ポストコロナの大学選びの方法とは|失敗しないための注意点
「ウィズコロナ」と言われるほど、感染症との長い付き合いが見通されるこれからの社会。
大学進学を控える高校生にとっても、社会情勢の変化は無関係ではありません。
大学のあり方はここ1年で大きく変わっているからです。
では、大学選びにあたってどんな変化に気をつければよいでしょうか。
この記事ではそのことをお伝えしていきます。
これから大学選びをする学生のみなさん、お子さんの進学先を考える親御さんにも、これからの大学の先行きを踏まえた大学選びの参考にしていただければと思います。
オンライン授業はスタンダードに
感染症拡大によって大学に起こった一番大きな変化は、対面授業の中止や削減、そしてオンライン授業の導入です。
2021年現在でも、多くの大学がオンライン形式を中心にカリキュラムを組んでいます。
演習やゼミなど比較的少人数の授業の場合、授業をオンラインで生配信しながら進める「ハイブリッド式」もみられます。
実習系や実験系など、どうしても対面の必要が認められる場合を除いて、オンラインがかなり定着していると言えます。
そしてここからが重要な点なのですが、これから先コロナ禍が収まっても、オンライン授業は続いていくと予想されます。
いくつかの大学の運営・教授陣が、さまざまな媒体で今後のオンライン授業の継続を予想しています。(「ポストコロナ オンライン授業」とかで検索すると記事がたくさん出てきます。)
じっさい筆者自身が所属している大学でも、同様の旨を先生たちが話しているのを耳にします。これまではオンラインやオンデマンドに対して懐疑的だった先生たちにも「やってみたら意外とうまくいくじゃん」という感触があるようです。
もちろん、コロナが収束してからは対面もNGではなくなるわけですから、いまのような閉塞感はなくなるかもしれません。
しかし、講義など比較的一方向的な授業においては、オンラインでのメリットが大きいのも事実。学生の側から見ても、通学の時間・費用の削減や学習の効率化など、さまざまなメリットがあります。
そんなわけで、オンライン化できる部分はオンラインでやる、対面の方がいい場合は対面でやる、というように、今後の大学の授業形態はかなりフレキシブルで、複雑になっていくだろうと予測できるわけです。
しかし、授業の多くがオンライン化することで、学生にとって無視できない変更点も生じてきます。そのなかでもとくに重要なものを抜き出して、大学選びにどう影響するかみていきましょう。
テスト中心からレポート中心に!偏差値で学校を選ぶことはリスクに
オンライン化による一番大きな変更は、従来学期の中間・末にやっていたテストが減らされ、代わりの課題としてレポートが出されるということです。
もちろん場合によりますが、オンライン授業といえば「レポート地獄」として知られています。
オンライン授業ですと、テストでのカンニングなどの不正を防ぎきれないため、評価をできるだけ公正に行うために、レポートを採用する先生が多いのです。レポートが得意な人はこのやり方は嬉しいでしょうが、レポートが苦手な人にはかなり厳しいと言えます。
特に、大学に入りたてでレポートを書き慣れていない1〜2年生にとっては、かなりの重荷です。
これから大学に入る学生が気をつけなければならないのは、レポートを書いて単位をとるということは、その授業にある程度関心をもって自発的に勉強しなければいけない、ということです。
テストなら、高校での試験のように、とりあえず覚えていけばこなせるところが大きいです。これに対してレポートの場合は、少なくとも数時間は、その授業の内容に関連する書籍や論文を読んだり、自論の構成を考えたり、論述の順序を整えたりしなくてはなりません。
なので、興味のない・やる気のない分野についてのレポートが山積すると色々な点でつらくなってきます。場合によっては大学に通うことが憂鬱になってしまうこともあるでしょう。
そうならないために、オンライン化された大学にあっては、興味のある大学・学部・コースを選ぶというのがこれまで以上に重要になります。
法律を勉強したかった人が教育学でレポートを書きまくるとか、社会学をやりたかった人が文学でレポート沼にハマるとか、こういった事態はできるだけ避けるべきでしょう。
つまり、いわゆる偏差値偏重の大学選びでは、進学後にリスクが潜んでいるということを意識しなくてはなりません。
高校生の時点ではあまりわからないかもしれませんが、自分が何を勉強したいかをはっきりと意志的に決定することが重要なのです。進路選択の基本中の基本ですが、この基本がこれまでなかったくらいに重要視される時代に入っていると考えるべきでしょう。
友達と話す機会が減る
これはあまり大学での勉強面に関係がないようですが、実は非常に大きな点です。
大学時代の友人というのは、たんに遊び仲間というだけではなく、単位に関する情報共有、レポートや卒論執筆時の相互協力、就活での相談や助け合いなど、自分の将来に直結するさまざまな活動のためにも大事なものです。
そのため、授業のオンライン化によって友人を作る機会が減るということは軽んじることのできない痛手です。
大学選びに関しては、自分の性格にあった校風や、趣味のサークルなどがあるかどうかは意外と大事なところです。
そのあたりは、自分の「行きたい大学」を選ぶという上述の点にもつながりますので、事前の下調べはしっかりやっておきましょう。
交通の利便性はやっぱり大事?
