有機化学のやっかいもの、構造決定攻略のコツを伝授!

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有機化学は高校化学において、かなり終盤に登場する分野。受験生の中には苦手にしている方も多いことでしょう。中でも、有機化学特有の分野ともいえる構造決定問題は多くの受験生を悩ませているようです。

攻略のポイントは、有機化学が今までに習った理論化学や無機化学などとは少し異なる特徴を持つことを理解しておくこと。知識を論理的にフル活用して、有機化学を“パズル”のように解くヒントをお伝えしていきます!

1. 無機化学と有機化学の違い、もうご存知ですか?

まずは、おそらく既に習っているであろう、無機化学との相違点を見ていきたいと思います。このポイントを掴むことで効率的に勉強を進めていきましょう!

今までに習ってきた無機化学では、沢山の元素の性質を学ぶことに重点が置かれていたと思います。有機化学が焦点を当てていくのはそれとは対照的に、ごく少数の元素による、沢山の組み合わせについてです。有機化学では、C:炭素を中心に、H:水素、O:酸素、N:窒素、といったごく少数の元素の組み合わせが主に共有結合を形成することによって成り立っているのです。

では、(まだ習っていない方は以下なんとなくで聞いてもらえればいいのですが、)簡単な例を挙げてみましょう。
一例としては、結合の種類にはどういったものがあるか、といったものがあります。単に炭素原子間の結合と言っても単結合、二重結合、三重結合などがあってそれぞれ空間的な性質や化学反応の際の性質が異なります。

つまり、重要なことは各原子の性質ではなく、複数の原子が結合する、その結び付き方にあるということです。他にも、様々な点が無機化学のときの感覚と少し違うように感じられると思いますので、はじめのうちは留意するようにされると良いと思います。

2. 入試問題における有機化学のゴールとは?

C:炭素から始まった有機化学はどこに向かうでしょうか。

有機化学の入試における最重要テーマは、構造決定問題を解くこと、にあります。はじめての方は構造決定とはなんぞや?という方もいらっしゃることでしょう。かみ砕きつつ、その問題の内容を示すと次のような具合です。

目の前に未知の物質がある。この物質がどのような化学式を持ち、どのような構造を持つかを知りたい。(有機化学では、同一の化学式を持ちながら、異なる構造をもつものが無尽蔵に存在します。)

手掛かりは次の3つ。
◆完全燃焼した後に、二酸化炭素と水は○○mg得られること。
◆濃硫酸を加えて加熱すると気体○○が得られること。
◆ヨードホルム反応(まだ習ってない方は気にしなくて良いですよ、)をすること。
以上の条件から、構造を決定せよ。

手掛かりを基に、犯人捜しをしていく(=目的の構造を確定させること)が高校での有機化学のゴールといっても過言ではありません。
では、構造を完璧に解くための勉強として、どのような手順を踏んでいったら良いかを次にお伝えしていきましょう。

3. 有機化学のゴールを達成するために

3.1 簡単な問題を通して、小さな構造をひとつひとつ理解していく

構造決定問題の何が難しいのかといえば、問題中で様々な部位の性質が問われることにあります。

例えば、A、B、C、Dという小さな構造が、A―C―D―Bの順に繋がって、Xという大きな構造をなしている、といった具合です。それぞれの小さな構造を決めるために必要とされる知識は多くの場合バラバラです。

試しに以下で、有機化学における構造のリストを大まかに示してみましょう。

鎖状炭化水素(アルカン、アルケン、アルキン)
σ 結合、π結合の違い、シストランス異性体などに気を付けて
鎖状のCHO化合物
アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル…以上6つの違いをはっきり言えますか?
ベンゼン環やフェノールを中心とした反応
フェノールに関する反応など、鎖状とは毛色が違う反応もあるので気を付けて

注意点はあくまで一例ですが、構造決定問題を1つ解くためには、これらの各構造について正確な知識が必要とされます。
つまり、どれか1つがいくら詳しくわかっていたとしても、ある分野1つが欠けていたとしたら。多くの場合入試問題は解けないことでしょう。

従って、特に現役生は早い段階で一通りの学習を終わらせることが望まれます。一度学習を始めたら、広く浅くでも良いので、ひとまず最後まで行ってしまうことをお勧めします。

その方が、有機化学の全体像を早くに掴むことが出来るので、何かミスや知識の抜けがあったとしても、ああ、あの事項ね、とすぐに反応できるようになるでしょう。

迎え打つべき問題がどのようなものか知れば、勉強もやりやすくなると思います!

