現役東工大生による東工大化学で得点する方法を徹底解説

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東工大化学の出題は、他の大学に全く例を見ないほどの独特な形式を持っています。そのため、日頃の勉強からどれだけ東工大を意識して対策出来るか、そこに大きく掛ってきます。出題の形式を理解し、しかるべき対策をとることで、ライバルに差をつけましょう!筆者の在学生としての知識も生かしつつ、攻略の指針を指南していきます。

1 東工大化学の基本情報

1.1 形式について

冒頭でも述べたように、東工大化学は非常に珍しい形式をしています。まず、制限時間は120分で、かなりの長丁場です。これだけでもなかなかの特色ですが、さらに東工大化学は全問にわたって答えだけを解答する形式になっています。計算の途中過程の記述は要求されず、純粋な論述問題というのは今後も出題される可能性はまずないだろう、という状況です。

このもと、出題のパターンは大きく以下の3つになります。
・正誤問題
・計算問題
・有機化学の構造決定問題

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

まず1つ目は、正誤問題です。東工大化学の場合、正誤問題には5個前後の文や選択肢が与えられますが、このうち題意を満たす答えが1つまたは2つ含まれていますそのどちらなのかも、もちろん受験生にはわかりません。普通の問題であれば、答えは1個と決まり切っているので消去法が使えますが、東工大化学においてその消去法は通用しないのです。より正確な知識が求められるといえるでしょう。

2つ目は、数値や文字式を記入する計算問題ですが、気をつけなければいけないのは、やはり途中過程は見てくれないということです。普段の学習時から手計算による計算力を鍛えていくことが重要になるでしょう。また、毎年難問が多く出るのがこの形式なので煩雑な計算に耐えうる力を身につけておきたいところです。

最後に3つ目は、有機化学分野における構造決定問題。以前はあくまで数値記入の(というより、“解答欄のハコに数字を書き込む”)形式にこだわっていたためか、東工大では2009年度に初めて出題された形式ですが、以後の出題を見ても難易度は年によりまちまちです。

1.2 難易度について

全体的な難易度はどうかというと、近年、東工大化学はかつてないほどのめまぐるしい変化を見せています。最近では、2010年度頃から難化をはじめ、2011年度、2012年度とかなり高度かつ難易度の高い出題もみられました。特に2011年度の出題は、ネット上の受験生を中心に「難」の上をいく「レジェンド」と評され、“東工大化学 レジェンド”として受験界隈を騒然とさせたことがあります。

しかし、その後緩やかに易化が進み、2015年度には易化のピークを迎えました。2016年度は2015年度に比べると少しだけ難化してバランスが戻った印象を受けます。今後も予断を許さない状況が続くでしょう。

受験生としてはここ数年の過去問のみならず、上で挙げた、かつての難問の年も確認し、いつ難問が出てもいいような対策をしていただきたいと思います。

1.3 出題分野に関して

理論化学、無機化学、有機化学の各分野から均等に出題されています。ただ、計算が多いという出題傾向のせいか、無機化学はそれ自体だけの出題は少なく、理論分野と融合して量的関係などの理論計算が含まれる場合が多くあります。また、例えば2012年度の4番ではかなり“物理”色の強い出題も見られました。このあたりにも東工大の“工業大学”たる出題が垣間見えます。理論・無機はセットでくると覚えておいてください

有機化学分野に関しては、その難易度もさることながら、糖類、アミノ酸、DNAといった天然物、ポリエステルなどの合成高分子に関する幅広い出題が見られる年もあります。現役生は特にこれらの分野に関する学習が受験直前になってしまうことが多々あるので、その点を留意しておくと良いと思います。

2 東工大化学攻略への対策

全体的な対策としては、直前に述べた傾向から、理論分野を真っ先に強化することが先決でしょう。ここを強化することで、出題の中心となる分野を押さえることができます。さらに、無機、有機への基盤としての効果も期待ができるでしょう。

