英語が苦手な高校生のための勉強法〜学び直しのポイントとおすすめの参考書〜

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本記事は、「高校に入ってから英語が苦手になってしまった(付いていけない)が、なんとか克服したい」という高校生(とくに1・2年生)をターゲットに、まず何からはじめるべきかをレクチャーしていきます。

結論から言えば、多くの場合には、中学英語を学び直すところから始めるとよいでしょう。
その際に、(以下に紹介するが)ポイントとなるいくつかの文法事項をしっかり復習し、マスターしていくことが重要となります。

1.なぜ高校に入って英語が苦手になるか

高校に入って英語が苦手になってしまう学生の多くは、中学英語の理解が十分ではないか、定着度が低いか、そのどちらもである場合がほとんどです。

というのも、高校で学ぶ英文法のほとんどが、実は中学課程で教えられたものの発展にすぎないからです。

受動態、現在完了、関係代名詞、接続詞、疑問詞、仮定法…。英文法のほとんどを占める重要な項目が、あくまで基礎レベルとしてではあれ、中学範囲に含まれているのです。

だからこそ、「高校英語のための基礎としての中学英語」を学び直すことには大きな意義があるものなのです。

2.何を復習するべきか

さて、高校生が中学英語を学び直す場合、一体何からやり直すのがよいのでしょう。

もちろんこれは当人の理解度に依存するので、一概に言い切れることではないですが、あくまで一般的なポイントを紹介しましょう。

2-1.品詞と文型

中学範囲でまず欠かせないのが品詞(名詞/動詞/形容詞/副詞等)文型(S/V/O/Cの基本五文型)の単元です。

残念ながら、この単元は中学課程の比較的始めの方に設定されていることもあって、おざなりにされがちなきらいもあります。さらに、「品詞を答えよ」とか「文型を答えよ」といった試験問題はほとんどないので、学習の必要がないとさえ思われがちです。

しかし、この品詞と文型こそ、高校英語の基礎となる中学英語の典型なのです。

品詞の知識は、不定法(to不定詞)の用法を見定めたり、関係代名詞の先行詞を特定したり、英文を素早く読解したりするのに役立ちます。

文型の知識は、簡単な英作文をしたり、熟語を覚えたり、関係代名詞の格を見破ったり、難解な文を読解するのに役立ちます。

学習上のポイントは、まず品詞の定義を言えるようにしておくこと。
あなたは、形容詞の定義、副詞の定義、前置詞の定義を答えられるでしょうか。

答えは、(厳密には定義とはいえませんが)形容詞は「名詞にかかる修飾語」、副詞は「動詞にかかる修飾語」、前置詞は「名詞の前に置かれ、他の要素との関係を表す」といったところでしょう。

品詞の役割がわかれば、おのずと、「なぜ、While SV であり、During 名詞(動名詞)なのか」とか、「なぜ、Since SVであり、for 名詞なのか」といった問いに答えられるようになるし、その結果、英文法を、単なる暗記としてでなく、有機的に連結した知識として体得できる。(答えはもちろん、接続詞の後には完全文が続き、前置詞の後には名詞が続くからです。)

文型を学習するポイントは、間違いなく、基本五文型をマスターすることです。

マスターしたと言える基準は、すべての文型の形を覚えた上で、与えられた英文がどの文型に当たるのかを分析できる、ということ。

こんな文が与えられたとしましょう。

『A tyrant, Dionys, infuriates Melos.』

ここでイタリックにした ‘infuriate’ という単語の意味がわからないとしても、主語が「暴君ディオニス」、目的語が「メロス」のSVO構文だとわかれば、最低限、「暴君ディオニスメロス…した」という文であることはわかります。(ちなみに、‘infuriate’ は「激怒」させるという意味の他動詞。)

かくして、『走れメロス』を読んだことがある人ならば、与えられた文の前後の文脈次第では、「ディオニスがメロスを激怒させた」という意味を、何となく推定できるでしょう。

