現役東工大生が教える東工大数学を得点するための方法

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理工系最難関と言われる東京工業大学(東工大)の数学。理工系大学なだけに数学はさぞかし難しいのではないかと思われがちですが、地道な努力を重ねていけば、それだけで合格ラインを突破することが十分可能です。

近年易化が進む傾向があり、(何かと比べられがちな)東大の入試問題などと比べてみても、本番でのひらめきを要する問題は少なくなりつつあります。東工大数学は、総点750点中300点を占める重要科目。これを生かすか殺すかはあなたの努力次第です。そんな東工大の数学を、経験者の視点から、在校生なりの多少の主観と偏見を入れつつ、分析していきたいと思います。

1、東工大数学の特徴と対策の指針

近頃の出題は、180分5題の出題で固定しています。かなりの長丁場ですが、単純に割ると1題当たり36分もの時間を掛けられ、これは入試数学では相当に熟考することができる部類に入ります。そして前述の通り、総点750点中300点、実に4割を占めるほどの重要科目です。私が特に数学が重要と考える理由としては、次の2つが挙げられます。

1.1、東工大入試全体としての近年の易化傾向

東工大入試は近年易化の一途を辿っていることに着目します。これは赤本や公式発表にある合格最低点を参照していただくといいのですが、2012年度の現入試制度開始頃であれば総点が400点あれば安心できたものが、2014年度、2015年度と450点はないと安心できない状況になっていました。

ただし、2016年度は物理難化の影響を受けたか420点ほど欲しいところでした。また、数学だけで見ても、こちらも2015,2016年度にかけて緩やかに易化している傾向が見られています。従って、総点に対する配点の高い数学が従来よりも如実に効いてきます

逆にいうと数学が出来ないとその時点で致命傷となる可能性も高まってきているということになります。最終的には配点の高い数学でのミスを最小限に減らすことを念頭に置いてほしいと思います。

1.2、”数学”という科目特性、及び“東工大”数学の出題傾向

数学が重要であるのは配点の問題だけにとどまらず、他にも理由があります。それは、東工大数学が、数学Ⅲやそれを基本とする関数、微分積分に関する解析的な問題などを比較的多く出題する傾向にあるということです。

特に解析分野の中核をなす数学Ⅲは、全て履修し終えるのが一般的には高校3年次になってしまうため、特に現役生にとっては重荷になってしまうのが実情です。数Ⅲは難しいというイメージをお持ちの方も確かに多いと思います。

しかしながら、安心してほしいのは受験におけるこの分野の難しさというのは履修時期が遅いことによる演習不足から来ていることが殆どだということです。

本来、数Ⅲは典型題から脇道に逸れることが少なく、勉強量に対する得点の伸びの効率が良い分野です。過去問でいうと2016の5番、2015の4番、2014の4,5番などがそういう出題になっているので是非確認してみてください。先手必勝の姿勢で、早め早めの対策を心掛けることで、東工大数学の頻出分野を得点源にしていくことが可能になるわけです。

こうした戦略に則り、演習を積んでいくことで東工大数学の特性を生かした効率のいい対策法が見えてくるでしょう。次に、有名参考書を用いた具体的な勉強法を考えてみます。

2、勉強法概観・注意点

2.1、基礎を応用に繋げる意識

皆さんの中には、基礎が重要だと口を酸っぱくして言われている方もいるかもしれません。もちろんそれは全否定できないわけですが、いつまで経っても基礎固めにばかり注力してしまうのは考え物です。

ありがちなのは、次の3章で挙げる教科書傍用問題集や青チャートを例えば4周以上やり込んでしまうパターンです。足固めはもちろん大事ですが、それよりも未知の問題に挑戦して経験値を増やしていくことが重要だということを肝に銘じておくべきでしょう。

逆説的に見えるかもしれませんが、応用に踏み込むことで基礎が深まる場合が多くあるということをよく覚えておいてください。東工大対策の観点から言っても、一目では掴みどころのないような出題例があったことに留意しておくべきです。(過去には、“確率と関数の係数”の融合問題など異色な問題を出題した例があります。)

