東大生伝授!共通テスト地理で確実に得点するための勉強法
共通テスト地理というと、「日本史や世界史に比べて覚えることが少なくて済む」と言われる一方、「満点、9割以上が狙いにくい」「勉強法が分からない」とも言われ、特に理系の受験生にとっては苦手となりやすい科目でもあります。
この記事では、まず地理の勉強法を紹介し、実際に問題を解く上でのポイントをお伝えします。高得点目指して頑張りましょう!
※この記事では、共通テスト地理Bの対策を意図して書かれています。また、この記事の内での「共通テスト地理」は全て地理Bを指します。地理Aを意図したものではないことをご了承ください。
目次
1.共通テスト地理の概要
1-1.共通テスト地理の内容
共通テスト地理の問題構成は、全部で大問6題構成になっていて、大問1が自然環境、大問2が産業、大問3が都市や村落、大問4が世界地誌、大問5が現代社会の諸問題について、大問6が日本の地域調査になっています。
ただし、2016年のセンター試験では大問5はインドと南アフリカについての地誌の問題になっているので、新課程ではこの傾向が続くかもしれないので注意が必要です。
大問1、2、3、5は世界全体から幅広い出題がされますが、大問4と6は年度ごとに1つの地域が出題される形式です。
大問4の世界地誌で扱われる地域は、ヨーロッパ(2016)、南アメリカ(2015)、西アジア(2014)、地中海地域(2013)となっています。
大問6については、岩手県北上市(2016)、北海道富良野市(2015)といったような日本国内の地域についての出題ですが、「その地域についてどれだけ知っているか」というよりも、等高線、地図記号の読解といった地図を読み取る力を問う問題です。
1-2.共通テスト地理の問題の特徴
共通テスト地理では「以下の文のうち最も適切なものを選べ」といったような、知識をストレートに聞くような問題は少なく、「1〜4の雨温図のうちカイロに該当するものを選べ」といったような、図表の読み取りを要求する問題が多いです。
この点は2次試験と近いところがありますが、2次では判読した後に記述問題として、そうなった原因などの踏み込んだことを聞かれますが、共通テストは判読さえできれば完答でき、深いところまでは聞かれません。
また、図表の読み取りを要求する割に、問題数は日本史、世界史とほぼ変わらない35、6問となっていて、難問の処理に手間取ってしまうと時間が足りなくなってしまうこともあります。
2.共通テスト地理の勉強法
共通テスト地理は図表の読み取り問題が多かったり、世界地誌で出題される地域が毎年変わったりするので、何を対策したらいいのかが分かりづらく、勉強法が分かりにくいという一面があります。
しかし、普段の勉強の方法を工夫することで安定して高得点を取ることもできるようになります。ここでは、その方法を解説していきます。
2-1.いきなり過去問に行かない
受験本番のことを考えると、早く過去問をやりたいという欲求に駆られますが、過去問に本格的に取り組むのは試験1ヶ月前くらいからで十分です。
地理は読み取り問題など、覚えることよりも応用が大事というイメージがありますが、実際は基本的な知識がなければ応用的な問題は解けません。まずは知識のインプットを十分にやってから、過去問でアウトプットの練習をしましょう。
インプットの大切さがわかる例として、2016年の第2問の問5(http://www.toshin.com/center/chiri-b_mondai_2.html)では、ASEAN、アメリカ、中国の判別が求められています。
図を見て、Qはどの国に対しても輸出が輸入を上回って黒字になっていることなど、いろいろなことがわかりますが、結局ASEAN、アメリカ、中国の貿易がどういうものかがわかっていないと、いくら読み取りができたところで「Qは輸出が盛んだけど、輸出が盛んな国ってどれだろう? アメリカも中国もASEANも全部盛んそうだよな……」といった感じになってしまい、何もできません。
この問題を解くためには、アメリカの貿易赤字や、中国がアメリカに多くの工業製品を輸出していることを知っていないといけません。(よって、どこに対しても貿易赤字のPがアメリカ、Pに対し一番多く輸出しているQが中国、残りがASEANなので正解は4)
このように、基礎知識がないと問題は解けないので、地理の勉強を始めたばかりの人や、点数が伸び悩んでいる人は共通テスト型の問題演習よりも知識を詰め込む勉強をした方が良いです。
具体的には、3でレベル別に説明していますので、そちらをご覧ください。
2-2.地図帳、統計データは頻繁に利用する
しかし、参考書の地図や統計はあくまで説明のための道具ですので、経線、緯線が書いてなかったり、高低が書かれてなかったり、統計であれば乗っている国の数が少なかったりと、情報量が少ないです。
そのため、地図や統計にメモすることを考えると、地図帳やデータファイルを持っていた方が、複数の参考書や問題集をやっていったときに便利です。
何より、地図を用いてビジュアルで理解した方が覚えやすく、自分で手を動かして書き込んだ方が忘れにくいです。
