厳選!IELTS講師おすすめ「単元別・レベル別参考書」
ここ数年、IELTSが国家公務員の英語試験として採用されたこともあり、日本でもIELTS試験が注目されつつあります。書店ではIELTS対策コーナーを置くところもあり、日本人向け参考書も多く見かけるようになりました。
一方で、海外出版社の対策テキストもインターネットなどで購入しやすくなっています。たくさんある対策教材の中でどれを使ったら良いか。
一口にIELTS対策と言っても、現在のレベルや不得意分野によって適した教材は異なってきます。単元とレベルごとに“一番おすすめの教材”をご紹介します。効率良い対策は、良い教材との出会いから!
目次
1.最初に手に取るべき参考書〜全てのレベルの方におすすめ〜
筆者がここ近年で、「ぜひ学習者の皆さんにおすすめしたい!」と思った一冊は、ブリティッシュ・カウンシル公認の参考書です。
1.1初受験の方に
IELTSをこれから初めて受けるという方、試験について大まかな概要は分かっていても、セクションごとの具体的な注意点は、ウェブサイト等の受験案内などでは把握しきれないことでしょう。この参考書は、一冊で様々なIELTS情報が得られ、IELTS全体を理解するための最初の一冊としておすすめです。
◆この参考書が初受験の方におすすめの理由
・全て日本語で説明されており、効率良く試験内容が把握できる
・セクションごとに概要、詳細説明や注意点、対策のコツ、例題、採点基準などが示され、ブリティッシュ・カウンシル監修ならではの詳細情報がつかめる
・巻末には模擬試験が収録されており、対策テキストを購入する前に本番試験の練習ができる→自分にとって難しすぎる場合は、過去問集などに取り組む前に基礎的な対策に取り組むとう判断材料になる
1.2全体的な対策法・コツを掴むために〜初受験でなくてもおすすめ〜
初受験とは限らず、既に受験したことのある方でも、全体的な概要をしっかり把握し、それぞれの単元ごとの対策のコツを掴むために、この参考書をおすすめします。
◆初受験でない方へのおすすめポイント
・日本語の解説なのですんなり理解できて効率が良い
・採点基準なども詳細に書かれており、点数を上げるための具体的な参考になる
・全セクションについてそれぞれコツを知りたい方、全てのスコアアップを目指す方に、全ての情報がまとまっていて解りやすい
一冊でこれだけの情報がまとまっているIELTS参考書は、ほかに見当たらないと思います。既にIELTSは何度も受験して内容を把握している、自分の弱点は分かっている、という受験者には不要かもしれませんが、ほぼ全てのIELTS受験者に最初の参考書としておすすめできる本です。
2.単元別・対策テキスト(参考書)
次に単元別の対策用テキストをご紹介します。それぞれに、3つのレベルに分けて教材をご案内しますので、自分の現在のレベルと弱点がどの部分が分かっている方には、単元別の教材に取り組むことをおすすめします。
レベル分けについては、それぞれ絶対的な基準はありませんが、取得済みの英語スコアや筆者の過去の記事などを参考にしていただくと、ご自分に一番近いレベルが分かると思います。
2.1 リスニング
※リスニングのレベル分けについてはこちらもご参照ください→「聞き流しはダメ!苦手な人も得点できるIELTS Listening対策法」の記事の「2. リスニング対策法:レベル別学習法(おすすめ教材)『2.1 IELTSリスニング:レベルチェックテスト』」
初心〜初級者向け(目安:IELTS3.5以下)
◆3つのおすすめポイント
・短い会話を中心に、初級者向けのリスニング問題を収録
・テスト・スキルを身に付けられるよう工夫された構成
・ディクテーション(聴いた内容を書き留める練習)問題も豊富
(注:英国オックスフォード大学出版ですが、この教材はアメリカ英語を基本としています。)
※こちらのオフィシャルサイトから音声をダウンロードできます。
https://elt.oup.com/student/tacticsforlistening3e/level_0?cc=jp&selLanguage=ja
注意:初心者レベルの方は、単元別の対策とともに(もしくはそれ以前に)全体的な英語の基礎力を上げる必要があります。中学英語の学び直しから始め、まずは基礎的な単語と文法を押さえましょう。
