指導歴25年の講師が教える中学受験の算数の勉強方法について

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中学受験の最大の難関は何といっても「算数」
その算数で泣き笑いをした中学受験生をたくさん見てきました。自分の子どもが信じられない、塾の先生も信じられない、ネット上のうわさも信じられない、という保護者の方にも多く接してきました。

中学受験の算数は特殊で難しいと言われますが、取り組み方次第で武器にすることができます
中学受験算数の指導歴25年のベテラン講師が、算数の勉強法をお伝えします。もう中学受験の算数で迷わせません。

1.小学校の算数と中学受験の算数との違い

1-1.小学校の算数

小学校で習う算数は、実生活で使えるツールを学ぶことに主眼が置かれます

具体的には、四則演算、時計の読み方、速さの計算、割合などです。買い物に出かけるときに、お店の開店時間が分からない、おつりの計算ができない、値引き情報が理解できない、なんてことがあると困りますね。
このように、日常生活で困らないようにするために小学校で算数を学びます。

では、実際の指導はどのように行われているのでしょうか。「割合」を例に見てみましょう。

割合で学ぶのは、3つの公式です。
3つの公式とは、「割合」=「比べられる量」÷「もとにする量」、「比べられる量」=「もとにする量」×「割合」、「もとにする量」=「比べられる量」÷「割合」ですね。小学生たちは、これらの公式を覚えて、当てはめる練習をすることになります。

そして、解くのに手順が複雑になるような問題は扱いませんから、授業や宿題の中心は「ドリル」的なものになります。
つまり、簡単な計算を確実にこなし、公式を当てはめる練習をすることになります。
この結果、小学生たちは身近な計算問題について簡単に答えが出せるようになるわけです。

1-2.中学受験の算数

では、中学受験の算数はどのような目的で出題されるのでしょうか。

それはズバリ「思考力」を試すためです。
つまり、小学校の算数が身近な計算問題を解決するために学ぶためなのに対して、中学受験の算数はもはや算数ではなく、「解くこと自体が目的」である問題が出題されます。

例えば、割合。
中学受験では、割合を学ぶと、続けざまに食塩水や損益売買や速さも勉強しなくてはなりません。そして、速さを学んだと思ったら、さらに、流水算、通過算、時計算、図形上の点の移動など、めくるめく難問の嵐にさらされることになります。

このように、中学受験の算数では思考力が求められ、複雑な手順を要領よく追いながら、ミスなく答えを導く力をつける必要があるのです。

1-3.中学受験の算数に取り組むうえ必要なこと

このように、小学校の算数と中学受験の算数とでは、小学生にとって難易度や複雑さの上で雲泥の差があります。そのため、中学受験を志す小学生の中には、悲劇を味わう人もでてきます。その悲劇とは「自信をなくす」ことです。

だいたい小学校4年生までは、「知っている」程度の問題ばかりで、簡単に問題が解けます。
しかし、小学校5年生の夏休み前ごろから、問題は急に難しくなり、いくつかのステップを乗り越えないと解けない問題が出現し始めます。このとき、「かんたんに解けるはず」と考えている小学生が挫折します。
しかも、まわりの生徒は小学校では上位の人が多いですから、自分が劣って見えてしまうんです。

このとき、オトナは、「この子は理解できていない」と考えがちです。
確かにそういえなくもないのですが、本当の問題はその前にあります。

算数の問題を理解するのに必要な時間は人それぞれです。塾のカリキュラム通りにすべての小学生が同じように理解を深めることはあり得ません。理解するのに時間がかかる小学生は、勉強に時間をかけることを省いてはいけないのです。

そこで、中学受験を志す場合、本当に守ってほしいことがあります。
それは、「目の前の問題を楽に解けるようにしてから先へ進む」「楽に解けるとは、人に説明できるようになるまで理解すること」ということです。

メジャーリーガーのイチローが「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています」と言うのも同じ意味だと思います。

2.中学受験業界の常識を信じるな

2-1.中学受験をするなら、なるべく早めに塾通いを始めたほうがいい?