そのため、詳細な数値を知ったり、一つの国や地域だけを見るのではなく、世界全体を広い視野で見るために、やはり地図帳やデータファイルは持っておいた方が良いです。
オススメの使い方としては、参考書や授業などで出てきた地名や地域を地図帳で確認し、マーカーで塗っておいたり、特産物を地名の隣に書いておいたりしましょう。
データファイルは参考書や授業で扱った統計を見て、特徴や原因などをメモしましょう。(例えば、国別の石炭産出量の表だったら、どんな国がランキング上位なのかとか、どうして中国が1位なのかといったことをメモしておく。)
そのあと、単元が終わったあたりで見直して復習するのが良いです。書き込みすぎて地図帳をごちゃごちゃさせたくないという人は白地図を利用しても良いです。
2-3.暗記事項は隙間の時間に覚える
鉱産資源の産出国や農作物の生産国、EU加盟国などがなかなか覚えられない人も多いと思います。
そういったときは、登下校で歩いている時やお風呂の時など、隙間の時間に「一位中国、二位アメリカ……」といったように、頭の中でランキングを思い出すようにしましょう。迷うところがあったら、さっと統計資料集を見て確認して、覚え直す。これを何度も出来るまでやり続けましょう。
これなら時間がかかりませんし、反復することで自分の忘れやすいところを意識することができます。
また、2-2で書いたように、地図帳や白地図に書きこんでビジュアルで覚えるというのも良いです。特に部屋の壁やトイレなどの嫌でも目に入るところに、覚えることを書き込んだ大きめの地図を貼っておくと効果的です。
2-4.固有名詞よりも特徴をしっかり覚える
共通テスト試験で固有名詞が問われる問題は多くなく、問われたとしてもマーク式なので他と区別がつけば解答できます。そのため、名前を厳密に覚える必要は薄く、それよりは特徴を覚えた方が得点につながります。
用語の名前は「言われればわかる」程度で良いので、その特徴を覚えることを意識しましょう。例えば、「サンアンドレアス断層」という固有名詞を覚える必要はなく、「アメリカ西海岸になんか長い名前の横ずれ断層がある」といった覚え方で良いです。
2-5.共通テストのみの人や、時間のない人向けの勉強法
地理は共通テストでしか使わないという人や時間のない人は、過去問よりもむしろ知識のインプットを重視しましょう。
何度も繰り返していますが応用を解くには基礎が必要ですので、多少応用力が足りなくても覚えるべきことをしっかり覚えていられれば十分な点数は取れます。自分のレベルに応じた参考書をしっかり読んでください。
時間配分は試験当日までずっとインプット7、過去問3を維持していけば良いです。
また、時間のない人は、地誌は後回しにしましょう。地誌は他の分野の応用で解ける問題も多く、時事問題のようなニュースなどを見ていると解ける問題などもあり、(もちろん対策した方がいいですが)他よりも対策しなくても失点が少なくて済むところです。
また、地誌に関してはオセアニアや前の年と同じ地域はあまり出ないので、ヤマを張ってそれらの地域はあまり時間をかけずに、頻出分野や3年前ぐらいに出た地域に時間をかけるのも1つの手です。
逆に、大問6の地図の読み取りは時間がなくても必ずやるようにしましょう。
地図記号などの地図の読み方は他の分野の応用で補うことができないので、「知らなければ終わり」です。地図の見方は中学校でもやっているので、一度過去問をやってみて解けたならやらなくてもいいですが、もしできなかった場合は必ずやりましょう。
また、大問6はその地域についてどれだけ知っているかを聞くものではなく、地図の読み取りを聞いているので、地誌と違って、出る地域が分かれば格段に有利というわけでもないです。
出そうな地域の特徴を調べるよりかは地図記号など、地図の読み方を勉強した方が良いでしょう。
3.オススメの参考書、問題集、過去問
共通テスト地理を解く上でオススメの参考書ですが、まずは1年分過去問を解いてみて、自分の到達度を確認してみてください。それに応じてレベル別に参考書を紹介します。
いきなり自分のレベルよりもはるかに高い難易度の参考書をやっても、さっぱり分からなくなって地理の勉強が嫌いになるだけです。自分のレベルにあった参考書を使うのが遠回りに見えて一番の近道ですので、背伸びしないで自分に合ったものをやりましょう。
『山岡の地理B教室(東進)』
過去問を解いて点数が7割に達しない人は、必要な知識が不足しています。そこで本書に取り組んでください。本書は1ページあたりの文字の密度が薄いため、読みやすく、すぐに1周できます。
共通テストは範囲が広いので、このような全体を簡単に見渡せる参考書は非常に便利です。
文章中では必要最低限しか書いていませんが、章末に詳細なチェックがあるので、文章を読んで大筋を理解した後、章末のチェックで情報を詰め込んでいくという方法が良いでしょう。これを3、4周して、章末のチェックの事項を9割覚えるくらいまでやり込んでください。
『みんなの共通テスト教科書 地理B(旺文社)』
『山岡の地理B教室』が難しいと思う方は、本書が良いでしょう。こちらはオールカラーでポップなイラストや写真も使われていて、苦手な人でもスッと頭に入ってきます。