例えば、無機化学は暗記がつきものになってしまう分野ですが、ここに理論分野の酸塩基や酸化還元の知識などを組み合わせていくことで効率的にまとめていくことができます。暗記だけにとどまらず、それを支持する理論をなるべく多く吸収することを日頃から意識していくといいと思います。

その考えからも、なるべく早く全範囲の履修を終わらせ、その次に受験のための本格的な勉強へ移行していくというのがいいでしょう。学校で習い、定期テストに向けた勉強、というはじめの導入段階では、あまり細部の事項までに神経質になる必要は無いと思います

次から参考書を用いた具体的な対策を見ていきますが、定期テスト向け対策、受験対策の2部構成に分けて考えていきます。

2.1 定期テスト向け対策

まずは、高校の授業を受けたあと、日頃の学習から定期テストに至るまでの範囲で使える参考書をピックアップしてみましょう。ここに挙げているのは受験準備までに用いるもので、本格的な対策に入る前に、最低限基礎固めとしてやってほしいものです。基礎が身についたかどうかを判定するのに定期テストを活用するといいでしょう。

・鎌田の化学基礎をはじめからていねいに (東進ブックス 名人の授業)

“ゼロからはじめて3日でわかる!”とあるように、とにかく初歩に立ち返った読み物です。初学者がつまずきやすい箇所に、イラストや比喩を用いて直感的にわかりやすい説明がなされています。授業で習ったもののなんとなくしっくりこないという人にはうってつけの1冊となることでしょう。

・小川センター化学I講義の実況中継(語学春秋社)


旧課程の本ではありますが、センターレベルの内容に対しての対策を考える上では非常に便利な1冊です。東工大入試自体はセンター試験が直接関係しないとはいえ、定期テスト対策の1つの目安としてセンター試験程度を考えていくといいでしょう。それだけの土台があれば、いざ東工大対策をしようというときにもスムーズに接続できると思います。そこでこの1冊。最初の導入時は教科書に退屈してうんざりしていることが殆どなので、語りかけるような口調で導入ができる本書がお勧めです。

・教科書傍用問題集


月並みではありますが、導入を済ませたあとに、高校等で配布される問題集をこなしていくのがいいでしょう。いわゆる“セミナー”、“リードα”などになります。教科書内容を押さえていくうえでは、これらがこなせれば演習としては十分だと思います。ですが、デザインなど飽きやすいつくりになっているのは確かなので、自分は飽き性だという方は、同程度の内容を扱った演習書を書店で探してみるのも一興だと思います。

2.2 受験対策

いよいよ本格的な勉強に移っていこう、という段階です。そこで1つお教えしたいのは、化学は他科目に比べて“王道”を進んでいくのが大事、ということです。物理、数学といった科目が考える過程を重視するのに対し、化学は暗記の比重が多いため、使うべき参考書に個人の好みが入る余地が少ないと思われます。暗記事項の中身よりも、そこまでに蓄えた暗記事項をどのように引き出していくか。その体系を構築していく過程で個々人のオリジナリティを出していったらいいと思います。この過程のやり方も後ほど解説していきます。

・実戦 化学重要問題集(数研出版)


定期テスト向けの普段の勉強から、2次対策へギアチェンジしていこうというところでそれらの橋渡しの役目を果たしてくれる演習書、いわゆる“重問”です。定期テストでは点が取れるのに、模試になると伸び悩んでしまう方に特にお勧めしたい1冊です。内容も典型題から応用題までバランスよく含まれており、そのセレクトは最も標準的かつ正統的な選定だと思います。正直なところ、この1冊だけで対策できてしまう国公立大学も存在します。ですが、東工大を目指すなら更なるレベルアップを目指したいところ。なるべく早い段階から次にお薦めするものに移行すべきだと考えます。

・化学の新演習(三省堂)