「中学受験をするなら、遅くとも小4から塾に通う必要がある」って聞いたことがあるんじゃないでしょうか。塾もこの話を喧伝してますよね。

この意見、どう思いますか。

中学受験の学習塾で難関校の合格をうたう大手塾では、小4、小5、小6と学年が上がるにつれてついていけない小学生が増えます。その結果、学年が上がるにつれて在籍生徒が減っていきます。これは、小4から塾通いを始めた小学生の中には、塾の進度に追いつていけなくて自信を失った生徒が少なからずいることを示しています。

もちろん、早く勉強を始めればその分得られるものもあるでしょう。
しかし、挫折を乗り越えられなかった痛手(勉強に対する意欲の減退)は癒すのが非常に難しいものです

また、内容的にも、小5で習う「相当算」や「速さ」などの問題は、小6では「比」を使って簡単に解くことができてしまいます。小6で簡単に解く方法があるのに、わざわざ小5で面倒な解法を学ぶ必要があるかは疑問のあるところです。

では、いつから中学受験の対策をすればいいか、が問題です。

この点については、「いついつから」と杓子定規に考えるのではなく、個々人に応じて判断すべきです。
具体的な基準としては、「塾に通わなければならないと子どもが親に説明できるとき」です。

このようにお話しすると、親御さんの中には「それじゃ中学受験に間に合わない」と言う方がおられます。しかし、そのように考えること自体が、子ども主体の受験ではなく、親主導の受験となってしまっています。このような場合、子どもの努力ではなく効率を偏重しがちになり、結果として学力低迷を招きます。

知っておかなければならないことは、中学受験の算数を勉強するとき、塾の教材をすべて解く必要がないこと。また、塾の模試の偏差値と志望校合格は必ずしもリンクしないということです。

合格に最も近づくための算数の勉強法は、志望校の過去問から逆算することです。過去問で問われていることに答えることができれば合格できます。

例えば、ある女子中では空間図形が全くでない、ということがあります。その場合、塾の宿題だからといってせっせと解く必要があるんでしょうか。

志望校に合格するためには、受験する意味を親子間で十分に話し合い、必要に応じて塾を利用することが賢い選択です。

2-2.算数の成績が上がらないとき、転塾は悪?

しばらく塾通いを始めて頭をよぎるのは「このまま通い続けていて成績が上がるのか」「ほかの塾に移ったほうが良いのではないか…」と考えてしまうことがあります。

このようなことが頭をよぎるのは、算数の成績が悪いときがほとんどです。

転塾すると確かにデメリットがあります。
算数の場合、教える先生によって解法が異なることがしばしばあります。代表的な例としては、食塩水でてんびん算を使うかどうかとか、つるかめ算で面積図をつかうかどうか、などがあります。これにも増して重要なのは、どこまでの難易度の問題をやるか、という取捨選択は先生やテキストによって大きく変わるということです。

このような理由で、転塾に消極的になることがあります。塾の先生も、「講習でまた同じことをやるから」と言って必死に引き止めます。

しかし、それでも成績が上がらなかった場合、転塾すべきではないのでしょうか。

答えは「転塾すべき」です。

なぜなら、算数の勉強では、先生との相性が非常に重要だからです。授業の分かりやすさはもちろんですが、小学生の場合は子どもが先生に親しみを覚えることが大事です。成績アップに先生と生徒の親しさが関係ないと思う人もいると思いますが、それは違います。先生が生徒をほめたり、励ましたりすることは、子どものモチベーションの維持に欠かせないものです。

塾を選ぶ場合、その塾の知名度や合格実績を基準としたり、説明会での納得度を参考にすることがあると思います。しかし、同じ塾内でもいろいろな先生がいますから、当然、先生の「当たりはずれ」があります。

もし「はずれ」に当たったら、成績向上は望めませんね。

そのときは思い切ってほかの塾の体験授業を受けて、「当たり」を探すべきですし、それが恥ずかしいことでも何でもありません。

2-3.長時間勉強漬けでないと合格できない?

