【目標点別】共通テスト化学で高得点を取るための勉強法 

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共通テスト化学の対策をいざはじめようとすると、「共通テスト化学ってどんな問題がでるの?」「どんな勉強が有効なの?」などと様々な疑問が浮かんでくるかと思います。

さらに理系の受験生で二次も化学を選択する場合、二次対策とは別に共通テスト専用としてどのような勉強が必要かも気になるところでしょう。

この記事ではこうした疑問を解決できるよう、共通テスト化学の特徴と、理系受験生のための目標点数別の勉強法を紹介していますので共通テスト化学の勉強で悩んでいる人は参考にしてみてください!

1.共通テスト化学の特徴

1-1.共通テスト化学の全体の特徴

共通テスト試験の特徴はずばり二つです。

①奇をてらった問題はなく、化学の基礎をまっすぐに問う問題が多い
②うっかりミスを誘う問題、ひっかけ問題が一定数ある。

②について少しわかりにくいので説明を加えたいと思います。

例えばよくある中和に関する問題で、「以下の図は10mlの水溶液Xに水溶液Yを加えたときの図を表している。水溶液XとYの組み合わせを選べ。」と書いてあり、与えられたpH図からXとYの組み合わせを選ぶものがあります。この問題では反応前のpHの値(=Xが酸性かアルカリ性か)、中和点のpHの値(=X,Yの酸・アルカリの強さ)、中和した時点での加えたYの量(=XとYの濃度関係)どれか1つでも見落とすと正解できません。

このように考えるべきポイントを漏れなく押さえていかないと間違った選択肢に「ひっかっかって」しまう問題が共通テスト試験にはあります。過去問などでパターンを知って経験値を積むことで対処していきましょう

以上のように、共通テスト化学で高得点を目指すには、基礎力を確実につけていくのに加え、過去問の傾向を知りひっかけ問題など共通テスト特有の変化球を打ち返せるようにすることが大切です。

1-2 共通テスト化学の分野ごとの特徴

1-2-1 理論化学(第1問、第2問)

理論化学は第一問と第二問にあたり、化学的な概念や、物質に関する知識を問いつつも、化学反応の量的な計算が中心となっています。

計算問題では、物質の変化、酸化還元反応、中和反応、化学変化とエネルギー、平衡などの内容が主となっています。ここの部分では先述した「ひっかけ問題」が多いので過去問を解いてよく研究しておきましょう。

また知識問題では理論化学の内容を広く浅く問われます。細かい選択肢もあるので、もれのないようしっかり理解しておきましょう。

1-2-2 無機化学(第3問)

共通テスト化学では、化学の3つの分野のなかで最も手強いのがこの無機化学分野かもしれません

二次では無機化学分野でも計算問題が多かったりすると思いますが、共通テスト化学の無機は知識中心で、物質に関する細かい知識も問われます。そのため暗記しなければならないことが多く、また8割以上を目指すとなると一気にコスパが悪くなります。しかし裏を返せば8割までは勉強量に比例して点数が取れるようになるので、対策の価値はあります。

1-2-3 有機化学(第4〜7問、ただし第6問と第7問はどちらか一方を選択)

第4問は脂肪族および芳香族が中心、第5問以降は高分子化合物が中心です。構造決定の問題は、あらかじめ問題文に構造式が書いてありそこから選ぶので比較的簡単です。知識問題は理論化学分野と同様、広く浅く問われるのでもれのないように勉強しておくことが大切です。

有機化学分野は比較的満点が取りやすいですが、そのために1つ注意しておきたいのが実験問題です。有機化合物の合成実験について、その方法・材料・器具について問う問題が頻出ですが、単元としてまとまったものがあるわけではなく対策がおろそかになりがちです。直前でも構わないので、一通り頭に入れておきましょう

2.共通テスト化学の勉強の進め方のポイント

具体的な勉強法の説明に入る前に、スケジュールも含めた全体のアウトラインについてみておきましょう。共通テスト対策の勉強は大きく分けて二つあると考えます。

①化学そのものの勉強(教科書・参考書や問題集で主に対応)
②共通テスト試験の形式に慣れるための勉強(過去問で主に対応)