余りに問題集と自分のレベルがかけ離れていたら問題ですが、ちょっぴりオーバーワークなぐらいがちょうどいいと思っています。考えて(考え尽して、)わからなくても、解答解説をそのまま見てしまっても、そこに意外性や発見が見い出せれば問題ないわけです。

2.2、自分に合った参考書を

そして、大前提として、数学の学習を効果的に進めるためには、自分の肌に合う参考書をしっかり選ぶ作業が不可欠です。他人の机上の論評よりも、自分の目で見て確かめて確かめた情報の方が有用だと思います。まさに百聞は一見に如かずです。

そんな話のあとにこの記事でお勧めしていくのもある意味ナンセンスですが、自分が実際に使ったことがあり、なおかつその中で役に立ったと思ったものだけを厳選してご紹介します。皆さんが参考書を選ぶ際の一つの選択肢として考えていただければ幸いです。

3、勉強法・参考書

3.1、基礎固め

一番初めに問題演習をしようと思って手に取るのは、教科書傍用問題集(いわゆる「4STEP」、「サクシード」、「ニュークオリティ」、「ニュースコープ」など)といったものでしょうか。初めの取っ掛かりとして悪くない選択だとは思います。クセも比較的少ないですが、強いて注意点を挙げるとすれば、教科書と併用することを忘れずに、詰まったらすぐに教科書に戻る、ということでしょうか。最大の問題点は、配置が単調で次第に飽きてくることだと思います。計算力をつけるにはもってこいですが、飽きて来たらさっさと次のステップに進むことをお勧めします

次に出てくるのが、「チャート式基礎からの数学」シリーズ(数研出版)いわゆる青チャート、若しくは「1対1対応の演習」(東京出版)あたりになると思います。両者とも教科書レベルから少し進んだ、例題と演習がセットになっていることがポイントです。

ただ、先ほども申し上げたように、東工大受験生であればこの辺りのレベルに満足せず、果敢に大胆に、上のレベルのものに早くからチャレンジすることが望ましいでしょう。

3.2、大学への数学シリーズ

ここからは応用向きの話になります。高校数学界の老舗・東京出版(「1対1対応の演習」の出版社です)により出版されている書籍群を、メジャーなものから、マイナーなものまでご紹介します。

特に個人的には数学を好きになれた、伸ばせた、選りすぐりの参考書群です。

なお、3冊紹介しますが、3冊ともキャラが異なるので、順番1冊ずつこなすというより、並行して使ってみるとよいでしょう。

 3.2-1、微積分/基礎の極意(東京出版)

冒頭で分析したように、数Ⅲが頻出といえる東工大数学では、是非とも触れておきたい1冊です。類書には見られない切り口から微積分および極限などのテーマについて解説していて、直感的な理解を促すような内容になっています。

とはいえ、決して奇抜なものではなく、紹介されている知識の多くは大学教養レベルの内容を高校生向けにアレンジしたような内容になっているため、正統派から外れない内容といえます。豆知識、便利な手法、ちょっとした裏技が非常にコンパクトにまとまっていて、暇な時間にパラパラ見る使い方ができるのが面白いところです。受験初期、数学Ⅲを履修し終えた時期からでも十分活用できると思いますので、早めに入手されるのが良いと思います。

 3.2-2、月刊「大学への数学」(東京出版)

こちらは受験「雑誌」です。毎月20日発売です。あの「1対1対応…」と同じ出版社ですが、この月刊雑誌はなかなかマイナーな部類に入っていて、“知る人ぞ知る”的な本になっています。

毎月「ベクトル」「座標平面」「数列」「整数」などといった分野を1つ特集し、さまざまなレベルの演習が用意される紙面構成となっています。この本のいいところは何といっても情報の鮮度がよく、掲載されているものの多くは近年の入試から採られている点にあります。

また、1カ月毎にうまく切り替わっていくのでマンネリ化が防げる点も非常に効果的です。メインコンテンツ“日日(にちにち)の演習”は問題番号が当該月の日付と対応しており、1日1問解いてねといわんばかりの配置、しかも日付は土日を抜いてあるのがなお面白いです。

