英文法の「格」とは? 文型・関係代名詞を理解するために知っておきたいこと

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大学入試向けの高校英文法で、「」という概念に戸惑った人も少なくないのではないでしょうか。

主に文型関係代名詞の単元での難関になる「格」理解は、その重要性にもかかわらず、予備校や学校ではあまり順を追って説明してくれない傾向にあります。

本記事では、そんな多くの受験生の「つまずきの石」である格と格変化について、例文を見ながら解説していきましょう。
格について十分な理解ができれば、文型や関係代名詞についての理解がずっと深まると約束します。

1.格とはどんなもの?

中学から高校までの英文法において、「格変化」という言葉をちらほら目にすることがあります。

しかし、筆者の知っている予備校生の中で、どんなに英語ができるひとでも、この「格変化」のことをしっかり理解している人はまずいません。
とはいえ、格変化について知らないこと自体は、学校や塾ではマトモに教えてくれない以上、悪いことではありません。

ところが格の概念は、英語が「腑に落ちる」ために不可欠であるばかりか、いくつかの文法事項をしっかりと理解し、受験問題を解く上でも無視できるものではありません。

そこで筆者としては、格についての知識はすべての受験生が優先的に身につけておくべき基礎だと考えているわけです。

それでは、格変化とは、あるいは格とは、どのようなものなのでしょうか。

まず大前提ですが、格とは本来、〈名詞にのみそなわる〉ものです。動詞や副詞の格変化はありえません。
場合によっては、名詞に付随する形容詞の格変化を考えなくてはならないこともありますが、英語において形容詞の格変化は存在しないので、これも考慮にいれずとも構いません。

ところで格は何をするものかというと、日本語で言うところの名詞+助詞(が・を・に・の)と同様、名詞の意味を明示するものです。つまり格の働きは、〈文中の名詞の意味を明らかにする〉ことです。

ポイント

格がそなわるのは名詞
格は文中の名詞の働きを限定する

すこし抽象的な説明ですが、具体的な格変化の例を見てみれば理解できるでしょう。
下図に示すように、格変化は4種類覚えておけば十分です。

それぞれ、
①主格(〜は=〜が)
②所有格(〜の)[属格genitive]
③間接目的格(〜に)[与格dative]
④直接目的格(〜を)[対格accusative]

となります。

角カッコ[]の中に記したものは、文法上の共通語ですが、小難しいので覚えなくても大丈夫です。

人称代名詞Iと、普通名詞publicを、それぞれ日本語と対照して図示してみましょう。

人称代名詞I 普通名詞public 大衆
①主格 I 私は=私が public 大衆は=大衆が
②所有格 my 私の public 大衆の
③間接目的格 me 私に public 大衆に
④直接目的格 me 私を public 大衆を

2.第四・第五文型〜普通名詞の「見えない格変化」を見抜く〜

ご覧の通り、人称代名詞の③間接目的格と④直接目的格には、カタチ上の区別がありません。
それどころか、普通名詞には全ての格で見かけ上の変化はありません。

それゆえに、ここでありがちな「格なんて知らなくても良い」という誤解が生まれます。
たしかに形が滅多に変化しないので「覚える」必要はないのですが、だからと言って「知らなくて」良いと考えるのは安易な早とちりです。

なぜかというと、文中に登場する普通名詞は、その役割によって、格が全く異なると解釈されるからです。
例を見てみましょう。

例文1
The public tacitly admits the execution of Seneca(大衆はセネカの処刑を黙認した).

例文2
Seneca pardons the opportunistic public(セネカは日和見主義の大衆を赦した).

以上二つの例文におけるpublicのカタチは同じです。しかし、格が全く異なるのです。
例文1では、publicが主語ですから、これは主格です。対して例文2では、publicは動詞pardonの直接目的語、つまり直接目的格をなしています。

余談ですが、時制はいずれも「歴史的現在」を用いています。

もう一つ例を見てみましょう。

例文3
Nero leaves us that famous Golden Dome(ネロは私たちにあの有名な黄金宮を遺した).

例文4
Nero named that palace Golden Dome(ネロはその王宮を黄金宮と名付けた).


例文3はSVOO、例文4はSVOCの文型です。

例文3のdomeは、動詞leaveの直接目的格ですが、例文4のdomeは直前のpalaceと同格で、補語と呼ばれています。

見かけ上異なるこの普通名詞domeの違いはどこにあるのかと聞かれれば、これは「格の違いだ」と答えなくてはなりません。
通常は、その格の相違を無視して、動詞の性質によってOOが続くかOCが続くかということを暗記させるのですが、それだけでは、文型を看破することこそできても、文型の違いの意味を理解できません。

しかし次の例文のように、見かけがはっきり格変化していれば、その違いは歴然でしょう。

例文3’
Puellae rosam do(少女にバラを私は与える).
例文4’
Rosae aquam do(バラに水を私は与える).