こちらも何周もして例題の答えを覚えてしまう位まで読み込んで、基礎事項を頭に叩き込みましょう。それが終わったら、『山岡の地理B教室』に進みましょう。
『地理B 統計 データの読み方が面白いほどわかる本(中経出版)』
次に、過去問を解いていつも7割を超えていて、80点〜満点を目指す人は、知識はついてきているので、図表の読み方の練習をしましょう。それには本書が良いでしょう。
本書は統計、データのどこに目をつけたら良いかを解説した本で、知識のアウトプットの仕方がわかりやすく書かれています。
例題やデータをじっくり見て、考えながらやるのが良いので、時間で区切らずに1日1〜2章と決めてゆっくり考えながらやるのが良いでしょう。
『共通テスト過去問レビュー 地理(河合出版)』
上記の参考書をこなしたら、過去問に移りましょう。
まず、どの出版社の過去問が良いかですが、赤本よりも河合出版から出ている、いわゆる黒本の方が良いです。黒本は解説が詳しく、追試も収録されていて問題数も多く、値段もそれほど変わらないのでこちらの方がおすすめです。
過去問は古すぎる問題は現在と傾向が違ったり、使われている統計データが古すぎたりしていてあまり使えません。10年分、多くても過去15年分ほどやれば十分です。
追試の問題については解くようにしましょう。本試よりも難しめですので、腕試しにはぴったりです。傾向も本試とそれほど変わらないので、古い過去問をやるよりも役立ちます。
ただしあくまで腕試しですので、高得点を目指す人や、本試をすべてやりきった人だけやれば良いです。
また、過去問をやるときには、選んだ数字の上に、確信を持って答えたものには◯、迷ったり、引っかかるところがあったものには△、全くわからなかったが勘で答えたものには×を書いておきます。
解答した後、△や×のものは、正解していたとしても解説を読むようにしましょう。文理ともに共通テスト地理はなかなか時間がかけられないところだと思いますので、できなかったところや苦手なところだけ効率より復習できるこの方法がおすすめです。
4.共通テスト地理で高得点を取る2つのポイント
以上のように、基本的な知識と図表を読み取る力があれば、実際の共通テスト試験の問題もほとんど解けます。しかし、毎年難しい問題が数問出されていますし、聞いたこともないような図表が使われた問題が出されたりもします。
ここでは、そういった問題を解ききって高得点を取るためのポイントを解説します。
4-1.地誌の問題でも系統地理の知識を活用する
用語の確認ですが、系統地理というのは、熱帯の気候ではどういう植物が育つかといった感じの、自然環境や気候などに関することで、地誌というのは、ヨーロッパでは何が生産されていてといった感じの、それぞれの国や地域に関するものです。
地誌の問題でさっぱりわからないような問題が出た時、諦めないで系統地理の知識を利用すると良いです。例えば、2016年の第5問 問1で、インドと南アフリカのどこで何が取れるかを全く知らなかったとしましょう。
そんなとき系統地理の季節風に関する知識を思い出して、季節風がどうやって吹くかを考えればすぐに3が正解だとわかります。
このように、地誌だからといって「知らなかったら終わり」ということはなく、知らなくても他の分野の知識と結び付ければ解けることも多いです。
もちろん逆に、系統地理でわからない問題があった時も地誌の知識を結び付ければ解ける場合があります。視野を広く持ちましょう。
4-2.疑問が残る問題には印をつけておく
実際に問題を解くと、「これは絶対正解だろう」と思う問題もあれば、「本当にこれでいいのかな……」と迷うような問題もあります。そのため、合っているかどうか疑問が残る問題には、問題番号に大きく丸をつけておくなど、解き終わってから戻ってきやすいように印をつけておきましょう。
そして、見直しするときは最初から全ページをめくっていって、印が付いているものだけ見直しましょう。
「わざわざそんなことしなくても迷った問題ぐらい覚えてるよ」と思われるかもしれませんが、地理は図表の読み取りが必要な問題ばかりなので思ったより見直しの時間が確保できない場合が多いです。
さらに、図表の多さゆえにページ数が多く、気にすべき問題を見落としがちであったり、見直しで一通りすべての問題に目を通すのにも意外と時間がかかったりします。
そうなってくると焦って見直しが必要な問題を見落としてしまうことがあったり、途中で時間切れになったりしてしまいがちです。
そこで、迷った問題にマークをしておくことで時間の短縮ができる上に見落とすことも無くなります。
5.まとめ
この記事では、共通テスト地理の概要、勉強の仕方と、実際に解くときのポイントについて解説しました。
地理は日本史、世界史に比べ実力がついているのかどうか分かりにくいところがありますが、コツコツ勉強していけば必ずできるようになります。読み取りだけでなく知識もおろそかにせず、本番に向けて頑張っていきましょう!
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