自宅自習がはかどる勉強法〜ツールとペースを最適化して効率アップをめざそう〜
学校が休学になったり、授業がオンデマンド化されたり短縮されたりすると、自宅で自習を進めざるを得ない時間が増えてきます。
しかし、どうにも自宅学習が捗らない、力がついている実感がない、という人も多いはず。
そこで本記事では、自宅で勉強を進める中高生が、どうすれば学習を効率化できるかを解説します。
目次
■ 自宅自習の最大のポイントは?
まず結論から言いますと、自宅で自習を進める際、最も重要なポイントは2つあります。
2つ、学習のペース管理をすること。
この2つのポイントについて解説し、具体的な対応策を紹介していきます。
1. 自宅自習のためのツール
(1) 自宅学習のツールの重要性
学習のツールというのは、教科書・参考書・問題集・プリント・ノート・辞書など、様々な仕方で学習をサポートしてくれるマテリアルのことです。
「そんなの持っている」と思われるかもしれません。もちろん、学校が臨時で休校になった場合などには、学校指定の教科書などを持っているでしょう。
しかし、お手許のそのツールは、独習の用途を想定して作られたものでしょうか?
おそらく違うでしょう。多くの場合、中高生が学校から与えられる資料の半分以上は、当然ながら、先生が生徒に教える場面、つまり「授業」を前提にフォーマッティングされているからです。
こうしたツールの想定用途というのは思いの外重要で、これを逸してしまうと、教科書やプリントは十分なパフォーマンスを発揮できなくなってしまいます。
Safari(ブラウザ)でGoogleアプリを動かすと、同じものをGoogle Chromeで動かす場合よりも重かったり不便だったりしますが、これと同じことだと考えてください。
要するに、自宅での自習には、自習に最適化されたツールを選ぶべきだ、ということです。
教科書や学校プリントが役に立たないということは決してないですが、やはりそれだけでは、十分な効果は上がりにくくなります。
(2) 自宅学習に向いたツールとは?
具体的なおすすめツールは、書店やサイトで市販されている、参考書と問題集です。
参考書や問題集は、学校の勉強の副教材と位置付けられることもありますが、逆に言えば、授業の形態や進行度、生徒のレベルなどに左右されない、固定された水準を設定しているものです。
そのため、独習者にとっては、これ以上なく適したツールと言えます。
(3) 具体的に、どう選ぶ?
科目ごとに良い参考書は様々ありますので一概には言えませんが、一般に勧められる良質なシリーズものはあります。
現時点で自分に合ったものがわからない場合には、まず鉄板のシリーズものから選ぶのが無難でしょう。
中学レベルなら旺文社の『中学総合的研究』シリーズ(参考書)、学研出版の『パーフェクトコース』シリーズ(参考書)、教育開発出版の『新中学問題集』シリーズ(問題集)などが定評ありますね。
高校ですと、数研出版の『チャート式』シリーズ(参考書)、旺文社の『基礎問題精講』シリーズ(問題集)、駿台文庫の『実戦問題集』シリーズ(問題集)などが挙げられるでしょう。
(高校レベルだと、各科目の専門性が増してくるため、全科目に共通する、優れた参考書・問題集シリーズは必ずしも多くありません。ここでは一般に定評のあるものを挙げましたが、もっと細かくみる場合は、自分のレベルにあった難易度・専門度のものを選んでください。)
2. 自宅自習のペース管理
(1)ペース管理の重要性
ついつい見落としがちな、塾や学校と自宅自習との違いは、実はペース管理者の在・不在にあります。
学校や塾では、先生が学習のペースを管理してくれます。今日どこまでやったから、次はここの復習から〜とか、ここは十分できているから、次はここの予習から〜とかいう具合に、先生たちは生徒の理解度と到達レベルを観察しながら、次々に課題と目標を設定してくれています。(残念ながら、生徒はあまり気づかないものですが。)
こういうペース管理人がいなくなると、すでにわかっているはずのことを何度もやってしまったり、まだ「関係代名詞」がわかっていないのにその先の「関係副詞」に手をつけて、挫折してしまったりするわけです。
これでは、地図を見ずに知らない街で未知の目的地を探して歩くようなもので、まさに暗中模索・五里霧中。効率的なはずがありません。
ですから、独習者は、学習のペース管理人が不在であることを自覚して、自分で、学習実行者と管理人との一人二役をこなすように努力しなければならないのです。
(2) ペース管理の心がけ
そのためにまずは、ペース管理を心がけることが必要です。具体的なやり方はすぐ後で述べますが、まず必要なのはペース管理を強く意識することです。
ペース管理の最大の敵は、「自尊心」と「快楽主義」です。
まず、ペース管理のためには、自分が苦手なところ、「どこができていないのか」を、明確に自覚する必要があります。
解けそうな問題を前にした時も、「こんなの簡単だ」とか「もうやった」とか思い込んで飛ばしてしまわずに、まずは頭を動かして問題を解いてみること。
そして、自分が間違えた問題があれば、それについて、「なぜ間違えたのか」「何がわからなかったのか」「どうやって次は解けるようにするか」などについて、冷静に自省すること。
こうしたことは、自分ができないことを見つめることですから、自尊心を傷つけることもありますが、そこは超回復を期待して、少しの辛さに耐える必要があるのです。
また、「解いていて楽しい問題」ばかりに取り組まないのも重要です。
自分の得意科目・単元・範囲は、自分に解ける問題ですから、当然正答率も高く、気持ちよく進められます。
しかし、こういう気持ちの良い問題ばかりを解き続けても、解ける問題を繰り返しているだけですから、実力は相対的にはまったく上がっていません。
ですから、多少の辛い思いをしても、快楽主義に陥らずに、できない問題へと向かっていく心がけが必要です。
(3)ペース管理の具体的な方法
具体的には、
・ 丸つけの時間確保
・ 予習&復習1セット
の3点を紹介します。
まず日付管理ですが、これは最も基本的なペース管理法で、1日でどこからどこまで進んだのかを見える化することです。
問題集や参考書の余白に、そのページないし大問などを何月何日にやったのか、メモをつけておくと良いでしょう。
もちろん、日記やカレンダーのような形で一覧にしても良いですが、あまり気合いを入れすぎると続かないので注意しましょう。
丸つけの時間確保は、先に述べたような、「弱点の自覚」のために重要です。問題を解いたら丸つけをして正答を書いて終わりではなく、自分が間違えた理由を突き止めるところまでを区切りとしましょう。
ここに時間を使うことで、次に何をすれば良いかもわかります。
予習&復習1セットというのは、一度解いた単元を解いたきりにせず、必ずもう一度解き直す、ということです。
一度で理解できることはあっても、それを定着させるためには反復が必要だからです。
たとえば、4/1に「関係代名詞」を予習したら、4/2には、「関係代名詞」の復習・「関係副詞」の予習、4/3には「関係副詞」の復習・「接続詞」の予習…というように、交互に進めていくのもよいでしょう。
■まとめ
自宅での自習に伸び悩むのは、最適でない学習ツールと、ペース管理者の不在が原因のひとつでしょう。
そのため、独習に適したツールを揃えた上で、自分の習熟度をしっかりと考慮し、ペース管理を意識して実行していくことが不可欠です。
もちろん、スマホ・PC・テレビ・ゲームなどの娯楽を遠ざけたり、寝坊・夜更かしを防止したり、家族や友人と長時間話し込んだりしないことなど、当然の心がけはいくつもありますが、そういったことに加えて、ツールとペースに注意しましょう。