初中級〜中級者向け(目安:IELTS4.0-5.0程度)
総合的なリスニング力を付けるための教材として、以下のテキストは非常におすすめです。
◆3つのおすすめポイント
・日常的・社会的なテーマの様々なリスニング問題を収録
・テスト・スキルを身に付けられるよう工夫された構成
・ディクテーション(聴いた内容を書き留める練習)問題も豊富
(注:英国オックスフォード大学出版ですが、この教材はアメリカ英語を基本としています。)
※こちらのオフィシャルサイトから音声ファイルがダウンロードできます。
https://elt.oup.com/student/tacticsforlistening3e/level_1?cc=jp&selLanguage=ja
中上級〜上級者向け(目安:IELTS5.5以上)
過去問題集等の練習問題にたくさん取り組み、さらにリスニング力と併せてノートテイキングスキルを身につけていくことで、試験でより得点できるスキルが身につきます。
※Level2:中上級、Level3:上級
◆3つのおすすめポイント
・中上級〜上級のレベルの高い学習者向けのリスニング問題が提供されている
・単にリスニングだけでなく、具体的なノートテイキング・スキルが学べる構成
・ノートテイキングのスキルを中心に、留学先の講義などで活用できるスキルを身に付けられる
[その他]おすすめのオンライン練習問題(無料)
http://ieltsliz.com/ielts-listening/
(このページをスクロールダウンして、「IELTS Listening Practice Lessons」の部分をご利用ください。)
以上、特にリスニング試験の対策を重点的に行いたい方におすすめの教材です。ぜひ活用してみてください。
2.2 リーディング
※リーディングのレベル分けについては、こちらもご参照ください→「日本人はここで点数を稼げ!IELTS Reading必勝法」の記事の「リーディング対策法:レベル別学習法(おすすめ教材)『2.1 IELTSリーディング:レベルチェックテスト』 」
初心〜初級者向け(目安:IELTS3.5以下)
リーディングに特化した初級者向けの教材をご紹介します。リーディングが特に苦手という方は、ぜひ英語の学び直しと並行して以下の教材にも取り組んでみてください。
3つのおすすめポイント
・初心者レベルから取り組める内容(目安:300語程度の語彙力)
・具体的なリーディング・スキルを学べるよう構成
・リーディング問題に取り組みつつ、語彙力を養うコツを学べる
初中級〜中級者向け(目安:IELTS4.0-5.0程度)
総合的なリーディング力を付けるための教材をおすすめします。
3つのおすすめポイント
・4つのパートごとに具体的なリーディング・スキル(語彙力強化、速読スキル等)にフォーカスし、丁寧に学習できる
・ワークブック教材として使用するほか、本の選び方などの説明があり参考書としても優れている
・Timed Reading練習用のテキスト(それぞれ500語程度の文章)が収録され、速読練習がしやすい
中上級〜上級者向け(目安:IELTS5.5以上)
一番のおすすめは、たくさんIELTS リーディングの過去問に取り組むことですが、ここでは、追加の学習として使える1冊をご紹介します。
3つのおすすめポイント
・30日間でリーディングスコアを0〜2.0上げるという具体的目標のもと構成
・医学、生物学、環境等々、様々な分野から取られ、バラエティーに富んだ分野の語彙に触れられる
・それぞれの長文に対する問題はIELTSの設問形式をとっており、IELTSリーディング対策に特化した構成になっている
以上、リーディング力を上げるためのおすすめ教材をご紹介しました。多読練習も取り入れながら、こうしたリーディング教材を活用していきましょう。
2.3 ライティング(Task 1 & 2)
初心〜初級者向け(目安:英検4〜3級程度(中学英語レベル))
英作文をするためには、まずは基礎的な語彙力と文法力が必要です。中学英語学び直しの参考書はぜひ活用してください。その他、基本的な単語とそれを使って作文する力を養うヴォキャブラリー教材はおすすめです。