もちろん東京出版独特の鋭い切り口からの解説も健在です。執筆陣が本当に数学が好きなんだろうな、というのが伝わってくる解説に、受験生時代に大きな共感を覚えたものです。時期の目安としては、青チャートの問題が半分程度わかったぐらいであれば使えると思います。思い立った段階で、該当月の号から購読してみましょう。

 3.2-3、新数学演習(東京出版)(月刊誌10月増刊)

東京出版の参考書・演習書の中でも最高レベルの難易度を誇る1冊です。上で挙げた、月刊「大学への数学」の増刊号という位置づけになっており、10月以前に手に入れるとしたら前年度版を探すのがよいかと思われます。

分野毎に難易度表示とセットで掲載されていますが、ここまでこなせば入試で困ることはそうそうないであろう、という問題群が載っています。昔でこそ東大理三レベル以外には不要といわれたこともある代物ですが、近年問題を一新し、最近の出題を多数収録したため、幅広い受験生に対応する演習書となりました

目安としては、青チャートの問題が8割くらいわかっているくらいでしょうか。(あくまでも目安です。)数学でライバルをガツンと突き離したい、そんなあなたにお薦めの1冊です。

なお、ハードルが高すぎるようであれば下位互換として「スタンダード演習」「基礎演習」などもあるようですが、使用したことがないためコメントは致しかねます。

3.3、東大数学で1点でも多く取る方法 理系編

さて、こちらは本来、東工大向けではなく東大向けの本になってしまいますが、言うまでもなく東大数学も効果的な演習本になります。

そもそも東工大数学は、特に2016年度入試で易化したと各所で言われていますが、一方の東大数学は従来通りの難易度を保ったため、かなり難易度の高いセットになったと言われています。東工大志望の受験生からしてみれば、本番よりやや難の格好の練習台になると言えるでしょう。直近の出題や、近年の出題については、赤本、青本、(個人的には解説がスマートな駿台の青本が好きでした)、若しくは「東大の理系数学25か年(共学社)」なども悪くないですが、少々解答解説が窮屈に思われる人もいるかもしれません。

そこで、「東大数学で1点でも多く取る方法 理系編(東京出版)」をお薦めします。この問題集では、今までに問題集等で培ってきた力をどう発揮するかということに重きが置かれています。数学的な技術もさることながら、アウトプットの手法や解答を書く際の心構えなど受験本番に役立つ技術が多数紹介されています。

そもそも東大数学は、150分6題で1題あたり25分しか掛けられないわけです。東工大と比べればおよそ3分の2の時間しかありません。そうした経緯を踏まえ、本番の入試時に如何にして点を稼ぐかということが書かれています。閃きによる華麗な解法ではなく、今までやってきたことを地道に積み重ねて点に結びつけるにはどうしたらいいか、ということについて記したものです。

著者の安田先生が受験生と非常に近い目線から解説を書いてくれているのも有り難いポイントです。着手時期の目安としては、10月から12月頃が良いと思います。

3.4、難関校他大の過去問、模擬試験

以上のような経緯を踏まえて、東工大の過去問はもとより、東大・京大といった難関校の問題にも当たってみることをお薦めします。使い方はいろいろありますが、前述の「1点でも…」に関してはバラバラに解くやり方で、これも使い方の1つでしょう。

これとは対照的に、ある年度の出題を1つのセットとみなして、(東工大とは時間配分も形式も異なりますが、)時間制限を守って本番に近い演習をしてみるのもいいでしょう。

若しくは、形式だけ守りたいのであれば、「東京工業大学への数学(駿台文庫)」が役立つことでしょう。過去の東工大実戦摸試の問題が掲載されていて、その際のデータや分布がわかるため、力試しには面白いと思います。合格ラインなんかが書いてあったりするので、テンション上がること請け合いです。受験直前期にはもちろんですが、他の問題集に飽き飽きしてきた場合は、早めにかじってみるのもありだと思います。やはり、本番で出された問題、模試で出された問題を解くというのが一番気が引き締まり、効果的な演習だと思います。

4、まとめ

ここまで東工大数学について、つらつらと書き連ねてきました。東工大合格を目指す「あなた」のお力になれれば幸いです。理論を武器に、あとは実行あるのみです!

 

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