入試面接がオンライン化?オンライン面接の特徴と対策
今年は、特に総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(旧推薦入試)などで、オンライン形式の面接を導入する大学が少なくありません。
ことの良し悪しはともかく、志望校がオンライン形式を指定した以上は、これにどう対応していくかが問題でしょう。
ここでは、従来の対面型面接の場合にはなかった注意点と、対策のポイントを解説します。
大前提:基本は対面式と変わらない
慣れない形式に不安を感じる受験生もいると思いますが、オンライン形式だからといって、面接の中身そのものに大きな差異が生じるわけではありません。
そして、面接官が審査する点も、対面式と基本は同じです。
これまで通り、受験生の特徴・意欲・態度・作法など、さまざまな点が審査基準となるでしょう。
だから、オンラインだからといって浮き足だつことなく、これまで通り地に足をつけた対策をすること、それを大前提として意識しておきましょう。
オンラインだからこその特徴とそのメリット・デメリット
ともあれ、オンライン独自の対策が全くいらないわけではありません。そのためには、まずはオンライン面接の特徴を理解しておきましょう。
特徴1. 行き交う情報量が圧倒的に減る
オンラインがリアルの接触と最も異なるのは、会話の中でやりとりされる情報量です。
対面の会話では、実は音声情報だけではなく、ジェスチャーや顔色に加え、声色、抑揚、表情の微細な変化、貧乏ゆすり、衣擦れなどなど、きわめて多くの情報が共有されています。こうした情報は、暗黙のうちに対話相手についての私たちの印象や理解を補助するものです。
他方オンラインの対話では、私たちは互いに四角く切り抜かれた映像とマイクに拾われた音声だけで会話をします。音声以外の情報が極端に少なくなってしまうのです。
オンライン通信中にズボンをはいていなかった、なんて笑い話を聞くこともありますが、そんなふうに、音声以外が注目されにくくなる・見えなくなるということです。
メリットとデメリット
この点のメリットは、嫌な部分を見られないこと。緊張すると落ち着きない挙動を隠せない人や、目を見て話すのが苦手な人などにとっては、オンラインはチャンスです。そういう微細で暗黙の情報がかなりカットされるので、やりようによってはマイナスイメージを抱かれにくくなります。
デメリットは、喋りが滞ってしまうとコミュニケーションに失敗しかねないということです。オンラインは映像+音声のやりとりですが、特に重要なのは音声です。
面接官もヘッドフォンを装着して受験生の声を聞きますし、音声に注意が集中します。対面ならば身振りや雰囲気で伝わってくれたものが、オンラインでははっきり言わないと伝わりにくいというのは重要な点だと思います。
特徴2. 集中力の低下
一般に、対面で話をする場合に比べて、電話やビデオでのやりとりは、話す側も聞く側も集中力が低下する傾向にあると言われています。
聞く側にしてみれば、やはり対面で目の前にいる人間に対するほどは緊張感がないために、ビデオチャット相手に注意を払いにくくなってしまうのです。
話す側にしても、相手の顔や反応がわかりやすく返ってくるわけではないので、一方通行的な発話になりがちで、会話の文脈からはずれることもしばしばです。
加えて、自室や家から繋いでいる場合は、環境音や生活音などに気を取られることもあり、全体的にオンラインの方が気が散りがちなのは否めないでしょう。
この点はデメリットの方が大きく、最悪の場合、聞く側にとってあまり話が入ってこなかった、なんてことになってしまうかもしれません。聞かれたことに答える、簡潔に述べる、といった、基本のキャッチボールにいつも以上に注意する必要があるでしょう。
特徴3. 不正に関する問題
最後に、不正に関する疑惑が上がりがちであるということにも注意しておきましょう。オンラインでは、受験生が各自の家庭などから通信を行うため、どうしても大学側は不正について厳しい目で見ることになります。
不正が発覚すればもちろん面接取り消しなどもありえますが、不正を疑われるというだけでも、印象のマイナスには否応なく繋がってしまいますので、注意が必要です。
オンライン面接の具体的な対策とは?