3つのおすすめポイント
・本当に必要な1,000語の英単語が4冊(4レベル)のテキストを通して身につく
・暗記ではなく、その語を使って作文できる力を身につける
・初心者でも無理なく段階的に始められる(レベル1からスタートして2、3、4と進む)
初中級〜中級者向け(目安:英検準2〜2級程度(高校英語レベル))
重要語句を使った文章の穴埋め問題などのエクササイズから段階的にライティング練習を始めると良いでしょう。それに加え、過去問などに取り組んでいきましょう。
3つのおすすめポイント
・Task 1、2ともにIELTSの設問形式に沿った練習ができる
・文章の穴埋め問題などから始め、段階的にライティング練習ができる
・アカデミック・ライティングの基礎から学べる
中上級〜上級者向け(目安:英検準1級以上(高校修了以上レベル))
IELTS アカデミック・ライティングの攻略はもちろんですが、その先にある留学先でのライティング課題も見据えた対策をしていきましょう。過去問などに取り組む傍ら、基礎からしっかりとアカデミック・ライティングを学べる教材も活用しましょう。
3つのおすすめポイント
・ワークブック形式で、書き込みながらライティングのルールやコツを学んでいける
・アカデミック・ライティングの基礎から始め、段階的に知識とスキルを伸ばせる(1〜3のシリーズ)
・独学でも着実にライティング力を上げていくことができる
(注:英国ケンブリッジ大学出版ですが、この教材はアメリカ英語を基本としています。)
以上、ライティング対策と言っても、現在の英語レベルによって取り組むべき教材は様々です。
ライティングについては、過去問に取り組んでいるだけではなかなか向上が望めません。それぞれのレベルと段階に沿った教材を活用しながら、スキルを身につけていきましょう。
2.4 スピーキング
初心〜初級者向け(目安:英検4〜3級程度(中学英語レベル))
まずは自分が使える範囲の日常的な語彙とシンプルな文法を押さえ、それらを駆使して話せるようになることを目標にしましょう。最初のステップとして、一般的な基本語彙と基礎文法を身につけることをお勧めします。
3つのおすすめポイント
・1〜4のレベル別に、日常で使う1000語の英単語を学べる(初心者は1から)
・暗記ではなく、その語を使って発話できる力を身につける
・本当に使える、日常で使用頻度の高い単語が選出されている
初中級〜中級者向け(目安:英検準2〜2級程度(高校英語レベル))
より幅広いヴォキャブラリーを身に付けること、そしてIELTSスピーキング試験で成功するために必要な会話スキルを身につけていくことを中心に対策していきましょう。IELTSに特化したスピーキング対策教材として、以下のテキストがおすすめです。
3つのおすすめポイント
・様々なエクササイズを通しながらスピーキング対策ができる
・IELTS試験で求められるスキルや得点のポイントを押さえつつ、効果的な回答の仕方を学べる
・独学で難しいスピーキング対策が、教材に沿って自分で進められる
中上級〜上級者向け(目安:英検準1級以上(高校修了以上レベル))
上記「初中級〜中級者向け」で紹介した「Collins Speaking for IELTS」はこのレベルの方にもおすすめしますが、その他に様々なディスカッションのスキルを身に付けられる参考書として、以下のテキストがおすすめです。
3つのおすすめポイント
・IELTSの試験に限らず、広く英語でスピーチやディスカッションをする際に大事な考え方、便利な表現などが総合的に学べる
・ユニットごとに社会的なテーマの文章が与えられ、様々なトピックに触れることができる
・記事は海外マスコミやJapan Timesなどから転載されているため、日本人学習者にとって扱いやすく興味深いトピックが多くなっている
スピーキング対策は独学に限界のある分野ですが、教材を活用して自分で学べる部分は独学で取り組み、それに加え、講師または英語の話せる相手との練習の場をできるだけ持つようにしましょう。
2.5単語・語彙力
初心〜初級者向け(目安:英検3〜4級程度(中学英語レベル))
