勉強は家?図書館?カフェ?集中ができる勉強環境とは
図書館やカフェには仕事や勉強をしている人たちが多くいます。
それはやはり家だとだらけてしまうことから、集中できる環境に身を置いて集中するためだといえます。
この記事では人間の集中力と記憶力の話を踏まえて、「集中できる勉強環境」についてお話をしていきます。
目次
なぜ家だと勉強ができないのか?
ここでは、単に「漫画やゲームなど誘惑となるものが多い」という短絡的な話はしません。
誘惑となりうる要素も、息抜きの手段として上手く使いこなせば、かえって効率よく集中ができる要素になりうるからです。
人間の集中力は続いて2~3時間程度です。カフェや図書室に5~6時間長居し、強制的に勉強のみをするというのは、実は非効率な側面もあるのです。
それでは以下に、自宅特有の勉強の妨げになる要因について見ていきましょう。
勉強部屋自体に一定のストレスがある
普段ベッドの上でスマートフォンをいじっているときは、特にストレスを感じないでしょう。しかし、いざ机について勉強しようとすると、一定のストレスを感じる人は少なくないと思います。
これはリラックスできる場所と集中すべき場所が同じ部屋に位置していることが原因です。
ベッドから上がり、いざ本腰をいれようとするには、なかなかの労力を要します。できれば、自然な流れで当たり前のように机につき、勉強できるのがベストですね。
その点では、学校・予備校の自習室や図書館等が勉強環境として優れていると言えます。
机の配置に問題がある
この話は、子育て関連の話でもよく出てきます。
子どもが勉強できない原因として、家具の配置というのは案外無視できない問題です。
例えば、あなたが自分の机についたとき、背中が出入口を向いていませんか。背中に出入口があるのは、個人差はありますが、人間の防衛本能から、落ち着きなさを感じると思います。
日本の文化で上座と下座があることや、一般的な社長室で背中が窓側に向いているのも、このことが起因しています。
ラーメン屋や牛丼屋等、長居をさせない飲食店では、カウンター席で背中が出入口を向いています。しかし、カフェやレストランなど、長居をする飲食店では、背中が玄関側を向く配置はできるだけ控えるようにしています。
また、田舎の集落など、「なんでこんな山奥に集落を構えるのだろう?」という答えもここにあります。
筆者が仕事で山奥の集落に営業をしていたとき、現地の住民にその理由を聞いたところ、「むしろ平地のど真ん中に集落ができる方が不自然だろ、外敵からどう身を守るんだ」と言われたことがあります。このことからも私たちは本能的に「隅っこの方に落ちつきたい」というのがあるのです。
背中を壁に向けていた方が落ち着く
また、カフェ等で勉強や仕事をしている人を見てみてください。ほとんどの人が背中を壁に向けており、通路側や玄関に向けていないのに気付くはずです。仕事や勉強内容を見られたくないというのもありますが、本能的に背中を壁に向けた方が落ち着くからです。
私が大手予備校に勤めていたとき、個別ブースの画面授業で、構造的にどうしても背中が出入口側を向いてしまうので、別途自習室というものを作っていました。
しかし、自宅の勉強部屋はどうでしょう。まさか勉強机をドンと部屋のど真ん中に置く人はいないと思います。多くの人が壁に机を引っ付けると思うのですが、そうすると必ず背中が出入口側を向かざるを得ない配置になります。
受験上位層のなかには、せめて背中を出入口に対して横に向くように机を配置しておりますが、やはり本能的に背中を壁に向けた方が多くの人は落ち着くことでしょう。
極限まで集中できる環境が逆説的に集中できなくなる要因になる
「勉強環境」に関して関心のある生徒は、自宅や図書館のような静かな場所よりもカフェなど「少し騒がしい方がむしろ集中できる」というのを聞いたことがあると思います。
勉強部屋の中に、自分ただ一人無音の中で、勉強するのには一定のストレスを感じると思います。筆者はこの理由から勉強場所としてカフェを選んでおりました。
