英語の音読の方法|正しいやり方を知り確実に効果を出すには

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受験英語界を中心に、現在英語の音読学習法が注目を集めています。
音読学習は、「声を出して意味を理解しながら読む」という単純な行為だけで、スピーキング、リスニング、リーディング力を一度に身に付けるというものです。

しかし、「本当にこれだけで充分?」と懐疑的になる人もいることでしょう。実はやり方を間違えたら効果が薄いことも確かにあるのです。

この記事では英語の音読の正しいやり方と、それによる本当の効能についてお話をしていきます。

ただ読むだけでは効果が薄い

英語の音読勉強法は、「精読した英文を数十回繰り返し音読をする」というものですが、これをただやるだけでは効果が薄いです。

なぜなら、単純な作業×膨大な回数によって、学習がマンネリ化し、「学習」という行為がただの「作業」になってしまうからです。

この「作業」には、もはや「英語を学習する」という目的が薄れており、「30回終わらせる」ことが目的になっています。当然これでは英語力がつきません。

意味をとりながら読んでいるつもりでも、それは単に「元から日本語訳を覚えているから」にすぎず、英語特有の言い回しに頭を慣らしているわけではありません。これは「聞き流すだけ英会話」を想像すると分かると思います。

「これはこうだ」というのをただ漫然と繰り返していても、その表現そのものは頭に定着すると思いますが、汎用性がなく、英語力の向上にはつながりません。

端から見れば「声を出して英文を読む」という行為に違いがあるように見えませんが、音読勉強法を正しく行えている人と、そうでない人の間には、頭の中のプロセスがまるで違います。

それでは、これから音読の正しいやり方についてお話をしていきます。

音読勉強法の正しいやり方

さて、音読の正しいやり方ですが、ここで重要になるのが、「スラッシュリーディング」です。スラッシュリーディングのやり方は、市販で売られている英語の参考書(特に速読関連)には必ずと言ってよいほど載っていますので、そちらを参照しましょう。

英語の音読において、最も重要なのが「前から意味をとっていくこと」です。そのため、スラッシュリーディングと音読は非常に相性が良いのです。

英文を精読する際に、スラッシュを打っていき、音読する前に、前から意味をとっていく態勢を整えましょう。

英文にスラッシュが打てたら、音読の際に、スラッシュごとに短いポーズを置き、スラッシュ毎に意味をとっていきながら音読をしましょう

少なくとも最初の10回の段階では、一回々々スラッシュ毎に止まった方がよいです。ただ漠然と英語を読んでいくのではなく、拍を付けながらリズミカルに読んでいきましょう。これだけでも、効果にかなり違いが出てきます。

音読の特性として、「返り読みができない」というものがあります。黙読ですと、どうしても読解に詰まると「返り読み」をしてしまいますので、それをしないという意味でも音読は速読の練習に最適なのです。

英文全体の意味を頭に浮かべながら漫然と読んでいくのではなく、スラッシュ毎に意味を確認しながら読んでいきましょう。同じ「声を出して読む」という行為でも、これをするだけで、「音読」を「作業」ではなく、「学習」に変えることができます

小分けにして音読する

音読する際は、通しで読むよりも、パラグラフ毎に分けるなど、小分けをして音読をした方が良いです。

文章すべてを通しで読むのは非効率的です。他の勉強を想像してみてください。例えば世界史を通しで全て勉強して、また最初からするというのを繰り返していては、すべてを頭に入れるのに途方もない時間がかかります。他の科目でも単元ごとに繰り返し学習をしていき、一つひとつ頭に落とし込んでから次の単元に移る方法が一般的だと思います。

さらに、音読は世界史と違い、文章すべてを覚える必要はありません。極論を言えば、1パラグラフだけを音読するというのでも構いません。

定期試験のように、その英文全てを覚えた方がよい場合は別ですが、過去問英文をすべて覚えたからといって、模試や本番の点数が上がるわけではありません。それよりも、難読だった部分を集中的に音読を繰り返し覚えた方が確実に速読力と読解力が上がります。また、覚えたいところを集中的に音読をしたほうが、勉強のモチベーションを保つうえでも効果的です。

音読は何回やればいい?

