文学史が苦手な人必見!暗記すべき内容と方法とは?
国語の一単元である文学史。
国語という科目の中では、数少ない暗記モノです。覚えていれば得点できるので、国語が苦手な人にこそぜひマスターしてほしいところです。
でも、学校の授業のなかでは、時間がないためかなおざりにされがちでもあり、覚え方がよくわからないまま苦手意識をもっている人が多いのも事実です。
文学史で覚えることは?
暗記の仕方を考える前に、文学史で覚えることを整理しておきましょう。
覚えておくと望ましい要素は、次の五つです。
- 作者名
志賀直哉 - 作品名
『城の崎にて』 - 刊行年
1917 - 派閥・他の作品との関係
白樺派。志賀直哉は、武者小路実篤や有島武郎とともに、同人誌『白樺』をとりまいた作家たちの一人。大正デモクラシーを時代背景に、自由主義的な雰囲気を醸した。 - あらすじ・テーマ
電車に轢かれて怪我を負った主人公が、兵庫県の城崎温泉で療養するあいだ、さまざまな動物の死を目にすることで、自己の生と死について思いをめぐらす…。
このようなことが教科書や便覧に載っているような有名な作品について思いつくようになれば、間違いなく文学史をマスターしたと言えるでしょう。
でも、もちろんこうしたすべてについて完全に暗記するのは難しいですし、文学史好きでもなければ、他に勉強するべきこととのバランスを考えなくてはなりません。
最低限覚えてほしいのは、作者と作品名です。
有名な作家(夏目漱石や芥川龍之介)とその主要作品をセットで覚えること。これが第一歩です。
刊行年については、多くの場合細かく聞かれることは少ないので、大体でもいいと思います。
文学史の場合重要なのは年代そのものではなく、「大正デモクラシー」や「太平洋戦争」などの大きな歴史的出来事との相関関係を頭に入れることです。
日本史の時間軸と重ねて覚えていきましょう。
各流派やグループなどは、作者名とセットで覚えられたら望ましいところです。
とくに、白樺派や耽美主義、プロレタリア文学などはよく問われる有名なグループですから、誰が属するか暗記できるとよいです。
あらすじ・テーマは、近代文学の場合、それ自体で完全に覚えておく必要はあまりないです。古典(『源氏物語』や『枕草子』)の場合は、最低限の筋書きを覚えておいた方がよい場合があります。
ただし、あらすじやテーマは、作品や作者、派閥を暗記する時に知っておくと手がかりになることが多いです。
文学史の暗記法はある?
では、文学史を暗記するのに便利なTipsなどはあるのでしょうか。
暗記法と聞いてまず思いつくのは語呂合わせでしょう。
歴史の年代や元素記号や√2などのような語呂合わせで、文学史をマスターできれば楽そうに思えます。
じっさい、作家と作品の組み合わせなどには、語呂合わせが用いられることもしばしばあります。
筆者としては、語呂合わせを用いて覚えること自体は、うまく語呂がハマる作品や作者については、できると思います。
また、自分で語呂合わせを考えたり、あれこれ頭をひねって生み出した暗記法を試行錯誤していると、そのうちしっかり記憶してしまっている、なんてこともよくあります。
しかし残念なことに、語呂合わせは文学史対策の万能薬ではありません。
文学史の分野には「すいへーりーべー…」とか、「ひとよひとよに…」のような名作語呂合わせがないということもありますが、それ以上に、覚えるべき作品の量に対して、成立する語呂合わせの数が足りていないのが最大の問題です。
語呂合わせに限らず、「暗記術」というものはすべからく万能ではありません。適用できない事柄が多すぎるからです。
そのため、この記事では語呂合わせやその他の暗記術についてを紹介することは控えます。
結局は正攻法…?
結局のところ、暗記には正攻法で挑むのが最短で安全な道のりだと言うことができるわけです。
ここで正攻法というのは、事柄についてしっかりとした理解をもって記憶すること、要するに「身につける」ことです。
そのためにはもちろん、教科書や便覧を読み込むというのが一番普通のやり方です。
ですが、そんなやり方で覚えられるひとは、そもそも文学史(もしくは歴史)の素質がある、つまりもともと「得意」な人と言えます。
この記事は文学史に苦手意識をもっているひとに向けているのですから、教科書を読む以外の方法で、文学史を身につける方法を紹介していきましょう。
やっぱり読むのが一番?