あの有名な二宮金次郎像は、背中に薪を背負い、歩きながら勉強していますが、あれもその方が勉強に集中できるからという説を唱える人もいます。
筆者も英単語は決して勉強部屋では行わず、登下校中やカフェに行く途中、息抜きの散歩中に覚えていました。
これは環境に変化を与え、勉強のマンネリ化を防ぐためです。特に、暗記物をするときは、「目的を失った勉強の作業化」を防ぐためにこれは有効です。
暗記ものを「書いた方が覚える」というのも、「変化を付ける」というのが実は最大の効能なのです。
暗記の肝は「覚える気があるかどうか」であり、あなたがゲームや漫画のキャラクター名を紙に書かずにすぐに覚えられるのは、「関心がある」からです。
たとえ紙に書いたり、音読したりして英単語を覚えていても、それをすること自体が目的になっていては、頭に入らないというのは経験から分かるのではないでしょうか。
そのため、「音楽を聴きながら勉強」というのも、ストレス軽減の他、この「環境に変化を付ける」という点で有効なのです。
それでは次にカフェや図書館、予備校・学校の自習室で勉強をする利点についてそれぞれお話をしていこうと思います。
カフェで勉強する利点
カフェで勉強する利点は、「ストレスを軽減できる」「落ち着いて勉強できる」「適度に騒がしい」の3つです。
その理由は上である程度お話しましたが、カフェでの勉強環境に当てはめてもう一度見ていきましょう。
ストレスを軽減できる
集中力とストレス軽減に欠かせない糖分、眠気を覚ますカフェイン、清潔な店内、背を壁に向けて勉強できる点などが「カフェ自習室」の特長です。逆にこれらの要素を満たさないカフェには行かない方が良いです。
ストレスを感じたらケーキを食べ、眠気を感じたらコーヒーを飲み、疲れたらソファーで休むなど、ストレスを軽減できる要素がカフェには揃っています。
また、設備に関してですが、あると何かと便利なwi-fiが完備されている点も便利です。
落ち着いて勉強できる
カフェの店内自体が落ち着いた環境となっているのも、カフェで勉強する利点です。
店内を落ち着かせるため、そして飲食物を美味しく感じさせるために、しっかりとしたカフェは勉強机のような白熱灯ではなく、オレンジの光を店内に照らしています。個人差はありますが、こちらの方が集中して勉強できる生徒も少なくないと思います。
適度に騒がしい
上で述べたように、カフェ内は「しーん」とはしておらず、人の話し声などが聞こえ、「適度に騒がしい」です。
逆にこちらの方が上で述べたように、かえって集中力を高めたり、マンネリ化を防いだりする点で有効に働く場合があります。
※カフェ自習室のデメリット
しかしながら、カフェ自習室にもデメリットがあります。それは「リラックスできる」という点です。
「少しリラックスしてから勉強しよう」では、「ベッドから上がって机につくのが難しい」のと同じ現象がおこり、勉強をやり始めるのにかなりハードルが高くなってしまいます。
カフェ自習室を利用する場合は、「席についたら即勉強」を心がけましょう。
図書室で勉強するメリット
図書室で勉強するメリットは、「誘惑となるものを一切排除している」点にあります。
上で挙げたカフェですが、ケーキやコーヒー、ソファ等がそのまま誘惑となる場合もあります。
リラックスした状態から、いざ勉強を始めようとするには、かなりの労力を要します。
しかし、図書室で勉強をする場合、入った瞬間から勉強をする態勢になることができます。「勉強は、やり始めるのが一番難しい」という人も多くいると思いますが、そのような方には図書室を勉強場所に選ぶことをおすすめします。
※図書室のデメリット
図書室にはストレスを軽減するものや、環境を変化させるものがありません。
静かな環境が集中できる人にとっては最適ですが、静かすぎる場所での勉強や、張り詰めた状態での勉強を強いられるのが合わない生徒もいると思います。
また、お茶や水、スポーツドリンク以外の飲食物を持ち込み厳禁としているところが多いのもデメリットです。
学校・予備校等の自習室のメリット
