苦手でも大丈夫!生物を得点するためのコツをとことん解説

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生物が苦手で勉強法が分からない、どうやったら点数を伸ばせるのか、いやむしろどこから手を付けたらいいのか、覚えるコツはないのか、一体どういうことを出題されるのか、入試までに間に合うのだろうか…?大学入試で生物を選択される方は、少なからずこういった疑問や不安を持ったことがあるのではないでしょうか。

・0から独学でやって入試で選択しなければならない
・学校で生物の授業を受けてきたけど、ほとんど頭に残っていない
・得意な単元もあるし、苦手なところもあるけれども、全体として自信がない
・生物で受験するけれども、放置している間に時間がどんどん過ぎてゆき、何も手がついていない
・他の教科で点数を取って、生物は何とか足を引っ張らない程度にできればいいやと思っている
・数学や英語に時間がかかるので、生物の勉強に時間を費やす暇がない

など。複数当てはまる人が多いのではないでしょうか。あるいはこういうことはありませんか?

・医学部受験用に生物を勉強しているけれども、過去問の傾向では物理の方が簡単らしくて生物を選択したことを後悔している

そういう方に生物の指導をする中でいつもこう言うようにしています。

「ぜひ、生物で他の受験生に差をつけませんか?」
「生物のおかげで合格できるくらい、とっておきの勉強法を試してみませんか?」

生物の大学入試対策はコツさえ掴めば得点源にすることができます。生物で合格点を勝ち取るための方法をご紹介しますので、生物の勉強に悩んでいる方は参考にしてみてください。

1.受験科目「生物」とはどういうものか

生物にはインプットとアウトプットの両方を繰り返す必要があります。しかし、その回数や中身の濃さを重視する必要があります。

教科書を読むだけではダメ。問題集を解くだけでもダメ。基本知識の繰り返しに次ぐ繰り返しの整理が必要です。

基礎確認の繰り返しをやるうちに、いつの間にか応用問題にも対処できるようになります。なぜでしょうか?それは生物とは次のような科目だからです。

1-1.「生物基礎」と「生物」の対策方法は同じ

大学入試の生物には、範囲の分け方で「生物基礎」と「生物」の2つの科目があります。大学の学部によって「生物基礎」のみの場合、「生物基礎」と「生物」の両方の場合とがあります。

教科書の内容を説明できるようになりさえすれば、扱う範囲が違うだけでどちらの科目でも高得点が取れます。

いずれの場合にも共通していえることは、各単元の内容の基本的なことを説明できるようにしておけばいいということです。基本の説明をする、ということを入試問題が求めているからです。

例:「赤血球を蒸留水の中に入れたときに起こる現象について、30字以内で説明しなさい。」(2016年度昭和大学)範囲は「生物」の「生命現象と物質」
例:「一次遷移と二次遷移の特徴を説明せよ。」(2016年度鳥取大学)範囲は「生物基礎」の「生物の多様性と生態系」

どちらも対策としては教科書内容を説明できるようにしておけば、答えられる問題です。「生物」であろうが「生物基礎」であろうが、合否を分けるのはこのような説明ができるかどうかなのです。

1-2.「物理」との違い

生物は暗記量が物理より大幅に多いです。用語がいっぱい出てくるから覚えなきゃいけないと焦っている方は相当います。

しかし結論から言って、説明をしてみたり書いてみたりを繰り返しやれば、物理より短時間に、そして確実に合格圏内の得点を取る実力を身につけられます。

「物理」に対して、「生物」を選択することのデメリットを挙げてみましょう。

デメリット
・暗記することが多い・超高得点(共通テスト満点など)が取りづらい
・問題文が長く、読解力を必要とされる
・記述量が多い
・考察問題が多い

こう挙げてみると、いかにも不利なように見えてきますが、基本の説明の練習を要領よくやることで暗記すべきところは短時間で定着でき、暗記した分だけそのまま点数につながります。

記述や考察も普段の勉強方法次第で簡単に対策できます。読解力が必要というのも、裏を返せば文章をしっかり読むことをすれば、点数を取りやすいととらえることもできます。また、共通テスト満点は、必ずしも必要はないですよね。満点じゃないと受からない大学なんて日本中どこにもありません。8割程度の得点を取るために払う努力が少ないことや、才能が必要ないということが、生物のよさなのです。

