「スマホを使うな」はもう古い?中高生におすすめのスマホ活用勉強法
スマホが私たちの生活に浸透してかなりの年月が経過しましたが、学校や塾では、いまだにスマホの使用がタブー視されている場合があります。
しかし、いつでもどこでも手許にあるスマホを活用すれば、かなり効率よく勉強を進めることができます。そこで本記事では、中高生におすすめの、スマホを用いた勉強法を紹介します。
1. スマホ学習でやってはいけないこと
授業中にスマホを出すな、と言われたことのある人は多いでしょう。
その最大の理由は、人はスマホの誘惑に勝てないことが多い、というものでしょう。
つまり、スマホには勉強に関係ないアプリやツールが山ほどあり、そのために、ついつい勉強に集中できなくなってしまいがちだ、ということです。
筆者は、こうしたデメリットと比べても、スマホからくるメリットが大きいと考えていますが、当然勉強中には、関係ない遊びをすべきではありません。(動画視聴やゲーム、漫画やSNSなど。)
ですから、スマホを活用して勉強する場合には、勉強と関係ないアプリやサイトにアクセスしないよう、くれぐれも注意しましょう。
普段使いのアプリとは別に、勉強用のアプリのフォルダや、トップ画面の別のページに分けておいたり、設定を変更して、一定の時間、勉強に係わる特定のアプリ以外にはアクセス制限をかけておく、などなど工夫して、誘惑を断ち切りましょう。
2. スマホ学習に適したジャンルは?
スマホ学習は、私たちとスマホの関係性から見て、適した勉強のジャンルがあります。
暗記や辞書引き、情報収集、そして進捗管理などです。
そもそもスマホの最大の利点は、いつでも身近にあるということ。その身近さは、どんな紙媒体の教材よりも、はるかに優っています。カバンを開ける必要さえないわけですからね。
そうした身近さによって可能になるのは、頻繁に見返すことによって効果が高まるようなタイプの勉強、つまり、書いたり読んだりするよりは、「見る」タイプの勉強です。
逆に向かないのは、しっかり集中して読むべきタイプや(現代文や英語の読解など)手を動かして体得するべきタイプ(数学、物理や化学で暗記が必要なもの以外のすべて)の勉強です。
3. 具体的な勉強法
(1). 暗記
まずスマホ学習でおすすめしたいのは、暗記系の勉強です。ここでは、英単語の暗記を例にとって解説します。
■単語帳のメリット・デメリット
英単語の暗記で、かねてから一定の評価を得ているのは、たとえば「ターゲット」シリーズのような単語帳でしょう。
そもそも単語帳のメリットは、大学受験に最適化された単語リストを入手できるというところです。そのため、単語帳は勉強の入門時点では、スマホ以上に適当なツールであることは間違いありません。
しかし単語帳のデメリットは、自分にとっては余計な単語もたくさん載っているということ。一度覚えた単語は基本的に見る必要がないのですが、その部分を切り取るわけにもいかないので、勉強を進めれば進めるだけ、いらない単語が増えていきます。
もう一つのデメリットは、過去問演習などで新しい単語に出会ったとき、それを追加できないということです。すると自前でノートなどに単語リストを作ることになりますが、これではいたずらにデバイスが分散してしまうので、暗記の能率もまちまちになってしまいます。
■スマホアプリの活用法
このデメリットを補うために、スマホの単語帳アプリは極めて有益です。(各ストアで「単語帳」と検索すれば必ずヒットします。スライドショー機能や音読機能がついていると、活用の幅がますでしょう。)
具体的には、まず最初に一般的な単語帳を見て、何度かトライしたのち、覚えきれない単語だけを、単語帳アプリにリストアップしていくのが望ましいです。
これにより、自分の苦手な単語だけを集めたリストを手軽に作ることができます。直前期で時間がなくなってくると、こういうリストはきわめて心強く、有益です。
もちろん、歴史の人名、年号や、化学式、漢字など、英単語以外の暗記分野でも同様のやり方をしてみるのがいいでしょう。