文学史の覚え方。もちろん一番頭に定着するのは、実際に作品を「読む」ことですよね。
読んだことのない作品について暗記するより、読んだことがある作品の方がスムーズなのは言うまでもありません。
それだけではありません。
いくつかの作品について、その内容を知った上で文学史を学ぶと、他の作品との関係も見えてきます。
「たしかに、谷崎潤一郎の『細雪』と三島由紀夫の『仮面の告白』には、どこか似たような印象を抱いたな…」という経験の記憶が、暗記を促進していく効果もあります。
それはそうですが、「そんな労力は割けない!」と思うのは当然です。
特に、国語が苦手な方ならばなおさらです。
もちろん、教科書に載っているすべての作品を全編読むなんてことは、よほど好きでなければ難しいでしょう。
でも、読むべき作品はそれほど多くありません。
文学史に登場する作品をひとつでも読んでおけば、その作品に関連するさまざまな史実も、一緒に記憶に染み付けることができます。「一石二鳥」どころか四鳥も五鳥も狙えるわけです。
それに、読むにしても全編を読む必要はありません。
現代文の教科書や受験問題に出る程度の、抜粋を読むだけでも、その作品の大事な部分をおさえることができます。
代表的な作品を、抜粋で読む。これだけでも大きく効果があると言えます。
時間とガッツに余裕があれば、まずはこういう基本的なところから挑戦してみるのが一番です。
読んでいる余裕がない!そんな時のながら勉強?
試験が直前に迫っていたり、他の科目に追われていたり…。さまざまな理由で、作品を実際に読む時間を取れないこともあるはず。
読む余裕がなければ、「聴く読書」を活用するのも一つの手段です。
通学時間やお風呂の時間などの隙間時間を活用して、音楽を聞くようにして小説の音読を聞く。
これでもそれなりの効果が見込めるのは、やはり文学作品に実際に触れた経験を得ることができるからです。
もちろん自分の頭で考えながら読むほうが定着度は高いと言えますが、耳で聞いた経験であっても記憶の助けになるに違いありません。
最近では、さまざまなオーディオブックのサービスがあり、無料でアクセスできるものもあります。
有名作品はかなりの場合で登録されています。
字を読むことに比べれば、体力・時間ともに温存できるので、場合によっては効率のよい勉強法となります。
ちなみに日本ではあまり真面目な勉強として受け入れられない「聴く読書」ですが、欧米ではかなり一般的な読書の方法として受け入れられています。
究極のながら勉強!見るだけ暗記
聴く読書の余裕もない…というときには、もっと簡単な方法があります。
それは、自宅の机上や本棚に、いくつかの文学作品を置くこと。置くだけです。
本を買うお金があれば買ってもよいですし、図書館から借りてくるだけでもいいです。
これはどんな勉強法かというと、作家名と作品名の組み合わせを、毎日チラチラ目にすることで覚えてしまおうという方法です。
机においておけば、毎朝起きて一番に、寝る前に最後に、意識せずとも目にとまります。
勉強が一段落して一息つくとき、ぼんやりと本棚を眺めます。
生活の一部に文学作品が置かれるというだけで、実は少しずつ知識を身につけることになるのです。
「そんなうまい話が…」と言いたくなる気持ちもわかりますが、実家の本棚に置いてあった読みもしない本のタイトルや装丁などを意外に記憶しているひとは少なくありません。
実際に筆者は、実家においてあった『日本の文学』シリーズの背表紙を見て、中身を開きもしないのにいつの間にか作家名と作品名を記憶していました。
とにかく、文学史を「教科書のなかの出来事」ではなくて、実際に自分の経験と合致させることが重要だということです。
もちろん、眺めているだけで完全に暗記はできないので、教科書を開いて暗記にトライすることは必要です。
でもその時々に、「あ、この名前の並び見たことあるな」と思い出す。「この本、あの時図書館で借りたな」と思い出す。
暗記と経験が合致することで、記憶を促進することができるのです。
まとめ
文学史は、作家名・作品名→年代→派閥→あらすじの優先順位で覚えましょう!
文学史の暗記の大前提として、自分で教科書を開いて地道に覚える努力は必須。
その上で、実際に作品を読むことでさらに記憶が定着する。抜粋などで十分。
読む余裕がなければ、聴く読書でも効果あり!
もっと余裕がなければ、本を買ったり借りてきたりして、家に置いておくだけでも…!
少しでも自分の経験の中に文学を落とし込む習慣をつけましょう。