本番で得点するための効果的な無機化学の覚え方
金属イオンの色、沈殿をつくるかどうか、濃硝酸に溶けるかどうかなど、無機化学では覚えなくてはならない事柄がたくさんあります。
無機化学は、各元素がどのような性質を持つかを調べるような分野なので、必然的に知識があるかどうかで大きく出来不出来が変わってきます。
暗記が苦手な受験生にとっては、無機化学は高くそびえ立つ壁のように感じているかもしれません。
しかし逆にいってしまえば、知っているかどうかだけが問われるので、難問を出題しようと思ってもできません。覚えるのが大変ですが、覚えてしまったら毎回必ず安定して高得点を取れる分野なのです。
ぜひとも早期に無機化学の学習を済まし、入試本番で確実に点数を確保できる分野にしておきましょう。
1.無機化学のおすすめの覚え方
無機化学を覚えていこうとするときに、多くの受験生は元素ごとに名前や性質を暗記するだけで学習を終了しようとします。
しかしそれだと忘れやすく不安定な知識になるだけで、入試で使える知識にはなりません。
無機化学を得点源とするために、これから紹介する3ステップを実践していきましょう。
1-1. 元素ごとに覚えていく
例えば、金属の「鉄」という名前自体は論理的に導き出されるわけではなく、知識として知っていないとどうしようもありません。
歴史上の人物の名前も、覚えておくしかありません。
それと同じように、まずは鉄元素の性質を独立して暗記していきましょう。
鉄元素Feの項目の学習をするときに、赤鉄鉱Fe2O3や磁鉄鉱Fe304、FeSO4・7H2Oなどの学習をしていきます。
また化合物だけではなく、強磁性を持つことや、鉄は濃硝酸に溶けない(不動態をつくる)などの鉄自体の性質も学習します。
これだけだとどうしても丸暗記に近いので、効率は悪くなってしまいがちです。
忘れやすい知識と忘れにくい知識の違いは、その知識の関連事項がどれだけ頭に入っているかの違いです。
丸暗記があまり効率が良くないと言われる理由は、知識の関連事項が繋がらないからです。
その弱点を補う方法として、元素単体での学習の後に「横の知識の繋がり」をつけていきます。
1-2. 横の知識の繋がりをつける
先ほどの章では、例として、鉄元素の学習を取り上げて、まず単体の学習の仕方を説明してきました。続いて横の知識の繋がりをつけていきましょう。
横の知識とはどんな内容かといいうと、例えば「不動態をつくるのは鉄、コバルト、ニッケル、クロム、アルミニウム」というように、単体ごとではなく、同じ性質を持つ元素をまとめて内容を覚えていくことです。
単体の鉄の勉強をするときに、「鉄は不動態をつくる」という内容を学習します。その後に「不動態をつくるのは鉄、コバルト、ニッケル、クロム、アルミニウム」ということを学習すれば、「鉄は不動態をつくる」という内容を二度学習することになります。
この横の知識をつけると二度学習することになるので、一度入れた知識がより強固な知識になり、忘れにくくなります。
1-3. 図や写真を活用する
特に遷移元素の学習をする際に言えるのですが、理想はやはり実験を行い「こんな色になるんだ」と実感することが大切です。
しかし受験生は無機化学だけではなく、理論や有機化学ももちろん、他にも英語や数学など勉強しなければならない内容がたくさんあるので、いちいち実験をしている時間はないと思います。
そんなときに使いたいのが、「図説・資料集」です。
実験に比べれば感動は少ないかもしれませんが、「Fe2+は淡緑色」と文字だけで覚えるよりは実感が湧きます。
また、図説や資料集は教科書と違って文字で書かれているわけではなく、視覚的に進めてくことができるので苦がなく勉強を進めることができます。
図表だけでは学習できない内容もありますが、図表で学習できる範囲は積極的に活用していきましょう。
おすすめの図説は「視覚でとらえるフォトサイエンス化学図録」です。学校で採用されている図説があれば、そちらを利用してください。
2.まとめ
今回は、無機化学の覚え方について詳しく解説してきました。
各元素について学習することを「縦の学習」と呼ぶとすれば、性質ごとに分ける「横の学習」も組み合わせることで、忘れにくい強固な知識を身につけることができます。
是非とも今回お伝えした内容を実践していただき、毎回安定して無機化学で9割以上の点数を取れるようにしていきましょう。