東大に合格するために知っておきたい化学の勉強法

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東大の化学は独特の傾向があるため、「実力はあるのに東大型の問題で得点できない」ということが起こりがちです。そのため対策としては、東大に特化した勉強をすることが大切です。また得点が伸びないと一口にいっても、様々な状況や原因が考えられ、自分の状況に合わせて対処していくことが必要です。

この記事では東大化学の傾向を踏まえ、点数が伸び悩んでいるときの状況別に、それらに合わせた勉強法を紹介しています。

1.東大化学で問われる学力

はじめに述べたように、東大化学は独特の傾向を持っており、さまざまな面から学力が試されます。具体的にどのような学力が問われているのか、詳しく見ていきましょう。

1-1 基礎力

東大化学では、高校化学の知識を初見の実験事実に応用して解く問題が多いです。また論述や途中過程の記述が必ず出題されます。知識をただ知っているかだけではなく、どれだけ深く理解しているか、「基礎力」の厚さが問われます。

1-2 思考力

東大化学は、複雑でひねりのある問題が多いです。具体的には、知識をストレートに聞くのではなく、初見の事実を題材にして、それに高校化学の知識を応用することができるかを試すような問題です。また問題の題材は高校の範囲外であることもよくありますが、設問自体は決して高校の範囲を超えません。つまり求められているのは高校化学の知識を深く理解し、さらにそれを使いこなすことです。知識を使いこなすための「思考力」を鍛えておくことが大切です。

1-3 計算力

東大化学では計算がきつい問題も多いです。例えば「4桁×4桁」の筆算も当たり前に出題されます。したがって「計算力」も重要視されていることが分かります。

1-4 判断力

化学の問題は理科の解答時間の半分の75分前後を使って解く人がほとんどかと思います。しかし問題の量と難易度を考えれば、この試験時間は短いです。そこで「判断力」が重要になります。判断力とは、ここでは解答時間の経過に応じて、解けそうな問題を見極めていく力のことをいいます。全部の問題を解くことが難しい東大化学においては、点数に大きく影響するので重要な力いえるでしょう。

1-5東大化学で問われる学力まとめ

以上より、東大化学では「基礎力」「思考力」「計算力」「判断力」の4つが大切です。これらを総合して「学力」として、入試では問われていることになります。したがってもしこの4つのなかで足りない力があれば、そこを集中して鍛えることで得点を伸ばせます。

つぎの項目からは点数が伸び悩んでいるときの状況別に、どの力が足りないのかと、それを伸ばす勉強法を説明していきたいと思います。

2.問題の意味から分からない、またはどう解いたらいいか全く検討がつかない場合

2-1 伸ばすべきは基礎力

この場合は化学の全体的な基礎力が足りません。基礎力不足の場合、まず問題を解くことができないため他の課題が見えづらく、学力全体の伸びに影響します。したがって早急に対応しましょう。

また、この基礎力は共通テスト
や他のあらゆるレベルの二次試験に共通しているものです。なので「基礎知識を理解する→入試の定番パターンを解いて定着させる」という王道の方法で基礎を固め直します

2-2 基礎知識を理解する

※全国模試などで化学の偏差値がすでに50以上ある人は飛ばして大丈夫です。「2-3基礎知識を定着させる」に進んでください。

まずは基礎知識の理解からはじめます。おすすめの参考書は、「鎌田の講義」シリーズです。

・鎌田の理論化学の講義(旺文社)


・鎌田の無機化学の講義(同上)
・鎌田の有機化学の講義(同上)

この本は化学の基礎を、受験生に必要な範囲で理論を取り入れながら解説しています。基礎知識を単なる知識ではなく、理論に裏付けられたものとして根本から理解することができます。講義形式の解説のあとに、その内容に対応した基礎レベルの問題が載っています。まずは解説を読んで、それを確認してくような形で問題を解くという流れで進めていきましょう。一周して、知識が頭に入ってきたら、次の「2-3基礎知識を定着させる」に進みます。

2-3 基礎知識を定着させる

基礎知識が理解でき、頭に入ってきたら、次に入試の定番パターンの問題を解いて知識を定着させます。使う教材は「重要化学問題集」をおすすめします。

・実戦 化学重要問題集 化学基礎・化学(数研出版)

入試問題頻出のパターンが網羅されていて、論述問題も豊富です。問題を解いたら解答解説を確認することはもちろん、間違えた問題を正解できるようになるまで、問題集を何周かしましょう。「重要化学問題集」をクリアすれば、東大の問題にとりかかる土台ができます。

ここまで終わったら一度過去問を解いてみてください。手応えが全く違ってくると思います。そこでさらに他の課題が見つかったら、他の項目を参考にして対策を続けていきましょう。

3.簡単な問題は得点できるが、少しでもひねりが加わると解けなくなる場合

3-1 伸ばすべきは思考力

この場合知っている知識を応用する思考力が足りません。ひねりのある問題とは入試問題のよくあるパターンにはまらない問題のことです。このような問題が解けるようになるためには、なぜここでこの公式を使うのか、この知識が適用されるのかといった根拠をはっきりもって、化学の知識を使っていく必要があります

また、思考力はセンスによるのではないかと思われがちですが、これから説明する方法で鍛えることができます。

3-2 思考力を鍛える勉強法

教材は、やや難関〜難関レベルの問題集を選びましょう。「2次試験中堅〜難関用」「2次試験難関用」などと書いてあるくらいのレベルが最適です。ここでは「化学標準問題精講」と「化学の新演習」をおすすめします。

