世界史と倫理をまとめて楽しく学ぼう! 〜出来事と思想の関係を考える〜

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日本国外で起こったさまざまな歴史的出来事を学ぶ世界史と、主に中国と西洋を中心とした思想の歴史を学ぶ倫理

この二つの科目を習ったことがある人なら、これらのあいだに何かしらの関係があることは感じ取れると思います。

でも、実際どんな関係があるのでしょう?こう聞かれると、意外と答えが思いつかないかもしれません。
この関係が具体的に見えてくると、世界史と倫理は一緒に楽しく学習できるようになるはずです。

世界史と倫理はどうして関係するか

出来事の歴史と思想の歴史は、実際どのように関係するのでしょう。
この関係を理解するためには、現代の「思想」と「歴史上の出来事」の関係を考えてみるとよいでしょう。

実はほんの数十年前まで、科学的知見を含めた哲学的・思想的知見は、政治的にも強い影響をもっていました。
特に感染症対策に追われる今日の政治は、科学者が示すさまざまなエヴィデンスを政策決定のための裏付けとしています。

これと類似して、アメリカにおける公民権運動や、ヨーロッパから日本まで広がった学生運動などの政治的活動の背景には、人権なり社会なりについての哲学的思想がありました。

反対に、実存主義や構造主義といった哲学理論の背景には、第二次大戦(への反省)などの歴史的出来事があります。

このように、思想と社会・政治の間には、切っても切れない関係があるのです。

では、実際に世界史と倫理はどう関係しているのか。
ここでは、典型的な例を二つ出し、この関係をみていきたいと思います。

ペルシア戦争と民主主義の発展

紀元前499年から紀元前449年のあいだ、三度にわたってペルシアはギリシアに遠征し、いわゆるペルシア戦争と呼ばれる有名な歴史的出来事を引き起こしました。

この戦争は、マラソンの語源となったマラトンの戦いや、ペルシア側の大将クセルクセス一世の戦意を大きく削いだと言われるサラミスの海戦など、有名な戦いで知られています。

ところで、古代ギリシアの思想といえば、何といっても民主主義の思想です。
民主主義とは、ポリスの構成員全員が対等な政治的権利をもち、自由に政治に参与すべしとする制度のことです。

当然、民主主義のうちには、ポリスを構成する市民たちの権利についての重要な思想が含まれています。
少なくともポリスを構成するために寄与している市民たちは、みな同等の権利をもつという、ある種の平等思想です。

こうした思想が、社会的に制度としての民主主義を実現し、これを発展させるようになった大きなきっかけが、先のマラトンの戦いやサラミスの海戦にあると言われています。
どういうことでしょう。

当時、ギリシアの市民のうち、奴隷や女性を除くすべての市民には、基本的に政治的な発言権が与えられていました。
とはいえ、ペルシア戦争以前のポリスにおいては、やはり経済力をもつ貴族たちのほうが、平民に比べてより強い発言権をもっていたのも事実です。

ですが、ペルシア戦争をきっかけに、戦争に参加することでポリスの安全に大きく寄与した平民たちの立場がより重要なものになります。
重装歩兵や船の漕ぎ手として戦争に参加する平民たちも、当然その見返りとして、ポリスの政治に口を出す権利を与えられることになるからです。

こうしてギリシアのポリス、とりわけアテナイにおいては、ペルシア戦争をひとつのきっかけとして市民たちの参政権が評価されはじめます。
こうした変化を通じて、すべての市民が政治に参与する民主主義の思想が発展していくことになるのです。

このように、ペルシア戦争という歴史上の出来事と民主主義という思想上の発明のあいだを結ぶ糸は、見えにくいけどあるのです。

フランス革命と啓蒙思想

歴史と思想が出会うもうひとつの有名な例は、フランス革命啓蒙思想です。
この場合は、戦争によって民主主義が後押しされたギリシアの例とは逆に、どちらかといえば思想の側から歴史的出来事が引き起こされたかのように見えます。

フランス革命については、皆さん聞いたことがあるでしょう。
1789年、ブルボン朝のフランスで起こった市民革命。

君主制や貴族制といった身分制度位によってなりたっていたアンシャン・レジーム(旧体制)から、近現代的な平等な市民社会が成立するきっかけとなった出来事です。

フランス革命の思想的背景としてしばしば言及されるのは、ルソーやヴォルテールなどをはじめとする哲学者たちの「啓蒙思想」です。

啓蒙とは「明るく照らすenlightment」という意味で、すべての人間に知的な覚醒をもたらそうとする思想です。
無知を「暗闇」として、理性を「光」として扱う、伝統的なアナロジーです。

啓蒙思想においては、基本的にすべての人間の理性的な能力が同等であると考えられます。
つまり、生まれつき頭の悪い人や分別のつかない人などはいない、とされます。

またここから、人間には生まれつきの権利、すなわち自然権があたえられているという考えに結びつきます。
所有権をはじめとする権利の思想もここから発展していきます。

そしてこのような理性の平等思想は、不合理な身分制や支配制度に対する批判へと発展します。
むしろ、現実の社会体制はすべての人々の取り決めとして扱うべきだとする社会契約説が注目されることになります。

この時代の社会契約説をリードしたのは、啓蒙思想の筆頭とされるルソーであり、彼の『社会契約論』(1762)や『人間不平等起源論』(1755)などでした。

このことから、ルソーの啓蒙思想がフランス革命をリードしたといわれることがあります。
実際には、ルソーが革命を引き起こしたというよりも、革命期の山岳派(ロベスピエールなど)がルソーを政治的に利用したという方が正しいようですが、いずれにしても両者の間の相関性は否定されません。

まとめ

以上、世界史の歴史的出来事と思想史の関連を示す、わかりやすいトピックを二つ見てきました。

古代ギリシアの場合、ペルシア戦争をきっかけに平民の市民権が拡大し、民主主義として結実していきました。
フランス革命の場合、啓蒙思想の平等論が、革命を引き起こした山岳派の人々の後ろ盾となりました。

このように、思想史と世界史のあいだには、切っても切れない関係があります。
今回はわかりやすさのためやや政治思想に傾いたものを主に紹介しましたが、もちろん、高度に抽象的な哲学理論と社会のあいだに関係を看て取ることもできます。(ヒュームの懐疑論などが好例でしょう。)

思想史や世界史を学ぶときのひとつの楽しみ方として、その時代の社会情勢と人間の考えの結び目を探してみるのはいかがでしょうか。

著者情報

究進塾 編集局
東京・池袋にある究進塾の編集局です。受験指導のプロが大学受験に役立つ情報をお届けしています。 大学受験対策コースはこちらからご覧いただけます。
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