中学受験塾の拘束時間がとてつもなく長いことはもはや周知のことだと思います。
実はこれには理由があります。

小中学生と高校生では「同調傾向」の点で異なります。
高校生は同調傾向が弱いため、友人と一緒に勉強をすることはまれで、普通は自習室や図書館などでひとりで黙々と勉強するのが普通です。これに対して、小中学生は同調傾向が強く、みんなと一緒にワイワイしながら勉強するのが楽しいんです。

加えて、中学受験では親が長時間の指導を望むため、中学受験塾は「みんな一緒に長時間」という戦略で集客するんです。そうすれば、月謝も上がり、合格可能性も高まる、というわけです。

しかしこれは一般論であって、個々に見てみると、塾での拘束時間が長いからといって必ずしも成績が伸びていないケースも多くあるでしょう。そのようなケースでは、個々の生徒に先生の目が行き届いていないとか、クラス内の生徒の間での理解度に差があるなどの問題があります。

中学受験も「受験」である以上は、勉強時間は通常の小学生よりも長くなるのは当然ですが、問題はその中身です。

中学受験の算数の場合、同じ問題を数名の生徒に解かせると、実にさまざまな解き方をしていることがあります。間違った解き方をしている子もいれば、正解にたどりつくことができるけれども遠回りな子もいたり、中には先生が予期していなかった解法で解く子もいます。

ここで大事なのは、出題された意図をくんで、その意図通りに正解を提示することです。

ところが、実際の指導の現場では、正解していれば理解している、不正解であれば解きなおしを命じられる。これが延々と繰り返されるのです。本質的に理解しないまま先へ先へと進むため、成績が低迷したり、成績が乱高下する生徒が続出するわけです。

このようなことを防ぐためにはどうすれば良いのでしょうか。

それは、「自分だけの課題」に取り組む時間を作ることです。解ける問題を何度も解いたりするのは無駄ですね。そうではなくて、解けない問題、解くのに時間がかかる問題、それが「自分だけの課題」です。

例えば、算数の成績が思うように上がらないときは、思い切って季節講習やオプション講座には出席せず、それまでの復習をする。あるいは、個別に質問できる塾を選ぶようにすることが考えられます。

ただ、集団塾に通いながら個別塾に通うと、勉強の拘束時間がますます長くなってしまいます。その結果、勉強の負担感から子どもの学習意欲を減退させてしまい、せっかく勉強していても、それが頭を使わない肉体労働になってしまうことがあります。

このようなオーバーワークになってしまっては元も子もありませんし、結果が伴わないのであれば、塾代はもはやお布施のようなものとなってしまいます。

長時間勉強しても算数の成績が上がらないときは、今の勉強時間をオーバーしない範囲で、苦手分野に向き合う時間を作りましょう。

3.中学受験算数を有利に進める定番市販教材3選

3-1.計算力を上げるための市販教材

中学受験の算数が苦手な小学生は、必ずと言っていいほど計算力がありません。模試の結果を見て「ミスった!」という場合も計算力が関係しています。

中学受験塾のカリキュラムでは、小5の夏前ごろから算数の難易度がグッと上がります。割合など文章題だけでなく、円の問題などの図形問題でも手際よく計算できなくてはなりません。

そのときになって計算力をつけるための問題集をやろうとしても、塾の宿題が山積しているので、負担ばかりが増えてやる気が出ません。

計算力は、小4から小5の初めまでにはかなり高度なものにしておくことをお勧めします。

内容は、公文のレベルではなく、かなり難しい還元算(24-5×(□+1)=9 のような問題)を手際よく解けるようなレベルが必要です。式に中カッコが入っても大カッコが入っても解ける、小数や分数が混在しても解ける、というレベルです。小5の初めの段階でここまでの計算力があれば、その後は思考力を十分に発揮できるでしょう。

だだ、塾の教材では、計算に特化した教材が少ないか、あるいは、小4~小6まで別冊になっていて使いにくいという欠点があります。そこで、「この一冊で大丈夫」という問題集があれば良いですね。それが、この問題集です。

取り組み方は、小4になったら、1ページを3~6回解いてから次のページに進んでください。
難しいところにさしかかると解くのに異常なほどの時間がかかりますので、そのときは、1日2~3題でもかまいませんので、焦らずに進めてください。

大事なのは、小5の初めまでにやりきることです。

3-2.基本パターンを固めるための市販教材

中学受験塾の教材の量はまさに膨大です。

一式をカバンに入れると5kgに達するとも言われています。それはなぜかというと、上位校の過去問を網羅しているからです。当然、そのような分量の教材をこなすことはできませんから、塾の先生の指示通りに課題をこなすことになります。