文型をマスターして、訳しかたの基本がわかれば、知らない単語を推定しながら文を読むこともできるのです。

2-2.過去分詞の暗記

中学英語で押さえておくべきことには、過去分詞の暗記も含まれます。

これは特にポイントがあるものでもありませんが、とにかく不規則変化表をまる覚えしてしまうこと。

過去分詞は、大きく、受動態・現在完了・過去分詞構文の3つの使い道があります。これらはどれも、大学入試でも頻出の重要な文法です。

とくに具体的には、「下の英文の下線部で、間違っている箇所を指定し、直せ」といったような誤答指摘の問題では、過去分詞のあやまった変化が出てくることがあります。

(例えば、 ‘blow’ の過去分詞が ‘blew’ となっていたり。もちろん正しくは ‘blown’。)

2-3.関係詞

最後に紹介するのは、関係詞です。関係代名詞・関係副詞の単元は、高校でもつまづく人の多い難所と言えます。

復習にあたっては、まず、すべての関係代名詞の使い分け格変化を覚えましょう。

‘which’, ‘who’, ‘that’ を、先行詞によってどう使い分けるかを答えられるようにしておくということです。

その上で、ポイントは、2つの文章を関係代名詞でくっつけたり、関係代名詞を含む1文を再び2つの文章にばらしたりすることができるようにしておくことです。

こういうことができないと、元の2つの文章のどの部分が関係詞になっているのかがわからない。すると、その関係詞が関係代名詞なのか関係副詞なのかもわからない。その関係詞の格もわからない。つまるところ、訳せない。
こうして、関係詞の単元がマスターできなくなってしまいます。

だから、上のようなエクササイズを、中学レベルの基本的な関係詞で実践してみることが大事なのです。

3.おすすめの参考書と問題集

上にあげたもの以外にも、高校英語の基礎となる中学英語の単元は数多くあります。

いずれにしても、自分がはっきりと把握できていない単元を復習して、しっかり積み重ねていくことが重要です。

そのツールとなる参考書と問題集のおすすめを紹介します。

選ぶ基準は2つありますが、1つは、しっかり基礎的レクチャーが載っていること。つまり、文法知識をしっかり身に着けることのできる手堅さが肝要です。

もう1つは、それなりに本格的なテキストであること。つまり、高校生の視点でみたときに、満足できるくらいには、本格的な書き方がされているもののことです。

ここでは二つのテキストを紹介します。

1つは参考書で、金子朝子監修・赤池秀代他著『中学総合的研究 英語』旺文社

これは、実に優れた中学英語の参考書です。文法は網羅的に記載されているし、説明も丁寧なので、辞書的に使える

また、体系的な知識と実践的な活用法の連絡がとれているので、実際に点数をあげる効果も十分にあります。高校生が読んでも勉強になるものだから、気になる単元はこれを熟読するのが良いでしょう。

しかし参考書という体裁上、問題のエクササイズが少ないのは仕方がありません。
だからもう1つ、問題集をレコメンドしておきましょう。

『新中学問題集 英語』教育開発出版

この問題集は、基本的な文法解説と、2〜3段階の問題演習が、すべての単元にくっついている。多量の、質の高い問題をこなせるのが長所で、知識の定着を狙うにはまず事欠きません。

また、「標準編」「発展編」「演習編」の3つが用意されていますので、まずは「標準編」を手に取ってみて、自分のレベルに合わなければ、上のクラスのものに取り組むというのが良いでしょう。

間違えた問題に印をつけておいて、何度か繰り返しといてみることで、高校の初級レベルでは十分な知識が定着するはずです。

4.まとめ

高校英語の初級・中級でつまずいた人は、まず中学に戻って復習しましょう。

品詞・文型、過去分詞、関係詞などについての安定した知識を得るのが重要です。もちろんその他にも、比較や疑問詞など、自分に苦手な単元をしっかり復習しておきましょう。

ツールのおすすめは、『総合的研究』と『新中問』。

『総合的研究』で基本的な情報をインプットしてから、『新中問』でアウトプットする、という流れが効率的でしょう。

中学範囲の復習は、高校のできるだけ早いうちにこなしておきましょう。受験勉強を有利に進めるためには、まず一度基礎に戻ってみる時間が大切だからです。

著者情報

究進塾 編集局

究進塾 編集局
東京・池袋にある究進塾の編集局です。受験指導のプロが大学受験に役立つ情報をお届けしています。 大学受験対策コースはこちらからご覧いただけます。
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