二次関数の勉強でおさえておきたいポイント
1.はじめに
高校に入ると、まず数ⅠAを学習します。その中で、最初の難関が二次関数です。
中学校の数学でも簡単に二次関数の勉強をするとはいえ、高校で学習する二次関数は、中学校で学習する内容よりも圧倒的にレベルが高いです。そのためいきなり挫折を経験してしまい、高校に入ってすぐ「数学は難しい」と勘違いしてしまうのです。
今は数Ⅰの学習をしていることと思いますが、今後ほとんどの人が学習する数Ⅱの微分積分や、理系に進むと学習する数Ⅲの基礎になるのが数Ⅰの二次関数なので、しっかり今のうちに苦手を克服していきましょう。
2.二次関数をマスターする上で抑えておくべきポイント
まずは、二次関数をマスターする上で必要なポイントを見ていきましょう。
2-1. 平方完成
まず最初に挙げられるのが、平方完成です。
では、なぜ平方完成が必要なのでしょうか。
例えば、 y=2x2+8x+9という式があったとしましょう。これだと、二次関数の頂点の位置がすぐには分かりません。どこが頂点なのかは二次関数の重要なポイントですし、グラフを書く上で必要です。
では先ほどの式を、早速平方完成してみると、
y=2x2+8x+9
=2(x+2)2+1
となります。
ちなみに、方程式がy=m(x-a)2+bで表されるときに、頂点の座標が(a,b)なので(符号に注意!!)、今回の頂点は(-2,1)であることが分かります。
平方完成は最初慣れるまでは時間がかかったり間違ったりしてしまうこともあるでしょうが、二次関数の勉強をする上で特に抑えておくべきポイントです。
先ほどの例のレベルであれば30秒程度でできるように練習していきましょう。
2-2. 解の公式・判別式
言わずと知れた、解の公式です。
方程式がで与えられる時、解は で表されます。よくこの式を確認すると、分子にルートがあります。ルートの中は正の数でないとならないので、その性質を用いて判別式というものが使われます。
となるので、きちんと理解しておきましょう。
2-3. 素早く作図をできるようにしておく
二次関数の典型的な問題としてあげられるのが、範囲をなどとして、場合分けをして最大値と最小値を求める問題です。
この場合は、すぐにグラフとxの動く範囲を図示できるかどうかが出来を左右します。
まずはきちんと平方完成ができる力をつけ、素早く作図ができるように練習を重ねておきましょう。
3.二次関数の勉強法
二次関数の学習で押さえておくべきポイントがわかったところで、早速二次関数の勉強法を見ていきましょう。
この二次関数に関しては、冒頭でもお伝えした通り、高校数学でぶつかる最初の関門と言えます。
では二次関数の勉強法を、レベル別で紹介していきます。
3-1. これから二次関数の学習を始めるレベルの方
はじめて二次関数を勉強する時は、当然ながら基礎基本となる知識も頭に入っていない状態です。ですので、まずは教科書や参考書を使って、基本事項を頭に入れることが最優先です。
教科書に載っているものはもちろん重要なものばかりですが、中でも気を引き締めて必ずマスターしなければならないのは、先ほども伝えたように「平方完成」「解の公式・判別式」「二次関数のグラフの作図」の3つです。
しっかりと教科書を読みこんで公式を頭に叩き込むと同時に、教科書の例題や練習問題も疎かにせず自分の手を動かして何度も練習することが重要です。
平方完成に関しては、y=2x2+4+5のような具体的な数字の問題で練習することに加え、文字を使った一般形:y=ax2+bx+cでも平方完成ができるようにしましょう。
平方完成、解の公式、二次関数のグラフの作図の範囲の教科書レベルが完璧になったら、続いて学校で配られている教科書汎用の問題集(4STEPやクリアーなど)を使って、自分だけの力で問題ができるかを確かめていきます。
もちろん間違えた問題には印をつけ、解説を読み込んでできるようになるまで繰り返し練習しましょう。
3-2. 定期テスト対策レベルの方
まずは基本事項がきちんと頭に入っているかを確認しましょう。その際、教科書を最初から読み返すと時間が余分にかかってしまうので、学校で配布されている問題集などを使って実際に問題を解いて解説を読み、それでもわからない疑問を教科書などを使って解決するのがベストです。
「わかるとできるは違う」などとよく言いますが、頭ではわかっていても実際にできなければ点数には繋がらないので、きちんと「何も見ずにできるようにする」ということが大切です。
3-3. 共通テスト対策レベルの方
基本的な学習の流れは、定期テスト対策と変わりません。ただし学校で配布されている問題集は、共通テスト対策用の問題集ではない場合がほとんどなので、専用の問題集を使うことをおすすめします。
共通テストの特徴として、「難問奇問が出題されない」、「制限時間がやや厳しめ」、「誘導に沿って進める」というものがあるので、素直な問題を正確にかつ素早く解けるようになることが重要です。
共通テストは典型的な問題が出題される場合がほとんどなので、必ず全ての問題を解けるようにしておきましょう。
また、センター試験からの変化としてⅠAの試験時間が10分伸び、処理する文章量が大幅に増加、問題のニュアンスも純粋な計算力重視から思考力や応用力、原理的理解度を測るようになりました。
共通テスト対策の問題集としておすすめの問題集を2冊紹介しておきます。
3-3-1 チャート式 大学入学共通テスト対策数学ⅠAⅡB
まず最初に紹介するのは、緑チャートです。
この問題集は分野ごとに分かれており、「二次関数の分野だけ学習する」というような使い方ができ、非常に便利です。
また問題も過去の試験問題を採用しているので、徐々に解けるようになっていく実感が得られるのもおすすめの理由です。ぜひこの緑チャートで、共通テスト対策を完璧にしてください。
3-3-2. 共通テスト総合問題集 数学I・A
続いては、数ⅠAの共通テストの練習をする問題集です。これは特定の分野の力をつけるというよりは、数学Ⅰという試験全体で点数を最大化するために通しで練習するのに使うのがおすすめです。
ですので、まずは緑チャートで各分野の力をつけ、きちんと力がついた段階でこちらの問題集に取り組むのがおすすめです。
3-4. 二次試験対策レベル
二次関数は、高校数学全体の基礎だと言っても過言ではありません。最初に学習する分野ということもあり、文系理系問わず、二次試験ではまず出題されることはありません。
ただし侮ることはできません。どこかの分野と融合して出題される可能性はありますし、他の分野の土台となるのがこの分野です。
二次試験対策として二次関数を勉強する必要はありませんので、共通テストの二次関数の問題で、安定して8割ほど取れるようであれば十分です。
8割を目指して共通テストレベルの勉強を進め、取れるようになってきたら他の分野の学習に移りましょう。
4.まとめ
今回は、二次関数の勉強をする上で押さえておくべきポイントや、二次関数の勉強法を紹介してきました。
気合を入れて学習をしないと、二次関数という分野に苦手意識が付いてしまうだけではなく、数学という教科全体に苦手意識が付いてしまう可能性もありますし、二次関数は今後学習していく微分や積分など、多くの分野の基本となるので、そのような発展分野でもつまずいてしまう可能性が高くなります。
ぜひこの機会に二次関数をきちんとマスターしておきましょう。