早慶附属・系列高校はどう違う?〜学校紹介と出題傾向からみるおすすめ進学先・慶應編〜

高校受験で私学を視野に入れている人にとって、「早慶」という選択肢は魅力的に見えるものです。ところが早慶付属校・系列校の数は多く、内情は実に複雑で、リサーチしづらいもの。

本記事では、首都圏から通学可能な慶應大学の附属校の校風と出題傾向を見ることで、どの学校がどんな人におすすめか、解説します。

1. 慶應の一貫教育

まず、慶應の内部進学のシステムを、最低限整理しておきましょう。

知っての通り、慶應には小学校から附属校が存在します。歴史の長い「幼稚舎」(渋谷)と、新しい「初等部」(横浜)です。

中学になると、附属校は全部で3つに増えます。

最も伝統的な「普通部」(日吉)・次に古く、共学の「中等部」(三田)・最も新しく、国際的な「湘南藤沢中等部」(藤沢)です。

今回の記事は高校についてですが、慶應の場合は、小学校から内部進学の生徒も多いので、その内部進学者の割合が、外部受験生にとっての入学しやすさ・入学後の馴染みやすさなどにも、少なからず影響してきます。

その点にも注意しながら、各高校の特徴と傾向を見ていきましょう。

2. 附属校の特色と傾向

(1)慶應義塾高等学校(神奈川・日吉駅徒歩5分)

校風など

「慶應の高校」といえば誰もが思い浮かべる、この日吉校。
わかりやすく、「慶應日吉」と呼ばれたりもします。日吉キャンパスには、普通部や、大学の教養課程(1, 2年生)の学生も通いますから、全体として賑やかで、まさに慶應といった印象を受けます

教育としては、卒業研究や第二外国語が設定されているほか、「高大一貫講座」があり、基本的には大学への内部進学が前提されています。大学レベルを見越した、ハイ・クオリティな教育が期待できるでしょう。

また部活動や文化祭などにも熱心で、附属校に特権的な、「勉強以外の時間」が充実している点も特徴。

生徒層としては、比較的幅広いタイプが在籍していて、真面目な生徒から型にはまらない生徒まで、ユニークな生徒たちが交流しています。

(校風や大学との位置付けの面で、早稲田でいう「学院」に相当すると考えてもよいでしょう。)

出題傾向

入試科目は、一次試験が英・国・数の3科目、のち二次試験で面接といった流れです。

国語は、論説・小説・語彙知識とバランスよく出題され、設問もかなり標準的な受験問題といった感じです。総じて高水準ではあるものの、対策もしやすくなっています。

英語は、高校レベルの単語・熟語が不可欠となります。その上で、長文が比較的長く、難しいので、英文の速読・読解がポイントになります。

数学は、基本的な中学範囲の全体から、高レベルの問題がでます。計算問題や関数、平面図形などは、特別な知識やセンスがなくても解けますが、やはり速さが問われるところでもあり、日頃からトレーニングが必要です。

どんな人におすすめか

校風的には、どんな人でもある程度馴染みやすいでしょう。内部生と外部生が混在しますが、入学後時間をおけば、垣根はほとんどなくなるようです。

入試問題からすると、コツコツ勉強を進められる、堅実なタイプに適しています。

英単語帳や数学の解法をひとつひとつマスターしていけば、必ず得点に繋がるような問題設定となっているからです。

全体として最も「慶應らしい」学校なので、大学も三田キャンパスで過ごすビジョンを固めている人には、なおよいでしょう。

(2)慶應義塾志木高等学校(埼玉・志木駅徒歩7分)

校風など

埼玉県の志木とは耳慣れない地名ではあるものの、キャンパスは非常に綺麗かつ緑豊かで、充実した高校生活が送れる。ほとんどの生徒が日吉に進む。

教育面では、日吉と比べてみると、文化祭などの課外活動よりも、日常の学校教育に力を入れている点が特徴的。(派手さは日吉より控えめ。)また、スワヒリ語やヘブライ語などの言語を学べる授業があり、知的好奇心を満たすには事欠かない。

生徒数が塾講の半分ほど(6クラス編成)で、目の行き届く少人数教育が実現される。生徒層としても、基本的には真面目で、穏当なタイプが多いように思われる。

出題傾向

国・数・英の3科目

国語は論説・小説から1題ずつ。とはいえ、各設問には漢字・語彙から文学史にいたるまでの一般的な知識問題が含まれる。記述式が多いのが特色で、知識と地力の両面が重要。

数学は、日吉同様、ひろい分野からバランスよく出題される。また、応用レベルで、様々な分野が複合された形式も少なくない。型に捉われない柔軟な発想が問われる。

英語は、正誤問題・適語問題などのオーソドクスなものはもちろんのこと、特に長文に比重がある。内容は多々あるが、長文の問題数が3問と多い。文法事項などが複雑に絡み合った長文問題も多いので、やはり形に頼った暗記では太刀打ちできない。