2.生物の勉強のコツ

では、基本の説明をするとは具体的に何をすればいいのでしょうか。重要なことは繰り返しになりますがインプットとアウトプットです。

2-1.自分でアウトプットしたものを自分で見ることが重要

時間をかけた割には点数が伸びないとか、つい2,3日前に覚えたはずの内容を確認してみたらもう忘れているなどといった受験生は非常に多いです。そういった方の勉強方法を覗いてみると大抵下の3つのどれかに当てはまります。

・ひたすら問題集だけを解いていっている
・ひたすら教科書だけを読み続けている
・教科書と問題集を併用しているが、主にやっていることは覚える内容をノートやルーズリーフにまとめていっている

このようなやり方で1年間くらい勉強しても、まだ実際の入試問題に答えられないということがざらにあります。自分でアウトプットしたものを自分で見てみるという作業が決定的に足りないからです。
彼らがやっていることは、他人がアウトプットしたものを見るという作業です。今頭の中にあることを確認しながら進めることが一番大切です。自分の記憶内容を構築していくには、自分の記憶の内容を知ることが最も重要だからです。

2-2.インプットの方法

まずは教科書の本文を一通りすべて読んでください。生物の全体的な内容がどんなものであるのか、どういう単元があるのかをぼんやりでいいからつかんで準備体操をするためです。

例えば、「ホルモン」と「遺伝子の発現」や、「酵素」と「土壌中の細菌の働き」といった本来異なる単元で紹介される内容でも、実は関連があるのだというイメージを作ってから次のアウトプット作業に行った方が、より中身の濃い勉強ができます。そのための準備体操です。
また、全体を読まないまま少しずつ最初から覚えていくやり方よりも、まずは全体の分量をつかんでしまった方が、全体を通してのペース配分をイメージすることもできます。

それによって、生物初学者が陥りやすいことなのですが、1つの単元に時間をかけすぎて、気づかないうちに日数が過ぎていき、結局後の方で学習する内容にかける時間が少なくなってしまうということを防ぐことができます。

従ってここでは何一つ暗記する必要はありません。単に他人のアウトプットを受け入れて暗記するということは難しく、無理に暗記したところで読んだだけの知識ではすぐに忘れてしい、何といっても入試問題で利用できる形にはならないです。書いてある内容を理解することだけをしましょう。暗記はあくまでも次のアウトプットの段階で行うことになります。

「生物基礎」で半月、「生物」で1か月くらいを目安に、1日10~15ページくらい読んでいけばよいでしょう。

2-3.教科書と問題集を使ってアウトプットする

一通り読み終わったら、何を暗記すればいいのかを知るために問題集を併用します。

セミナー生物基礎+生物(第一学習社)」または「実践生物重要問題集 生物基礎・生物(数研出版)」のどちらかを使います。

セミナーは「生物基礎」と「生物」の単元がはっきり分かれていて、より基本レベルに近い問題が多く扱われています。一方、重要問題集は「生物基礎」と「生物」がはっきりとは分かれておらず、記述問題も随所にちりばめられています。従って「生物基礎」のみの場合や、「生物」があっても入試がマーク式のみの場合はセミナー、「生物基礎」と「生物」の両方で記述もあるという場合は重要問題集がいいです。

まずは基本事項の暗記のために、セミナーなら基本問題までを、重要問題集ならばA問題までを章ごとにやります。基本問題とA問題だけで、まずは覚えておきたいポイントが網羅されているので十分です。問題を解くだけでなく、その問題に必要な情報を「白紙」の上に書くということをやりながら進めてください。それで自信がついた後で発展問題やB問題をやります。

2-4.「白紙」を使いアウトプットをする

問題の内容をまずは解説と教科書を見ながら「白紙」にまとめます(1回目)。
この「白紙」は、大きくイラストや表を書けるものが良く、また取っておくことはせずに捨ててしまうものなので、A4かB5程度の何も書かれていないまっさらな紙を用意しましょう。イラストで描けるものは必ずイラストで、情報の羅列型の物は問題を解くのに必要な表をまとめます。調べながら書いたものなのでこれはあくまでもインプットにすぎません。

次に、もう一度同じ問題を今度は何も見ずに「白紙」にまとめます(2回目)。
これがアウトプットしたものを自分で確認してみるという作業です。この作業が暗記に大いに役立ちます。これでまだ曖昧にしかまとめられない場合は、続けて3回目、4回目と書けるようになるまで見ずにまとめることをやっていきます。日をまたいでもまたがなくてもOKです。結果としてどの問題も2回以上「白紙」にまとめることになります。