3.2 反応の理由を押さえる

有機化学では、似たような構造が次々に色んな反応を起こしていくために、なかなか反応を覚えられないという方が多いようです。どうすれば効率よく反応を覚えられるでしょうか。

そんな方には、一見遠回りにも見えますが、各反応の反応機構を詳しく見ていくのがお薦めです。こうすることで、その反応はなぜ起きる?といった理由が明確になり、記憶に残りやすくなります。

例えば、次のフェノールへの反応で見てみましょう。
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流れは見たことがあるが、詳しい反応の条件となると、ちょっと…という方が多いと思います。これらの反応における要点は次の2つです。

・反応2の2つ目の矢印の反応では、300℃、2×〖10〗^7 Pa程度の高温高圧が必要
・反応1ではアルカリ融解が必要だが、反応2ではそうではない

少々マニアックな部分ですが、これらの条件にはもちろん理由があります。
まずは1つ目について。反応におけるエネルギーが必要であるため、高温にしたい。が、常圧下ではNaOHaqを100℃以上に上げるのが困難であり、耐圧容器で高圧をかけることで状況を実現できる。⇒高温、高圧が必要

また2つ目については、C_6 H_5 SO_3^- Na^+はイオン性物質で、300℃程度の高温でも気化することなく、アルカリ融解を行うことができる。一方で、C_6 H_5 Cl は分子性物質で沸点が132℃と低いため、300℃ではすぐに気化、蒸発してしまうためアルカリ融解で行うことはできない(求核置換反応、という反応をします)。

あくまで一例ですが、こうした反応における何かしらの制約には、必ず理由があります。常に、“なぜなぜ?”という思考を頭の片隅に置いておくといいでしょう。

なお、こういった詳しい反応機構は「化学の新研究」(三省堂)が詳しいので是非参考にしてみてください。

3.3 反応系統図をつくる

小さな構造の各反応がわかってきたら、最終的には反応系統図としてまとめてみましょう。

各反応が起きるには何らかの理由があって、こういう順番で反応していく、ということは予め決まりきっています。反応系統をまとめた地図のようなものを作っておくと、入試問題を解くうえで効果的な対策となることでしょう。また、自分で手作りで書いて整理していくことで理解が深まるのでそういった観点からも非常にお勧めできる方法です。

作り方としては、まず中心に基本となるアルカンや、ベンゼンを置き、そこから多方面に反応系統を並べていく、という具合です。

一例としてもう少し取り上げてみると、例えばベンゼンからフェノールをつくる反応が大きく3、4通りあったと思います。特に途中の矢印がどのような条件下のものかを押さえていくことが重要です。有機化学における反応の多くには、裏で理論や無機の分野で習った酸塩基や、酸化還元といったものが絡んでいます。(さらに細かいところまで知りたい人は、電子の収受にも着目することで、より深く反応を見ていくこともできるでしょう。)

文章だけでは少々わかりづらいので、一例の図も示しておきたいと思います。左側にあるベンゼン環から始まる系統図です。

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3.4 コツのようなものも要る―知識だけで押し切ることは出来ない

これも有機化学における特徴の1つです。

無機化学のように知識をいくら詰め込んでも、実戦的な演習を多く積んでいないと、本番で足元をすくわれることになりかねません。実際の問題で、候補の構造がどれだけ考えられて、そしてその候補から正解のものをどうやって選び出す(不正解のものを排除する)か、という作業は経験が多い人の方が断然有利になります。

知識の習得や、反応系統図の作成に満足することなく、多くの入試問題にあたっていくことがとりわけ有機化学においては非常に重要です。

4. まとめ

有機化学の構造決定問題についてまとめてきました。
特に有機は初学者がつまずくことの多い分野ですが、慣れてきた頃にはパズルのように解けるようになって面白くなってくることでしょう、そうなればしめたものです。

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