筆者が一番にお薦めしたい1冊です。確かに難易度は“重問”より格段に上がりますが、これをこなせれば東工大化学といえども合格点を取れるレベルまで到達することができます。とはいえやはり難しい1冊なだけに、取り組み方を工夫していく必要があります。ここでは筆者独自の手法をお伝えしましょう。

ポイントは、相互補完的関係にある内容理解と演習の二軸を並行させて進めていくことです。演習書として「化学の新演習」を使い、詰まったところがあれば“新演習”と同じ著者が執筆した「化学の新研究(三省堂)」という参考書の該当箇所に戻りましょう。演習を通して、自分の知識が抜けているのはどの分野だろう、と探していくイメージです。

ここさえ意識できていれば、この本をこなすには自分の実力が足りていないかもしれない、と思っても無理なくこなすことができるでしょう。特に暗記の比重が高い“無機化学”分野に関しては、“新演習”を最初から自力で解こうとは思わずに“新研究”を用いて答えを探す、ぐらいの気持ちでいいと思います。

ピンと来ていない方もいらっしゃるかもしれませんので、具体例として私の経験談もお話ししましょう。私の場合は、“新研究”、“新演習”、さらにA5版ほどの問題集のサイズに合わせたコンパクトなノート(長く愛着を持てるようにと、表紙がちょっと凝ったデザインのもの)を用意しました。

そして、次の2つのこと:
① 演習の進捗状況(日付、解いた問題の番号とそのタイトル、問題の出来具合)を割と細かく記録する
② 演習していて誤った箇所、その部分の解説の特に重要な内容、間違う原因となった基礎事項のヌケを“新演習”の解説や“新研究”を用いつつ、自分なりにまとめて、メモする
といったことを心掛けました。実際のノートもお見せしましょう。

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1つは理論分野に関して進捗状況がメインに書かれているページ。もう1つは無機化学に関して、進捗状況よりも内容のまとめが書かれているページです。(1枚目の写真にある、問題番号の数字の横にある“◯”“△”“×”等の出来具合が、2枚目の無機化学では書かれていないことがおわかりいただけると思います。)特に2枚目左ページにある171の隣のチェックマークは自力で問題を解こうとしたわけではない、という表示になっています。それでも大丈夫なわけです。

このように記録していくと、自分はどこがわかっていて、どこがわかっていないのかが非常にはっきりします。また、入試直前期の際にも、今までの努力と誤答とその対処法の軌跡が全て残っているというのはとても心強いものです。是非この情報を参考に、真似したり、自分なりにアレンジ、アップデートしたりしていただければと思います。

・赤本・青本・東工大模試過去問など



ここまでこなせたら、残りは過去問を通して実戦的な演習をしてみましょう。赤本(教学社の過去問)と青本(駿台の過去問)は微妙に解説が異なっていたりするので見やすい方を選んでください。なお、他教科と異なり、あまり本番の前から過去問を綿密に研究する必要性はあまりありません。化学に関しては本番1か月~2か月前あたりに、知識が揃いきってから解いてみるのがよいでしょう。形式慣れや問題を解くコツを掴むことを念頭に取り組んでください。

素材が足りなくなって来たら、「東工大の化学15か年」を活用していきましょう。その際の注意としては、先に述べたように、東工大は2008年以前有機化学の構造決定問題は出題されていないということが挙げられます。過去問の数が少なくなってしまうので、さらに実戦的な演習が必要であれば「京大の化学25か年」の有機分野を活用しましょう。

この分野に関しては質・量とも東工大化学に近いのでいい練習になると思います。それでも素材がなくなったら、駿台の東工大模試の過去問である「東京工業大学への化学」を入手しましょう。過去の模試実施時のデータから今の自分の実力がわかったりするのでこれも面白いと思います。

3 まとめ

一見奇問が多そうな東工大化学も、結局は正統的な対策が功を奏す、ということがおわかりいただけたでしょうか。地に足をつけて、着実に対策を進めていってください。読んで下った“あなた”を東工大でお待ちしています。

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