ライティングとスピーキングの部分でも紹介しましたが、以下の教材は基礎的な語彙力を身につけるための教材として非常によく設計されています。
3つのおすすめポイント
・1〜4のレベル別に日常で使う1000語の英単語を学べる(初心者は1から)
・暗記ではなく、その語を使って作文・発話できる力を身につける
・音声ファイルや確認テストが無料ダウンロードできる
中級者向け(目安:英検準2級〜2級程度(高校英語レベル))
語彙力を上げるヴォキャブラリー教材もおすすめですが、基礎力を備えている中級以上の学習者には、以下に挙げるようなIELTSに特化した単語参考書が適しています。
3つのおすすめポイント
・IELTSでよく出題されるカテゴリー別に分かりやすく単語を収録
・練習問題などのエクササイズを通して、文脈の中での的確な単語の使い方を学ぶことができるよう構成
・練習問題はIELTSの出題形式にならったスタイル
上級者向け(目安:英検準1級以上(高校修了以上レベル))
上記「中級者向け」で紹介したようなIELTS単語の参考書もおすすめですが、上級レベルの語彙力がある場合は、特に単語の参考書を購入する必要はないかもしれません。
IELTS過去問とともに、英字新聞などで様々な分野の語彙に触れるようにし、その都度新出単語をきちんと押さえていくようにしましょう。
Japan TimesはIELTS対策の参考書・教材としてもおすすめです。
3つのおすすめポイント
・ニュースだけでなく、社会的なトピック、医学、科学技術、文化など様々なテーマが扱われる
・日本人にとって身近な話題が多いので、学習しやすい
・毎日更新されるので、日々新たな記事が読め、たくさんの語彙に触れられる
IELTS対策の単語固めと言っても、レベルによって取り組むべきことは様々ですね。IELTS単語参考書などは、出やすい単語がまとまっていて便利ですが、英語力のレベルによっては使いこなせなかったり、逆に不要だったりします。
以上でご案内したことが、ご自分に合った教材選びの参考になれば幸いです。
3.試験直前対策〜模擬試験用テキスト〜
上記でご案内したような単元別の対策を行った後、試験前の対策としてIELTS模擬試験に取り組んでみましょう。基本的には、過去問に取り組むことがそのまま模試になります。
やはり、ケンブリッジ大学出版の公式過去問題集はIELTS対策の基本中の基本となります。
(2016年時点での最新号は「11」です。「11」を終えたら、一つさかのぼり「10」を購入してやってみましょう。)
[過去問題集の使い方]
・1冊に4回分の試験問題が収録されています
・まず最初は時間にとらわれ過ぎずに、じっくり取り組んでみましょう
・一番大事なのは答え合わせと間違えたところの見直しです
・1、2回分は時間にとらわれずじっくり解いてみて、次の3、4回目の過去問は、模試として時間を測って取り組むと良いでしょう
[模擬試験して取り組む際の注意点]
〜できる限り臨場感のある環境を作って過去問題に取り組みましょう〜
・正確に時間を計って取り組むこと
・自宅ではなく場所を変えて、試験の雰囲気を感じられるところで受けること(例:図書館や自習スペースなどを活用)
・本番の試験通りの順番で行うこと(リスニング40分→リーディング60分→ライティング60分)
・手書きで本番と同様の回答用紙に記入し、必ず鉛筆を使用すること
直前の試験対策として、過去問を利用した模擬試験をやってみるほか、「1.最初に手に取るべき参考書」で紹介したブリティッシュ・カウンシル公認IELTS参考書をもう一度よく読み込み、得点するために必要な情報を再度確認しておきましょう。
4. まとめ
今回は単元別、レベルごとにおすすめの参考書・教材をご紹介しました。よく、「IELTSの勉強をしたいけれど、どの教材を使うべきか」という質問を受けますが、今回ご紹介したように、現在の英語のレベルや弱点によって取り組むべきことは異なってきます。
なかなか一言では言えないIELTS対策のおすすめ参考書について、様々な角度からまとめてみました。テスト対策の参考書に関しては、むやみにたくさん購入すれば良いということではなく、自身に合った一冊一冊をしっかり活用していくことが大切です。
今回の記事があなたにとって適したIELTS対策の第一歩となれば幸いです。