どんな人におすすめか

校風面では、静かな環境で落ち着いた高校生活が送りたい人にはもってこい。部活も活発なため、やりたいスポーツが決まっている人には何より。

ただ、どうしても立地面でのハードルはあり、神奈川・千葉などからの通学はそれなりに厳しいことを含めて検討すべきでしょう。

入試については、対策のしにくさ、応用力などの面では、日吉より難しいともいえます。やや主観的な判断ですが、基礎知識が重要で、失点を避けなくてはならない日吉のスタイルが「難しいセンター試験」であれば、応用力、柔軟性、そして得点力が問われる志木は「難関私大」のようなスタイルに例えられるかと思います。

単元の垣根なく回答を導けるアグレッシブなタイプには、志木が向いているでしょう。

(3)慶應義塾湘南藤沢高等部(神奈川・辻堂駅バス21分)

校風など

「SFC」の通称で知られる湘南藤沢。これまで紹介してきた附属校では、唯一の共学校です。

平成4年に新設されたこともあり、新進気鋭の空気漂う学校です。キャンパスは大学と共通であり、高校・大学共に帰国生や留学生が多く在籍するので、インターナショナルな印象を受けます。

教育面でも、国際教育にはとりわけ熱心です。また、定期試験が記述一題形式であったり、レポートが多く課されたり、卒論が必須だったり、大学的なスタイルも特色です。

出題傾向

国・数・英の3科目。

国語は、知識問題・現代文・作文などから構成されます。知識問題と現代文読解は基本的なもので、難関レベルではあるものの、それほどひねったものではありません。特徴的なのは作文で、これは対策しにくいのですが、与えられた課題に対して自論を展開する練習が必要です。

数学は、日吉・志木同様、幅広い範囲からバランスよく出題されます。基本的にはそれほど難題でもなく、しっかり対策すれば得点が望めます。

英語は最も特徴的で、かつ最も難関。リスニング・文法・語彙・長文読解などからなります。問題文も英語で書かれています。高校初級レベルは必須となっているほか、リスニングや語彙などの問題では、実際に使われる慣用表現や言い回しについての知識が要求される場合もあります。

どんな人におすすめか

校風としては、自由でリベラルな雰囲気を好む人にはうってつけ。将来、グローバルな仕事をしたい人も多いので、海外進出を志す人には最適の環境でしょう。

また、附属校唯一の共学校なので、そういった点もプラス材料でしょう。

受験面では、なによりも英語が問題です。英語が得意な人のいわば一芸入試としては成立すると思いますが、英語が苦手な人にとっては、なかなか対策が難しいところです。

なお残念ながら、志木同様、あるいはそれ以上に、立地面でのネックが大きいといえます。というのも、やや僻地にあるのは志木と同じなのですが、SFCはさらにバスで20分ほどかかるからです。埼玉や千葉からの通学は、かなり大変だと思った方がよいでしょう。

(4)慶應義塾女子高等学校

校風など

慶應附属で唯一の女子校。女子が通えるのは、SFCか慶應女子のみ。

校風としては、校則がきびしくなりがちな女子校のなかでは割合自由で、のびのびとした印象です。

生徒層としても、真面目な生徒が多いものの、自主的で、積極的なタイプが育ちやすい環境なのではないでしょうか。

出題傾向

女子校に限らず、難関男子校を入れてもかなり上位に食い込むくらい難しい内容。

英・国・数の3科目からなる。

英語は、リスニング・読解・英作文などを含みます。ポイントとなるのは英作文で、それほどの分量はないものの、限られた時間の中で課題に答えなくてはならないので、高校受験としてはハードな部類に入ります。

国語は、随筆・論説織り交ぜた長文読解が3題ほどで、差がつきやすい内容です。とくに、文字数無制限の記述問題があり、問いにしっかり答えつつも、自論を展開する作文力が必要となります。

数学は、基本的な範囲からバランスよく。あまりに難しいという印象は受けないものの、時間がシビアです。とくに、確率や平面図形の問題で、悩ませたり時間を使わせる部分が少なくないので、その点でスピードが求められるでしょう。

どんな人におすすめか

慶應の附属校を目指す女子学生が受験可能な学校は、慶應女子かSFCのみです。そのため、地理的な制約があったり、また特に大学でSFCに進学するつもりがない(三田に進みたい)人にとっては、実質的には慶應女子一択となってしまいます。

ですから、慶應内部での比較ではなく、桜蔭や豊島岡などとの比較で、自分に合った学校を選ぶのがセオリーなのでしょうね。

まとめ

以上、首都圏の慶應附属校の紹介でした。

ややバイアスがかかりますが、まとめると、個性的な日吉、堅実な志木、先進的なSFC、女子の決定版の慶應女子、といった風でしょうか。

ここで書いたことを参考に、実際にキャンパスに足を運んでみて、空気を味わってみるといいと思います。

著者情報

究進塾 編集局

究進塾 編集局
東京・池袋にある究進塾の編集局です。受験指導のプロが大学受験に役立つ情報をお届けしています。 大学受験対策コースはこちらからご覧いただけます。

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