現代文の記述問題を解くために知っておきたいこと

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現代文の記述問題はなかなか高得点が取りにくく、解答を書いた後も「本当にこれでいいのかな……」と不安になったり、できたと思っていてもいざ結果を返却されるとあまり得点できていなかったりということもあります。

しかし、しっかり対策すれば安定して高得点を取れ、逆に得点源にすることができます。ここでは記述問題を解く上で覚えておくできこと、記述の書き方、問題への取り組み方、オススメの参考書に分けて説明していきます。

1.記述問題を解くときに覚えておくべきこと

ここでは、記述の問題練習をする前に意識しておいてほしいことをまとめています。

1-1.答えは本文中にあるが、語彙や背景知識は軽視できない

現代文で問われているのは、文章を論理的に読解する力と、読み取ったものを正しく、わかりやすく表現する力です。そのため、記述問題に限らず、現代文は本文に書かれていることを正確に表現できれば高得点が取れるのです。

しかし、こう書くと現代文の頻出キーワードのような、語彙や背景知識というものはいらないように思えますが、そうではありません。現代文の文章は一見してわかりにくいものが多いです(わかりやすいものではみんな簡単に解けてしまうので問題になりません)。

そうなってきた時に語彙や背景知識があれば文章で言っていることのイメージがつかめたり、論点になっていることが何か分かったりすることがあります。もちろん問題文で言われていることが第一ですが、こういったことを覚えておくと役に立つ場合が多くあります。

具体的な参考書としては、Z会の『現代文キーワード読解』が基本的な事項を網羅していて使いやすいです。

現代文に慣れていなかったり苦手だったりという方はドリル形式になっている旺文社の『現代文重要キーワード書き込みドリル』が取り組みやすくて良いでしょう。

これらの参考書についてはこちらで詳しく解説しているのでご覧ください。

1-2.現代文の記述の答えは基本的にひとつ

時々「記述問題の答えはひとつじゃない」と言う人がいます。これは半分正しいですが、半分は間違っています。

確かに解答の表現など細かいことは一つ一つ違いますが、答えるべき内容は決まっています。1−1で書いたように、現代文の記述は問題文にしたがって解答を書いていくわけなので、問題文が何を言っているかを追っていけば書くべきこと、外せないポイントは定まってきます。

実際によく書けている答案を幾つか比較してみると、解答の表現の仕方によって小さい違いが出てくることはありますが、書かれている内容は同じになります。

「答えがないから何を書いてもちょっとは点をくれるはずだから現代文は適当でいい」と思っていると1点ももらえないので、しっかり読解力と表現力をつけるよう勉強、対策しておくべきです。

2.記述問題の書き方

記述の解答は一文で書かなくてはいけないのか、文中の言葉をそのまま使っていいのかなど、細かいところまで気になってしまうものです。ここではそういった書き方を挙げていきます。

書き始めについて

  • 書き始めの一字は開けない
  • 句読点は1字として数える
  • 句読点は行の始まりにあっても構わない

解答用紙にマス目があるのは字数を数えるためで、原稿用紙の書き方を知っているかを聞いているわけではないです。そのため、書き始めに一字空けたり、行の最後のマスに最後の一字と句読点をまとめて書いたりしてはいけません。

字数制限について

  • 字数制限は守る
  • 字数制限の8割は書く
  • マス目がない場合も枠をはみ出さない

字数制限を守っていないとそもそも採点の対象にならない恐れがあります。
また、マス目がなく枠だけが与えられている場合でも、枠の外に文字を書いてしまうと採点官に何かサインを送っているのではないかと思われ、カンニング扱いになってしまいます。

逆に字数制限に明らかに足りていなかったり、枠の余白が大きすぎたりという場合も採点対象にならないかもしれません。字数制限のある問題の場合には、8割以上書けば安全です。枠の形式の問題では大学ごとに違うので過去問や先生に聞くなどして調べておきましょう。

行数について

  • 解答は2文以上になっても構わない
  • 改行はしない

解答を1文で書くことにこだわる必要はないです。2文以上の方がうまくかける場合それで問題ありません。またその場合でも、上記の通り原稿用紙とは違いますので、本来なら改行するところでも改行しないで続けて書いてください。

 ですます調で書かない

解答はですます調ではなく、「だ、である」で書いてください。ですます調にしても採点官の印象が良くなるということはなく、字数が増えるだけでメリットはありません。

3.問題への取り組み方

記述の書き方を見たところで、ここでは実際に問題に向き合った時に気にしておくべきことを説明していきます。問題を解くときは常に気に留めておいてほしいことばかりなので、当たり前のことにも見えますが覚えておいてください。

3-1.聞かれていることに答える

聞かれたことに答えるというのは当たり前のようですが、意外と忘れてしまいがちです。

問題を解こうとしてじっくり考えているうちに問題の趣旨を忘れてしまったり、時間がなくて問題文をちゃんと読まずに解いてしまったりすると、問題と答えがずれてしまうことがあります。