■まとめ方の例

・イラストにまとまる場合
生物コツ1

生物コツ2

問題として核、葉緑体、ゴルジ体、ミトコンドリアが扱われたのでこのような「白紙」のまとめをしました。書いたのは問題文で出てきた情報のみです。所要時間は2分でした。初めてで調べながらする場合でも、長時間だらだらやると集中力も切れてよくないので、10分程度で仕上げる意識をしてみましょう。

・イラストにまとまらない場合

生物コツ3

生物コツ4

生物学史の事実なので、イラストにするには無理があります。これは教科書や問題集の裏表紙などを見て、問題に関する事柄の列挙だけをします。これも同様に1回目は調べながら、2回目は問題文だけを見て調べないで書くということをします。

このようにして「白紙」にまとめた情報は、覚えるために使ったらあとは取っておく必要はありません。覚えたら捨てて、また問題を解くときに書いてみては捨てを繰り返して、頭の中に覚えることを目標にします。

セミナーか重要問題集で覚えていくという段階では、基本的にすべての問題についてこのような作業をしながら覚えていきます。アウトプットしたものを自分で見てみるという作業が、やはり効果的で確実な覚え方だからです。

一方、それが一通り終わって過去問演習をする段階では、解けなかった問題について同様のことをしてみましょう。これは「白紙」に書くべき情報と、文章で答える記述内容とリンクさせるのにうまく働くからです。

■過去問演習段階での「白紙」の利用
イラストや表を書いてみて文章化するということをやらないと、不十分な記述を書いてしまいがちです。まずは「白紙」に頼らずに問題を解いてもいいのですが、解けなかった問題を復習する際にぜひ「白紙」にまとめをしてみましょう。1-1で挙げた過去問を例にとります。

例1「赤血球を蒸留水の中に入れたときに起こる現象について、30字以内で説明しなさい。」

不十分な解答例①「浸透して赤血球の膜がやぶれる」
→溶血、透明といったキーワードが欠けています。②「溶液が透明になる」
→理由が欠けています。

生物コツ5

正答例:水が赤血球の細胞膜を浸透して溶血するので、赤色透明になる。(29字)

例2「一次遷移と二次遷移の特徴を説明せよ。」

(解答欄は3行で100字程度が収まる大きさ)

生物コツ6

正答例1:一次遷移は溶岩台地や岩盤などの裂け目にコケ・地衣類が生え、少しずつ土壌ができてきたところに草本植物、低木の順に芽生えることでより一層土壌が層を増す。ここに成長速度が速い陽樹が森林を形成するが、林床は暗いので陰樹の苗木が芽生える。陽樹が枯死したところに陰樹が成長し極相林が形成される。一方二次遷移はもともと土壌が豊富にある田畑や住宅地の空き地等の地下茎や種子から草本植物が芽生えて同様に極相林に向かうことをいう。

問題には答えていますが、やや冗長で解答欄に収まらない可能性があります。「白紙」にまとめたことを踏まえたうえで、一次遷移と二次遷移の違いに焦点を当てて簡略化するとこうなります。

正答例2:一次遷移は溶岩台地など、有機物を含まない裸地から始まる遷移で、コケ・地衣類から始まる。二次遷移はもともと土壌と地下茎、種子などの有機物を含む土地から始まる遷移で草本類から始まる。(94字)

このようにまとめてもよいでしょう。「白紙」のまとめをすることで、必要な情報だけにスポットライトを当てて答えることができる例です。

3.まとめ

生物の勉強をするコツは、このような「白紙」の利用しインプットとアウトプットの両方をやっていくことです。自分の知識を客観視するというこのやり方は、多くの受験生がやっていないことです。
おそらく、知識の累積が大切だという一見正しそうな単純な考え方のために、ひたすら読むだけ、解くだけということをしてしまいがちだからではないでしょうか。

「白紙」は結局捨ててしまっていいものなので、時間をかけずにやってしまうことで手間をかける必要がありません。短時間で書き上げることをしていけば、結局全体としての勉強時間の節約にもなり、他教科にかける時間も確保できます。
ぜひ、わずかの受験生しかやっていないこの効率の良いやり方を試してみてください。

著者情報

究進塾 編集局

究進塾 編集局
東京・池袋にある究進塾の編集局です。受験指導のプロが大学受験に役立つ情報をお届けしています。 大学受験対策コースはこちらからご覧いただけます。
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