学校・予備校等の自習室を利用するメリットは、大方の部分が図書室と一致しています。
しかし、自習室にしかない、図書室とは違うメリット(デメリット)もいくつかあります。それについて見ていきましょう。
意識の高い生徒が周りにいる
ブースでの画面授業や個別指導などの指導方法が増えている中、学校での集団授業体制が依然として取られているのには理由があります。
それは、「集団の中」での勉強というものが、私たちの想像以上に学習意欲に効果を与えてくれるからです。
例えば、小中学校の英語の授業で、先生に続けてみんな英語を音読するという指導方法は、古典的ですがかなりの効果があり、今でも注目されています。
外国語指導で、この指導方法には「コーラス」という名称がついております。コーラスには、集団で読み上げることによって、お互いの生徒が相乗的に学習意欲を高め合い、構文等を覚えていく効果あるのです。
先に申し上げましたが、何かを記憶することにおいて最も重要になるのが「覚える意思があるかどうか」です。
この気持ちの持ちようだけで、知識の吸収度が格段に跳ね上がります。しかし、「気の持ちよう」というのは個人でコントロールすることは極めて難いです。
そのため、「集団で意識を高め合う」というのが学習意欲を高める方策として今でも主流となっているのです。
意識の高い者の中に身を置くという行為をするだけで学習の効率が上がるのですから、「まずは学習意欲を高めたい」という生徒は、まず予備校・学校の自習室を利用してみてはいかがでしょうか。
※自習室のデメリット
しかしながら自習室にもデメリットがあります。それは、図書室のデメリットとも大方一致しておりますが、それに加え自習室では「周りに気を遣わなければならない」というのがあります。
誰かがすぐ隣に座っているだけで集中力が途切れる人にはお勧めできません。また、友達に教えたり教わったりしながら勉強するのが苦手な人は、自分のペースで勉強するには、図書室やカフェ、自宅での学習の方が向いています。
自宅での勉強環境の整え方
上でカフェ、図書室、自習室の学習環境についてお話しましたが、それでもやはり受験生の主な勉強場所は自宅になるでしょう。
それでは、以下に自宅での学習環境の整え方についてお話をします。
背中を出入口に向けない
壁に背中を向けて勉強している自分を想像し、それに少しでも落ち着きを感じた人は、部屋の模様替えをしてみてはいかがでしょうか。勉強をする上でストレスに感じる要素はできるだけ排除しておきましょう。
勉強部屋にベッドは置かない
これについては、多くの生徒が既にそう考えていることでしょう。ベッドは勉強最大の敵です。ベッドに1日潜っていてそのまま勉強せずに過ぎたという受験生を筆者は何人も見てきました。
リラックスした状態からいざ勉強に移るのは、かなりの労力がいるというのをお話しましたが、そうとは分かっていてもベッドに潜ってしまう人も多いです。
筆者をはじめ、自宅で仕事を行っている多くのワーカーたちは、仕事部屋からベッドを排除しています。ベッドはそれだけ勉強・仕事の敵となっているからです。部屋からベッドを撤去できない場合は、台所や居間で勉強した方がかえって勉強がはかどるかもしれません。
机に時計を用意する
集中して勉強する方法として「時間を決めてその時間は絶対に集中する」というものがあります。机について果てしなく勉強をしていくより、時間を決めて集中する時間に区切りを付けた方が、遥かに学習効率があがります。
電灯も考慮する
勉強机は白熱灯が主流だと思いますが、少なくとも筆者は白熱灯が苦手で、勉強・仕事中は白熱灯を付けません。部屋や机を照らす光の色は、学習意欲やストレス、集中力に案外影響するものですので、自分が落ち着いて机に向かえる光を選びましょう。
まとめ
この記事は、筆者の経験則と筆者が関わってきた受験生の話を元に書いていますので、当然どのような環境が勉強に向いているかは個人によって違います。
案外小さなところでも、学習意欲や集中力に大きく影響してきますので、自分に合った習環境というものを一度考えてみてはいかがでしょうか。