・化学[化学基礎・化学] 標準問題精講(旺文社)

問題数は少なめですが、解説が丁寧で分かりやすいです。難易度が高い問題へのアプローチ方法がつかめるようになります。短い期間で効率良く実力を磨きたい人におすすめです。

・理系大学受験 化学の新演習(三省堂)


問題量が多いので、量をこなして、しっかりと演習をしたい人におすすめです。一冊やれば様々な問題への対応力がつきます。

どちらの問題集でも、まずはいつも通り問題を解きましょう。
そしてここからがポイントですが、答え合わせをするときは、答えだけではなく途中過程のプロセスをひとつひとつ確認し、

 ・なぜここでこの公式が使われているのか、
 ・なぜここでこのような答えが出たのか

など「そのプロセスに至った理由」を納得できるまで考えます。この作業を繰り返しながら、一冊やりきりましょう。知識を問題の状況に合わせて使いこなす力が必ずつきます。

4.解法は分かるが、計算が追いつかず問題を解ききれない場合

4-1 伸ばすべきは計算力

この場合、計算力が足りません。大学入試で必要な計算力には2つあります。「掛け算、足し算などの四則演算を速く正確にする能力」と、「楽にミスなく計算する工夫ができる能力」です。

4-2 掛け算、足し算などの四則演算を速く正確にする能力を鍛える

これは一朝一夕では伸びません。ただ東大受験生の多くは小さいころからこつこつ勉強しているので、こちらの計算力に優れた人は多いのではないかと思います。ですがもしこの部分で劣っていると感じるのであれば、毎日単純な計算練習をして鍛えるしかありません。おすすめは百ます計算です。四則演算や九九を効果的に練習できます。

・陰山メソッド 徹底反復「百ます計算」(小学館)

この本は百ます計算の考案者によって作られたドリルです。百ます計算をするときのポイントとしては、必ず時間を計ること、ミスしないように心がけることです。集中して1日5分、毎日やれば効果が出てきます

4-3 楽にミスなく計算する工夫ができる能力を鍛える

こちらは先ほどと違い、計算の工夫の方法を知りさえすれば、すぐに伸ばすことができます。しかし東大受験生でもこちらの計算力が不十分な人は多いのではないかと思います。先述した「掛け算、足し算などの四則演算を速く正確にする能力」が優れていると、工夫しなくても力ずくの計算で乗りきれてしまうからです。したがってこの力を鍛えておけば他の受験生に差をつけることができます。ぜひ鍛えてください。おすすめの本を二冊紹介します。どちらも計算の工夫を分かりやすく解説しています。

・暗算の達人(ソフトバンク・クリエイティブ)


大学の数学の先生で、プロのマジシャンでもあるベンジャミン博士が、2桁×2桁の掛け算などの画期的な暗算法を一から丁寧に解説しています。暗算を特に強化したい人におすすめです。

・計算力を強くするー状況判断力を決断力を磨くために(講談社)

ビジネス書ですが、多種多様な計算の工夫が分かりやすく解説されています。すぐに応用できる計算の工夫の仕方を知りたい人におすすめです。

計算の工夫の方法が分かったら、普段の勉強で化学の問題を解くときに積極的に使いましょう。本で読んだときにはいいと思ったものでも、実際に使ってみると自分に合わないかもしれません。また緊張している本番でも使えるようにするためにも、普段の勉強から練習しておくことが大切です。

5.問題は解けるが、解答時間内に最後までたどり着けない場合

5-1 伸ばすべきは判断力

この場合解ける問題を見極める判断力が足りません。先述したように、東大化学は前から順番に解いていけば時間内に解き終わるようなタイプの試験問題ではないです。複雑だったり、計算が煩雑だったりして時間を使いすぎてしまいそうな問題がところどころに配置されています。それらを判別して避けながら、解ける問題で確実に得点することが合格の鍵になります。

5-2 判断力は東大の過去問で鍛える

この判断力は東大の過去問を使って鍛えるのが断トツで効果的です。過去問を活用しましょう。東大志望者であれば、過去問は必ず解くと思います。そのときにこれから紹介する方法を実践することで、判断力を磨くことができます。まずは時間を計って、いつも通り一年分の化学の問題を解きます。このときの時間は理科の試験時間の半分、75分が目安です。

問題を解くときには、

・すべての問題を解き切らなくてもよいが、すべての問題に必ず目を通すこと
・時間配分に気をつけて、解けそうな問題から確実に解いていくこと

を意識してください。まず意識することで、どの問題から解いていくべきかを判断する感覚ができてきます。

そして解説を見ながら、問題の難易度や解き方を確認します。この作業を通して、

・自分が解くと判断した問題は、本当に解くべき問題だったか(飛ばしてもいい問題ではなかったか)
・自分が解かないと判断した問題で、解ける問題はあったか

の2点を見直しましょう。もし反省点が見つかれば、次回に生かすようにします。

以上のことを続けていけば、判断力は必ず培われます。ぜひやってみてください。

6.まとめ

東大の化学はたしかに難関ですが、自分の足りないところを粘り強く対策していけば、必ず点数は伸びます。最後まで自分を信じてがんばってください。

著者情報

究進塾 編集局

究進塾 編集局
東京・池袋にある究進塾の編集局です。受験指導のプロが大学受験に役立つ情報をお届けしています。 大学受験対策コースはこちらからご覧いただけます。
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