ベースで通える範囲の国立+私立、という選び方をするのが基本的には良いと思います。

4-2. 余程の自信がなければ私立専願が吉

ただし、国立の医学部ともなるとセンター試験も全ての教科をほぼ満点近く得点するのが当たり前です。
そうして二次試験に進んできた精鋭たちの中で更に勝負する訳ですから誰にとっても合格するまで確実という事はないですし、想像以上に手間暇がかかる事は覚悟せねばなりません。

自分のキャパともよく相談して、下手したら今後5-6年に渡ってひたすら勉強する毎日が待っている事を考え、そこを乗り切る余程の自信がなければ潔く私立専願にして受験科目のみを深く掘り下げて勉強していった方が戦略としては無駄がないかもしれません。

またトータルコストにおいても、上で述べたように国立か私立かで考えるのではなく、卒業して国家試験に合格するまでの年数で考えるべきなので、走り出す前に時間をかけ家族ともよく相談した上でどうするのか決めて欲しいと思います。

5.まとめ

さて、医学部受験対策の大切な第一歩である志望校選びについて述べて来ましたが、如何でしたでしょうか。

少子化にもかかわらず、近年医学部受験者数が増える傾向にあります。

社会人を数年経験してから、やはり医師を志したいと考え直して再受験する人も増えています。

冒頭でも書いたように、医学部受験は茨の道である事は確かです。考えている以上に難しく、合格を勝ち取るには幼少の頃からの長年に渡るたゆまぬ努力と自分に負けない精神力が必要になります。

でも、だからといって簡単に諦めないで下さい。

再受験の道もありますし、最終的には何年かかろうと、合格を手にする事が夢への第一歩なのですから、茨の道を選択した事を是非誇りに思って、突き進んで下さい。

この記事が、皆さんの合格への日々を少しでも縮めるきっかけになれば幸いです。

著者情報

究進塾 編集局

究進塾 編集局
東京・池袋にある究進塾の編集局です。受験指導のプロが大学受験に役立つ情報をお届けしています。 大学受験対策コースはこちらからご覧いただけます。
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