音読の回数ですが、特に決まった回数はありません。

参考書によって、音読の回数を10回と言ったり、30回といったりと、様々な説がありますが、回数が問題ではなく、頭に入ったかが問題になります。そのため、回数にこだわる勉強法はおすすめできません。回数にこだわっていると、終わらせることが目的になり「音読の作業化」を招くからです。

「頭に入ったと判断できる目安」ですが、耳慣らし用のCDを使ってシャドーイングができるまで繰り返すとよいでしょう。

難解の文をシャドーイングするためには、ネイティブでもある程度文が頭に入っていないとできません。そのため、逆に「シャドーイングができる」ところを目標として設定すれば、回数の目安が見えてくるでしょう。

自分の実力に合った教材を選ぶ

これは音読に限った話ではありません。英語力を確実に上げるためにポイントとなるのは、「いかに背伸びをした勉強をしないか」です。

例を挙げると、英検3級レベルの生徒が2人いて、一人が英検準二級の勉強をし、もう一人が二級の勉強をした場合、前者のほうが英語力が上がるというものです。

言語学習は数学と同様に、知識が独立して存在しておりません。単語や文法一つひとつがその他全ての項目と関係をし合っており、一つ知識を覚えた場合、その知識を取り巻く全ての英文、単語も同時に学習できるということです。

逆に言えば、その単語・文法だけを覚えて他に応用できない場合は、英語の勉強としては「失敗」したことを意味します。

これを踏まえて考えると、一つの英語の知識を頭にいれるのには、その他の知識も不可欠となることが分かるでしょう。

例を挙げると

I study Englishという英文があり、Englishという単語を学ぶ際、Englishを単に「英語」と覚えていては、英語力は上がりません。なぜなら、Englishという単語は独立して存在しておらず、studyという単語に対応して「英語」という意味を成しているからです。

I have an English friendという文では、Englishはfriendという単語に対応して「イギリス人の」という意味になっています。ここでは「英語」という意味にはなっていません。

Englishという単語を「イギリス人の」という意味で解釈するには、friendという単語を知っていなければなりません。

また、もう少し踏み込むと、Englishはfriendという名詞の前に置かれているので、そこから形容詞の「イギリス人の」と判別できるのです。

ここで英検の話に戻りましょう。分からないものだらけの英検2級では、一つの知識どころか周辺知識も全く分からないので、勉強の効率がものすごく悪くなることは想像に難くないでしょう。

逆に10単語の文の中に1つだけ分からない単語がある英検準2級は、すぐに頭に定着するとは思いませんか。そのようにしながら、少しずつ知識を積み重ねていき、英検二級レベルの英語も準二級のときと同じように学習できるようになるのです。

英語の勉強は受験学年の猛勉強だけでは足りないと呼ばれる理由もここにあります。少し厳しい話になりますが、英語の勉強を普段から積み重ねてきた人は、受験勉強でも、受験学年から本腰を上げて勉強した人よりも、学習スピードが圧倒的に違います。逆に、この記事を読んでいるあなたが、高1、高2の生徒でしたら、「今から」英語の勉強を始めましょう。

音読の効果

さて、音読の正しいやり方のお話をしたところで、今度は正しい音読学習をすると、どのような効果があるのかを見ていきましょう。

前から読む癖がつく

前項でも少し触れましたが、黙読にはない音読の特性として「返り読みができない」というのがあります。黙読でも返り読みをしないように読むことはできますが、音読のように「強制性」はありません。

一度読んでしまった単語はもう戻ってこない状況下で、いかに正確に英文を読むことができるかを鍛えるのには音読が最適の勉強法と言えるでしょう。

自分の苦手な文型・言い回しを把握できる

また、意味をしっかりと取りながら声を出して読んでいくと、速く読める箇所と詰まってしまう箇所が出てくると思います。

もちろん、ここで注目すべきなのは詰まってしまった箇所です。声に出して読んでいるので、自分の苦手な箇所がはっきりと分かります。音読によって、自分がまだ慣れていない文型・言い回しを見つけたら、その部分を集中的に音読をし、弱点を確実につぶしていきましょう。

スピーキング力・ライティング力がつく

声に出して英語を読んでいるのですから、当然スピーキング力と、それに連動したライティング力がつくのは想像に難くないと思います。しかし、これはそれほど簡単な話ではありません。

私たちが普段話している日本語の表現は、自分が持っている日本語の語彙力・文法力によって「オリジナル」で作っているものではありません。今まで読んだ本、話した人の影響を受けて、「引用の積み重ね」で自分の言葉を話しています。

日本語でもそうですから、英語でも同じです。スピーキングやライティングの際に、「英語が出てこない(知っている単語さえも出てこない)」と言っている人は、読んだり聞いたりしている英語の量が圧倒的に少ないのです。