以上のような特徴をおさえた上で、有効と思われる対策を紹介しましょう。やろうと思えばいくらでもできそうですが、ここではとりあえず簡単かつ即座に取り組める順に述べていきます。
対策1. 環境整備
いうまでもなく、通信環境・室内環境の整備は不可欠でしょう。
最も簡単なところでは、部屋を片付けるとか、できるだけ無地の背景が映るところにするとか、面接中は家族の生活音を控えてもらうとか、そういったことです。
また、通信環境として、できるだけ揃えた方がいいのは、Wi-Fiなどのネットワーク設備と、マイク・ヘッドセットなどの音声機器です。
Wi-Fiが遅いと、どうしてもやりとりに遅滞が生じたり、面接自体が一時中断されることなどがありえます。また音声機器の不具合で、声が聞こえにくくなることもあります。
もちろん、それだけのことで合否が決まるということはないですが、むしろ自分自身が焦らず落ち着いて対応できるようにするために、こういう外的なトラブルの種はあらかじめ潰しておくのが賢明です。
対策2. オンライン会議ツールに慣れておく
こちらも割と容易にできる対策ですが、面接で使われるツール・アプリに慣れておくことが大事です。
実際に大学側からどのツールを使うかが通知されていればそれを、もしされていなければ、zoomやGoogle hangoutなどの無料ツールを、実際に使ってみると良いでしょう。友達や親御さんの協力があれば、すぐに使ってみることができます。
実際の面接でそれほど複雑な操作は必要ないでしょうが、ミュート機能やカメラのオン・オフ、マイクテスト機能、テキストチャット機能や参加者一覧など、さまざまな機能を知っておくだけで、本番の気分には違いが生まれるでしょう。トラブルが生じた際の対応も可能になります。
できるだけリラックスした状態で臨むためにも、予行練習が重要です。
対策3. 自分が話しているのを見てみる
これも予行練習の一環として、自分がどのように映っているか、自分の声がどのように聞こえているかをチェックして、気になったところを改善しましょう。
これはオンラインだからこそできることですが、多くの会議ツールには「録画」機能があります。
事前に親御さんや友人、先生などに面接官役をやってもらい、面接の予行練習を録画しておけば、いくらでもチェック・修正ができます。
表情や身振りを色々と試してみて、どうすれば伝わりやすくなるか・興味を引きつけやすくなるか、研究してみると良いでしょう。
対策4. 基本に忠実に
最後に、対面の面接の場合と同様に、はっきりと明朗に自分の言葉で話すことができるようにしておきましょう。これは面接の基本中の基本です。
しかし、あえて注意しておくと、この基本的な点が、対面のときよりもオンラインの方が浮き彫りになるのです。
というのも、先ほど言ったように、オンラインでは音声以外の情報がきわめて少なくなりますので、その分、「喋り方」が一番の鍵になってくるからです。
どうしてもまごついてもごもごと喋ってしまう。答えを考えている間に空白の時間が続いてしまう。自分では丁寧なつもりだけども、声や抑揚が控えめすぎて伝わらない。
こんな問題点が、必要以上に増幅されて伝わってしまうかもしれません。
相手には声しか伝わっていないのだというくらいの気持ちで、一音一音はっきり発音する。大事なところは気持ちゆっくり喋る。声が小さくなりすぎないように気をつける。
こういう基本的な点を、あらためておさらいしてみると良いでしょう。
終わりに
以上、オンライン面接対策の紹介でした。
大事なことは、対面の場合でも通用する基礎をしっかり意識した上で、対面とオンラインの違いを踏まえて対策することです。
最大の違いは、やはり音声情報の優位性が増すという点でしょう。いつも以上に喋り方を意識すると良いでしょう。
また、通信環境や室内環境などの整備といった即物的な対策も、思った以上に効果を発揮すると思います。