必ず問題文はちゃんと読んで、聞かれていることをはっきりさせ、解いている間も忘れないようにしましょう。

また、聞かれていることに解答の末尾を合わせるようにしましょう。例えば、「〜なのはなぜか」と聞かれたら、「〜だから」、「〜はどういうことか」と聞かれてたら「〜ということ」と答えます。

3-2.本文に書かれていないことは書かない

国語で問われているのは読解力であり、知識量や、解答者が何を考えているかではありません。自分の知っている分野に関する問題が出るとついつい知っていることを全部書きたくなるものですが、本文に言及されていないことまで答案に書いてしまってはいけません。

また、問題文が自分の意見と合わなくても、問題文に則って答えなくてはいけません。

1−1で書いたように、背景知識は目の前の文章のイメージや論点をつかむためのものであって、解答に直接反映させるものではないです。背景知識に振り回されるのではなく、上手に使いこなしましょう。

3-3.文章を読んだことのない人に説明するように、分かりやすく書く

記述問題の解答を書くときにどの程度まで書いたらいいのか迷うことがあると思いますが、そのときは、「問題文を読んだことのない人が設問と解答だけ見ても意味がわかるようなもの」を書くことを意識してください。

例えば、問題文の表現をそのまま解答に使ったときに、「それが〜だから」というような、指示語がそのまま残った解答の場合、問題文を読んだことのない人が見ると「「それ」ってなんのこと?」などと疑問に思うでしょう。

そうなってはしまっていけないので、「それ」の指すものを本文から探して解答に反映させることが必要になります。

また、その問題文特有の表現や比喩なども、問題文を読んだことのない人には伝わらないので言い換える必要があります。

3-4.過去問で大学ごとの問題の出し方をつかんでおく

現代文の記述問題は字数まで指定してくる大学もあれば、行数だけ指定したり、何も指定しなかったりと、大学ごとに出し方が違います。

例えば東大では、「どういうことか、説明せよ」、「どういうことか、わかりやすく説明せよ」、「どういうことか、本文の趣旨に沿って説明せよ」というように、同じ「どういうことか」を聞く問題でも、問題文に微妙な違いがあり、それを意識する必要があります。

このように、大学ごとに注意しておくべき箇所があるので、志望校の過去問は必ず解いてそれを理解しておくようにしてください。

4.記述対策にオススメの参考書

ここでは記述問題の対策にぴったりの参考書を二冊紹介します。記述対策にはこれらの参考書をやってから志望校の過去問に移るのが良いでしょう。

4−1で標準的なものを、4−2でそれよりやや簡単なものを紹介します。記述問題は慣れるまでは取り組みにくいので、多少辛いと思っても根気よく取り組むことが大切ですが、それでも難しくて全く手がつかないという方は記述対策の前に基礎を固めましょう。

現代文参考書の記事でより基礎的な問題集を紹介しているので、そこから始めてください。

4-1.記述問題はこの一冊『得点奪取現代文(河合出版)』

記述対策にはこの問題集が最適です。本書は記述問題の採点基準が細かく出ており、自己採点がしやすく、記述対策を始めたばかりの時によくある「答えと微妙に外れているように見えて、合っているのか外れているのかわからない」ということがなく、スムーズに採点することができます。また、解説も豊富であり、別冊で見やすいです。

この問題集を始めから一問ずつ解いて解説を熟読すれば、記述問題の解き方が掴めるはずです。使い方としては、これを一周しながら間違えた箇所や注意点をマークしておき、そのあともう一周文章を読み直して1周した際に引っかかったところや覚えておくべきだと思ったことを再確認するのが良いでしょう。

4-2.やや苦手な人はこちらから『現代文と格闘する(河合出版)』

こちらは文章中の難しい箇所をどうやって理解するかという文章読解の面から始まっており、記述以前に必要な文章を読みこなすところから解説されております。

初めはこういった基礎から始め、最後は応用的な記述の問題の対策が書かれており、進むごとに実力がついて行くのがわかり、終わった頃には記述の基礎が身についています。

使い方としては4−1と同じく、初めから問題を解いていき解説を熟読し、反省点を記しておくのを一周して、そのあと文章を読み返しつつそれらを確認するのが良いです。これが終わったら4−1で紹介した『得点奪取』に行くのが良いですが、本番まで時間がない場合は直接志望校の過去問に行くのが良いでしょう。

5.まとめ

この記事では、最初に現代文の記述について知っておいてほしいことを、次に記述の解答の書き方を、問題を解く際のポイントを説明していきました。

これで記述問題に取り組みやすくなったことだと思います。ここから問題演習をしっかりやって、本番で高得点をとりましょう!

著者情報

究進塾 編集局

究進塾 編集局
東京・池袋にある究進塾の編集局です。受験指導のプロが大学受験に役立つ情報をお届けしています。 大学受験対策コースはこちらからご覧いただけます。
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