(2). 辞書検索
■紙の辞書は分厚すぎる…
英語や国語、世界史・日本史などの文系分野の多くでは、辞書が大きな役割を占めます。
紙の辞書を推奨する場合もあるものの、携行に向かず、また調べるのに時間がかかりすぎるなどのデメリットを考慮すると、アプリ版の辞書を持っておくのがおすすめです。
■アプリ使用時のポイント
そして、たとえば英語を勉強しているときであれば、知らない単語が出てくるたびにスマホを開き、調べ、必要に応じてマークをつけておくと良いでしょう。マークしておけば、後からリスト表示して、単語帳アプリに加えることもできます。
注意して欲しいのは、できる限り有料の辞書を購入して欲しいということ。
無料の辞書アプリでは、多くの場合正確性に疑いが残るのはもちろんのこと、発音規則、例文、類語、イディオムなどに関する知識を入手しづらくなってしまいます。
有料版辞書は高い(3000~6000円くらいが相場)ですが、紙の辞書を買うのと同様ですから、保護者さんに援助してもらうのがいいでしょう。
(3). 情報収集
現代文や小論文、現代社会の時事問題などの分野で、最新のニュースや社会の動勢を押さえておくことが勧められる場合があります。
こういう場合にも、新聞を開くのは手間ですし、そもそもとっていない家庭もあるでしょう。テレビのニュースはアーカイブとして見返せません。
■できれば有料版の新聞を
その点で、スマホのニュースアプリや、新聞の定期購読を活用するのは有益です。
もちろんこの時も、信頼性のある情報源であり、「速報」的なものではなく、しっかりと解説が書かれていることが重要です。
そのため、結局はオンライン版の新聞を読むのが無難でしょう。(日経、読売、朝日などの大手であれば、ほぼ確実にオンライン版が用意されています。)
やはり料金はかかりますが、その分の堅実さはあるでしょう。
その上で、これは一般の新聞と同じですが、できる限り、社会や政治、経済に係わる欄に注目して読みましょう。
(4). 進捗管理
勉強を進めるにあたり、いつ・何を・どこまで進めたか、一眼で見れるようにまとめておくのはかなり有益です。
これにより、一度覚えた単元を無為にくりかえすことを避けられますし、逆に、間違えた問題についてすでに何回学んだかを可視化できます。また、モチベーション維持や目標設定のためにも、進捗管理は予想以上に重要です。
■進捗管理は何のため?
メモ帳に書いてもいいのですが、デジタル情報としてまとめておくメリットの方が大きいです。(この点では、もはやスマホのみならずPCやタブレットを活用するのも良いでしょう。)
メリットの第1は、膨大な情報量を蓄積できるということ。例えば高2からリスト化をはじめたとしても、(メモ帳一冊では治らないでしょうが、)受験時までの学習遍歴が一目瞭然です。
第2は、文字検索ができること。気になる単元を何回学んだかが気になる時、たとえば「受動態」と検索すれば、その単元をいつ学んだかがすぐわかります。これで、苦手分野を自覚したり、未習分野を発見したりできます。
具体的には、エクセルやスプレッド・シートなどの表計算ソフトやアプリを使ってみるのが、一番簡単でしょう。行ごとに日付・科目・単元などを分けて書き込んでいけば、簡単に管理できます。
4. まとめ
まずは勉強によって適した方法があることを認識して、スマホでの「見る」学習に適したジャンルを選びましょう。暗記や情報収集、辞書検索などは、明らかにスマホ化するメリットが大きいです。また、進捗管理もやってみると、モチベーションを維持しつつ能率的な学習ができます。
アプリやサブスク、表ソフトなどを活用しましょう。
もちろん、紙媒体の方が適するジャンルは少なくないので、手を動かし書いて学ぶスピリットも忘れないようにしましょう。
しかし、勉強時にスマホを開かないというこだわりを持って頑張るよりは、スマホの利点を活かしつつも、勉強中には遊ばない心がけを守ることに力を使うほうが合理的でしょう。