大学選びの重要な基準のひとつは、大学所在地の交通の便です。
実家や下宿など、住まいには色々な選択がありますが、住まいから大学への交通の便はポストコロナの時代でもやはり大事になると予想されます。
コロナ禍真っ只中の2020年度から21年度にかけては、多くの大学が全面オンラインを選択し、大学への通学がまったく不要になった時期もありました。(筆者の知人にも、地方の実家に住みながら東京の大学のオンライン授業に出席して一年を終えた人がいました。)
しかし先述の通り、大学の授業形態はどんどん新しくなっています。講義はオンライン、演習やゼミはハイブリッド…といった具合です。
このハイブリッド式も、コロナ禍の収束に応じて(あるいは機材費・メンテナンス費など財源的な問題で)ここ数年のうちに全面対面に切り替わる可能性があります。
それだけではありません。仮に大学の全面オンラインが継続したとしても、既述のようにレポートの嵐がまっています。未習の分野でレポートを書くには、どうしても図書館に通う必要があります。資料への直接のアクセスという観点からも、少なくとも週に2〜3日は通学できる程度の距離に住むのが安全策と言えるでしょう。
オンライン留学の可能性
大学選びの基準のなかに、留学プログラムの有無を含めているひとも少なくないでしょう。
この留学制度ですが、コロナ禍の世界的な拡がりに応じて、オンライン留学という選択肢が確立されつつあります。
これにより、これまで留学制度が比較的充実していなかった地域の大学との提携が可能になったり、治安が不安な地域への留学が容易になったりすることが予想されます。
もちろん、オンライン留学は実際の留学に比べて、語学の鍛錬という意味では劣ると言えます。
というのも、外国語の習得には、24時間その言語に触れるのが一番の近道だからです。
しかし、留学にかかる経費や手続きの手間、生活の不安などさまざまな点がオンライン留学では軽減できるのは確かです。オンラインであっても、留学先の大学で単位を取得した事実があれば、十分に経歴としてはプラスになるでしょう。
要するに、今後はオンラインを視野に入れて留学のハードルが下がると考えることができるわけです。
これを踏まえて、志望先の大学にオンライン留学のプログラムが用意されているかどうかも、選択のひとつとして加えてみると良いでしょう。
まとめ
授業のオンライン化という大きな変化による大学選びへの影響として、大きく次の四つを紹介しました。
・「行きたい大学」「やりたいこと」がますます大事に
・友達が作りにくくなるので注意!
・交通の利便性はやっぱり大事
・オンライン留学の可能性
このほかにも、人との会話の減少による勉学へのモチベーションの低下や、飲食店の規制によるアルバイト探しの難しさなど、色々な影響があるでしょう。
今後大学を選ぶ人は、これまで通りのきまった目線だけでなく、これからの情勢をしっかりと踏まえていくことを心がけ、後悔することのないように頑張りましょう。