①は説明するまでもありませんが、理論・無機・有機化学の内容そのものを理解し、それぞれの問題を解けるようになるための勉強です。
一方、②は過去問などを解いてマーク式に慣れる、あるいは無機化学の知識など共通テスト試験で特に細かく問われる範囲を集中的に把握する勉強です。どちらも大切で、①で土台を固め、直前期に②で共通テスト試験への感覚をつかむことで対策の完成度が高まります。

また共通テスト試験で化学を受験する理系受験生は、二次でも化学を受験することが多いかと思います。その場合、当たり前ですが①は二次対策と大きく重なります。なので勉強のベースはあくまで二次対策において、共通テスト対策はその線上に位置づけて進めるのがおすすめです。

イメージとしては12月ごろまでは二次の勉強も兼ねて①を時間の許す限り進め、12月にはいったら徐々に②にシフトしていき、年明けからの直前期にはひたすら過去問を解きながら穴を埋めていくという感じです。

3.共通テスト化学の過去問への取り組み方

3-1 とりあえず一度解いてみる

まだすべての範囲を勉強し終わっていないという場合でも、受験の一年前には一度共通テストの過去問をぜひ解いてみるべきです。

共通テストは問題自体はそこまで奇をてらったものは出ませんが、形式はすべて選択肢のマーク式なので特殊と言えます。過去問を解いてなんとなくでも知っておくと、その後の対策の計画が立てやすくなります。

また問題の難易度や特徴をつかむためには、実際に解いて肌で感じてみるのが一番いい方法です。まだ学習の追いついていない範囲があればそこは飛ばしても構わないので、分かる範囲で一度問題に目を通しましょう

3-2 直前期はひたすら過去問を解く

「2. 共通テスト化学の勉強の進め方のポイント」でも書いたように、共通テストでは「化学の内容そのものをどれだけ理解しているか」はもちろん、「共通テストの形式・傾向にどれだけ慣れているか」も重要なポイントとなってきます。

形式・傾向を知るのに過去問以上の問題集はありません。年明けからは追試も含め、共通テストの過去問を解きまくりましょう。もちろん解いたら間違えた部分はなぜ間違えたのかをしっかり分析しておくことが大切です。

また過去問は形式・傾向の感覚をつかむために使うのであって、基礎力を上げる効果はあまりありません。過去問をやってみて基礎が足りないと感じたり、抜けている知識があったりする場合はそのつど参考書や教科書に立ち返りましょう.

4.目標点数別!共通テスト化学の勉強法とポイント

ここからは勉強法を目標点数別に詳しく解説していきます。「2.共通テスト化学の勉強の進め方のポイント」で先述したように、勉強のベースは基本的に二次におきます。そのうえで共通テスト試験の傾向に合わせた勉強で肉付けするイメージで進めていきましょう。

 4-1 70点以上を目指す人の勉強法

〘戦略〙
70点までは細かい部分の知識はなくても、基礎の大筋を理解して演習をつんでいけば、勉強した分だけ点数が上がっていきます。基礎をしっかり理解することを中心に取り組みましょう。

〘勉強法〙
基礎の理解におすすめの参考書が「岡野の化学が初歩からしっかり身につく」です。

岡野の化学が初歩からしっかり身につく「理論化学(1)」(技術評論社)

岡野の化学が初歩からしっかり身につく「無機化学+有機化学(1)」(同上)

岡野の化学が初歩からしっかり身につく「理論化学(2)+有機化学(2)」(同上)

この参考書は、実況本形式の本で、語り口調で筆者が解説をしています。初歩的な内容を広く浅く扱いつつも、しっかりと全範囲を網羅していて、初学者でも一冊読めば全体像が把握できます入門用として特におすすめです。一度読んでみて、難しかったり複雑だと感じたりした部分は読み直して、人に説明できるくらいまで頭にしみこませましょう。

「岡野の化学が初歩からしっかり身につく」を一通り終えたら、次に問題演習をしていきます。問題集は「らくらくマスター化学基礎・化学」がおすすめです。

この問題集は基礎レベルの問題を広く・浅く扱っています。こちらの問題集を進めつつ、分からないところは「岡野の化学が初歩からしっかり身につく」で確認すると基礎のもれがなくなります。間違えた問題は最低でももう一度解き直すことで、定着度をあげることができます。