しかし果たして、このような勉強法で自信がつくのでしょうか。

先生の指示なくては取り組むことができない教材で生徒のチャレンジ精神を育むことができるのでしょうか。

この点、大学入試の場合、数学はチャート式などの体系書を5~6回解いてしまえば、数学は得意になるはずです。これは中学受験でも変わらないはずです。

適切な分量と内容を備えた体系書を何度も解く。このようにして初めて自信がついていきます。ただ、塾の膨大な教材では、それを何度も繰り返すことができないのです。

そこで、分量と質の点で必要十分な体系書を、塾の進度に合わせて学習することをお勧めします。

そのような体系書を繰り返し解くことで、できない問題が解けるようになり、また、忘れていた解法を思い出すことができます。定番問題を網羅しており、分量も多すぎず、くり返し取り組むことができる問題集は、次のものがあります。


「ステップアップ演習」の方がやさしめなので、こちらから取り組むと良いでしょう。初めからガツガツやるのではなく、塾でやった分野からやるのが続けるコツです。

大事なことは「繰り返すこと」。

算数が苦手な人は、学校がない時間や期間を利用して、コツコツ進めてください。

3-3.過去問の出題範囲を知り対策をするための市販教材

過去問をいつやるかについては議論のあるところです。ただ失敗するのは、次のようなケースです。
塾の勉強を一生懸命頑張る、そして小6の秋以降の模試の結果次第で志望校を決める、小6の秋以降に過去問を買い始める、ところが問題との相性が悪い、そこで別の学校の過去問を買う、そうしているうちに何冊もの過去問が積みあがる、その結果、受験までに1冊の過去問集も仕上げられない。

これは珍しいケースではありません。志望校を決められないというのは禍根を残してしまいます。

一般的に、志望校は、安全校、相応校、そして挑戦校の3校を決めます。過去問も、まずはこの3校を仕上げるのが先決です。

そして過去問に取り組む時期ですが、理想的なのは、小6の夏休みです。少なくとも、志望校のうち1冊は小6の夏休みに仕上げると受験を有利にすすめることができます。
なぜなら、模擬試験の内容と志望校の出題内容はイコールではないからです。模擬試験の結果が悪くても、過去問は解けるという自信があれば、入試本番までモチベーションを維持することができます。

また、過去問は3~5回は繰り返す必要があります。完璧に過去問を理解することが合格可能性を限りなく高めるからです。

それなのに、小6の10月以降に何冊もの過去問を買い込んで、それらをこなし切ることができるのでしょうか。小6の9月以降となれば、通塾に加えて、数々の模擬試験があり、スケジュールがパンパンになってしまい、大事な過去問の勉強にかける時間が限られてきます。

中学受験の算数は、志望校ごとに出題傾向が異なります。小6の夏に志望校の出題傾向を知り、秋以降に力を入れるべき範囲を知ることは、勉強のメリハリをつけるうえで非常に重要な行動なのです。

そして、過去問集はどれを選べばいいかといえば、解答のミスがほとんどないという点で、次のものがおすすめです。

◆声の教育社から出版されている過去問集

まずは、第一志望校の過去問集を完全に理解するまでくり返し取り組んでください。

4.まとめ

「中学受験の算数は難しい」と言われます。
そのように感じられるのは、勉強法が分からず、暗記に頼ってしまうのが主な原因です。算数嫌いにならないためには、算数好きの生徒の勉強の様子を覗いてみるとよいでしょう。

算数好きの生徒は、まず、勉強しているときの時間的感覚がない、という特徴があります。義務でやっているのではなく、好きだからやっている、だから勉強が続く。

そして、他のことが気にならなくなる、という特徴があります。周りに人がいても、友だちが横でしゃべっていても気にならない。
さらに、うまく対処できるという自分の能力に対する自信が生まれる、という特徴もあります。本当の実力がついているので、その実力を試したくなる、と言ってもいいでしょう。

この記事では、このような算数好きの中学受験生を一人でも多く出したい、という思いで書きました。ぜひ、参考にしてください。

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