この例文はいずれもラテン語なので、わかる必要は全くありません。しかし例文3’と4’における名詞rosa(バラ)の形が異なるのは判明でしょう。
もちろん3’のrosamが直接目的格、4’のrosaeが間接目的格になります。

この例文から理解して欲しいのは、英語においても、このような格変化が、見えないカタチで展開しているということです。
現代英語の源泉であるラテン(ロマンシュ)語やドイツ(ゲルマン)語は屈折言語ですから、当然英語においても、意味の上では格変化が認められるわけです。

そして、このことを理解せずにSVOCやSVOOを丸暗記しても、結局のところ、残念ながら何も把握したことにはならないのです。


ポイント

文中の名詞はすべて、見えないカタチでも格変化している
文型は名詞の見えない格変化で決まる

3.関係代名詞の格変化

さて、これまでは普通名詞の見えない格変化の実態を見てきましたが、ここからは、より実践的なカタチで格の知識が役立つ場面に出会うことになります。

というのは、「関係代名詞」という単元には、格変化がつきものであって、さらに、ここでつまずく学生があまりに多いからなのです。

関係代名詞には、一般的に使えるthat、ヒトに用いるwho、ヒト以外に用いるwhichがあります。

周知のことですが、それぞれ次のように格変化します。

  that which who
主格 that which who
所有格 なし whose whose
間接目的格 that which whom
直接目的格 that which whom

そして、関係代名詞について格概念を理解していれば、使い分けは容易に把握できます。
例文で考えてみましょう。

まずは主格の関係代名詞whoの例を見てみましょう。

例文5① Leibniz is a scientist(ライプニッツは科学者である).② The scientist invents that differential and integral calculus(その科学者があの微積分を発明した).

→Leibniz is a scientist who invents that differential and integral calculus(ライプニッツは、あの微積分を発明した科学者である).

ここでは、文①の先行詞scientistに、文②のscientistがそのまま一致します。関係代名詞の格は関係節になる文②のscientistの格にあわせ、主格にすれば終わりです。

続いて、whoが所有格になるのは次のような場合です。

例文6① Leibniz is a scientist(ライプニッツは科学者である).

Leibniz’s theories are difficult(ライプニッツの理論は難解だ).

Leibniz whose theories are difficult is a scientist(ライプニッツはその理論が難解であるところの科学者である).

この場合でも、関係代名詞の格を関係節のLeibniz’sの格にあわせますから、所有格になります。

次の例は、関係代名詞が直接目的格になる例です。

例文7① Leibniz is a scientist(ライプニッツは科学者である).② Samuel Clarke disputes Leibniz(サミュエル・クラークはライプニッツを批判した).

→Leibniz whom Samuel Clarke dispute is a scientist(ライプニッツはその人をサミュエル・クラークが批判したところの科学者である).

このときは、関係節に入る文②のLeibnizが動詞disputesの目的語ですから、そのまま目的格whomを用いれば良いわけです。

最後に、関係代名詞が間接目的格になるのは次のような場合です。

例文8① Leibniz is a scientist(ライプニッツは科学者である)② Clarke sends the scientist some letters(クラークはその科学者にいくらかの書簡を送った).

→ Leibniz is a scientist whom Clarke sends some letters(ライプニッツは、そのひとへクラークがいくつかの書簡を送ったところの科学者である).

この例は、やはり関係節②のscientistが動詞sendsの間接目的語になっていますから、そのままwhomを用いて書けば成立します。

4.まとめ

関係代名詞の単元で「格」に戸惑ったひとは、次のことを知識として整理しておきましょう。

  • 格とは名詞の意味を限定するもので、「は/が」・「の」・「に」・「を」の4種類ある
  • 英語の名詞の全てには格変化が潜在している
  • 同様に、関係代名詞にも格がある
  • 関係代名詞は、関係節に入る側の名詞の格にあわせれば簡単に作文できる

以上です。

格変化についての知識は関係代名詞についてのみならず、英文法の根本についての知見として、欠かすことができないものです。ぜひ身につけて、英語力を向上させていきましょう。

余談ですが、古典ギリシア語・ラテン語や、ロシア語をはじめとするスラヴ諸語には、英語における四つの格以外にも、「奪格(〜で、を以って)」や「場所格(〜において)」が存在します。

現代英語やフランス語、ドイツ語においてこれらの格が不要となったのは、前置詞(to, in , atなど)を併用することで、名詞の屈折を回避したためでしょう。

ですから翻って言えば、格変化の知識は、前置詞についての文法理解へと発展する、基礎の基礎でもあるわけです。

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究進塾 編集局

究進塾 編集局
東京・池袋にある究進塾の編集局です。受験指導のプロが大学受験に役立つ情報をお届けしています。 大学受験対策コースはこちらからご覧いただけます。

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