逆説的ですが、学校英語で批判されやすい読解・聴解中心の授業は、それをさらに深めていけばリーディング力・ライティング力が必ず身に付きます。

「いや、もう既に嫌というほど読解・リスニングをやっているのに…」という人もいると思いますが、残念ながらまだ足りないです。

あなたが今まで読んだ英文や英語音声を、今度はあなた自身が使えるようになるまで繰り返し学習したことがあるでしょうか。文法解説ができるようになったら次に進むという学習をしていませんでしたか。

音読を何十回も繰り返す目的はここにあります。文法説明ができるだけでは確かに不十分です。今まで読んだり聞いたりした表現を今度は自分で使えるようになるまで、何度も繰り返しましょう

これが、よく英会話教材で言われる「フレーズ・テンプレ表現を覚える」という意味であり、教材が悪いわけではありません。あなたがフレーズ集で行っていることを受験の参考書でやればよいのです。

そして、ここまでの話を総合すると、フレーズを覚える学習は、決して「文法を軽視してよい」というわけではないことが分かるでしょう。覚えた汎用性のないフレーズしか使えない人と、フレーズを応用させて様々な表現ができる人の違いはここにあります。

フレーズをいくら覚えても会話力がつかないのは教材が悪いのではなく、勉強法が悪いのです。

リスニング力がつく

「音読を繰り返しても所詮自分発音は悪いから」という人もいると思いますが、これは音韻論(音声認識)の側面から考えると誤りがあります。

リスニング力がつかないのは発音が下手なのが原因ではありません。まずはそれについて見ていきましょう。

カタカナ発音でもリスニング力はつく

極論を述べるとカタカナ発音でもリスニング力はつきます。その理由を音韻論的観点からお話をします。

私たちの脳は、耳に入ってきたアナログ的な音声情報を、自分の母語の発音に当てはめて、デジタル的な情報に変換をして認識します。

つまり、ネイティブが話す“the”の発音も、私たちが話す「ザ」の発音も、私たちの脳内では等しく「ざ」の発音として入ってくるのです。それではなぜ私たちがリスニングが苦手なのでしょうか。

私たちがリスニングができない本当の理由

私たちがリスニングができない理由は2つあります。

1つ目は、自分が読んでいる発音と聞こえてくる発音が違うというところにあります。私たちはhatを「ハット」と発音しますが、実際に私たちの耳に入ってくる発音は「ハッ」であり、ここで違いが生じています。

しかし、これは決してカタカナ発音が悪いわけではありません。カタカナ発音でも「ハッ」と発音することは可能であり、カタカナ発音だから「ハット」になってしまうわけではありませんよね。

耳慣らしCDで聞こえてきた発音を確認し、自分が普段読んでいる発音と、実際にあなたが耳に聞こえてくる発音(カタカナでも可)の違いを把握しましょう。そして、音読を繰り返すことによって、あなたの発音と聞こえてくる発音をあなたなりに一致させましょう。それだけでリスニング力は格段に上がります。

逆に「本当のネイティブの発音」を重視し過ぎてしまい。自分の耳には聞こえてこないような発音で無理やり音読をする方がかえってリスニング力がつきません。自分の耳に聞こえてくる発音と自分が話す発音を一致させるのがリスニング上達への近道です。

英語が世界共通語になっている今、ネイティブの発音の重要性は薄れています。日本人は日本人の英語を話しても全く問題ありません。また、音韻論の観点からも、無理にネイティブの発音に近づけるよりも、自分の発音をする方がかえって中国人やロシア人など万人に通じやすいです。

2つ目は「音」からではなく、「文字」から意味を認識しているところにあります。これは中国語を例に挙げると分かりやすいと思います。

私たちは同じ漢字を使っている中国語をある程度読んで理解することができますが、それを聞いても全く理解できません。これは、「音」からではなく、「文字」から意味を認識しているからです。

音読の勉強法は、「文字」からではなく、「音」から意味を理解する訓練をするうえでも最適です。音読学習の終着点を「シャドーイングができるまで」にしている理由もここにあります。

以上のように、音読トレーニングは正しく学習をすれば発音が下手でもしっかりとリスニング力もついてくれるのです。

まとめ

英語の音読学習は、決して受験英語だけに効果的というわけではありません。英語学習の終着点は大学合格ではないと思っている方がほとんどだと思います。音読学習をぜひとも大学合格後も継続し、将来英語力を武器に世界で活躍できる人材を目指していきましょう。

著者情報

究進塾 編集局

究進塾 編集局
東京・池袋にある究進塾の編集局です。受験指導のプロが大学受験に役立つ情報をお届けしています。 大学受験対策コースはこちらからご覧いただけます。

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