直前期には過去問を最低5年程度は解きます。これで共通テスト試験の形式や傾向は把握でき、感覚がつかめます。目標点数が70点までの場合、共通テスト専用の勉強はこれだけで十分かと思うので、そのぶん過去問にはしっかり取り組みましょう

4-2 80点以上を目指す人の勉強法

〘戦略〙
80点ラインを目指す場合、【計算問題ほぼ満点】+【知識問題そこそこ(7割くらい)】で考えていくのが現実的かと思います。なぜなら「1-2 共通テスト化学の分野ごとの特徴」のところで先述した通り、共通テスト化学の知識問題(特に無機)は、二次でも問われないような細かい知識を聞く問題が一定数あるからです。

ここまでで何度も述べてきたように、理系の場合は共通テスト対策ばかりに時間を割くわけにもいきません。なのでコスパの面から、知識問題で高得点を狙うより、計算問題の精度を上げていくほうをおすすめします。

〘勉強法〙
知識問題への対策、および計算問題の基礎力をつける方法ですが、「70点以上を目指す人の勉強法」と同じところからはじめていくのがいいかと思います。あとは二次の勉強をどんどん進め、さらに基礎力を高めていきましょう。セ共通テスト模試で最低でも75点を取れるくらいまで実力を伸ばしていきます。

そして直前期には計算問題への対策を中心に行います。共通テストの計算問題は難しくはありませんが、ミスを誘うように作ってあることが多々あります。過去問を5〜10年分解いて間違えたところをストックしておき、共通テスト試験でよくあるひっかけのパターンや、自分がミスをしやすいパターンを知っておきましょう。

4-3 90点以上を目指す人の勉強法

〘戦略〙
90点以上を目指すとなると、落としていい問題は2問程度です。したがって【計算問題満点】+【知識問題ほぼ満点】で考えていきましょう。

〘勉強法〙
まず90点以上本番でとるためには、共通テスト模試で最低でも80点取れる基礎力が必須です。共通テスト直前期に入るまでに二次の勉強を通じて土台をしっかり作っておきましょう。

そして直前期には計算問題対策の仕上げと、細かい知識問題への対策をします。計算問題の対策については「4-2 80点以上を目指す人の勉強法」と同様に、「過去問を解く→間違えた問題をストックし、ミスのパターンを知る」という作業を過去問10 年分くらい繰り返し行い、ミス対策を極めます。

また知識問題の対策にも過去問が一番おすすめです。以下の2つの理由からです。

・共通テスト化学の知識問題には独特の傾向がある
・必ず全範囲からまんべんなく出題されているので、5〜10年分やり、足りない部分の知識を確認していくとだいたい全範囲の内容をカバーできる

過去問の知識問題部分のみを解き、丸付けをしたら間違いが何個か出てくると思います。そうしたら間違えた問題にあたる部分を前後の内容も含めて、教科書や参考書で確認しましょう。さらにそれらをノートにまとめておくと試験前日に見返せて、確認できるし精神安定剤にもなるのでおすすめです。これらの作業をひたすら5〜10年分やっていくと知識の穴が徐々に埋まってきて、点数アップにつながります。

5.まとめ

共通テスト化学は勉強した分だけ高得点を狙うことができ、二次の基礎固めにもなるので、対策に力を入れない理由がありません。基礎力を伸ばし、過去問でしっかり傾向をつかんで、本番でいい結果を出しましょう。

また本記事では共通テスト化学に特化した勉強を解説しましたが、二次対策も含め化学の基礎力を伸ばす勉強法は「絶対に知っておきたい高校化学の勉強法のすべて」の記事に詳しく書いてあります。こちらもぜひ参考にしてください。

著者情報

究進塾 編集局

究進塾 編集局
東京・池袋にある究進塾の編集局です。受験指導のプロが大学受験に役立つ情報をお届けしています。 大学受験対策コースはこちらからご覧いただけます。
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