時間内にセンター英語を終わらせるコツについて
「センター英語は時間が足りない!」
よく言われている言葉ですが、そのように言われている一方で、センター英語をものの60分で終わらせて、残りの20分を見直しの時間に使っている人も確かに存在します。決して真似すべきではないですが、緊張をほぐすために本番で試験時間中に仮眠をとる猛者もいるくらいです。
実のところ、センター英語程度の難易度ですと、知識の量ではあまり差が出ません。成績を分けるのはやはりスピードです。
これから、センター英語を60分で解ける人の特徴についてお話ししていきます。
目次
1. 力加減が上手! 完璧主義者はセンター英語に向いていない
これはセンター国語の古文でも言えることですが、現代文を除くセンター試験の読解問題は「大意をつかむ」ことに重点を置いております。センター英語で時間が余る人はこの「大意をつかむ」のが上手なのです。
「この文章の7割が分かっていれば点数が取れますよ」という問題に取り掛かるときは、7割程度しか理解しません。なんでも全力で取り組む「頑張り屋」や「完璧主義者」はセンター試験に向いておりません。
とはいえ、そういった方でも(中堅私立以上を目指すのであれば)センター英語では8割以上取らなくてはならないわけですから、力加減の訓練や方法を以下に説明していきます。
1.1 一度点数を気にせずとにかく猛スピードで終わらせてみる
センター英語の勉強法で良く言われる「時間を測らずゆっくり解いてみる」の逆です。
時間を気にせず解けばしっかりと点数が取れる人は、今度は点数を気にせずとにかく猛スピードで解いてみましょう。
英語の知識がしっかり備わっている人は、採点をした時に「意外に点数が良かった」と思うはずです。「あれだけいい加減に解いたのに7割くらい取れた」と思えたらこの問題演習は成功です。
つまり、「この程度いい加減に解いても7割はとれる」ということを理解できたからです。もちろん本番で「いい加減に解いて良い」と言っているわけではありません。「今まで力が入りすぎていた」ということを実体験で悟らせることに狙いがあります。
1.2 読む前からどういう話なのかをある程度予測する
「説明文とディベートは一般論しか言わない、物語は必ずハッピーエンドになる」。センター英語の長文はこのように素直な内容が多いです。
また、問題の選択肢から、問題文の内容をある程度予想することができます。問題文を読むときは、その予想が合っているかどうかの確認作業です。一概には言えませんが、大方予想から外れることはありません。
ただし、予想に引っ張られて誤訳をしてしまうのだけは注意です。
1.3 捨てる勇気を持つ
センター英語では1分以上かかる問題は捨てるのが定石です。仮に分かる問題であっても1分以上かかるのでしたら捨てて下さい。その1分あれば、大問6で12点取れます。
完璧主義者がセンター英語に向いていないのはこれも理由の1つです。気になって問題に集中できないという人は大問6から解いてください。
2. マークを塗るのが速い
マークを塗るのに何秒かかっていますか?3秒以上かかる人は今すぐ塗り方を改めた方が良いでしょう。
マークの縁を鉛筆で綺麗になぞって、最後に真ん中をぐりぐりと塗りつぶす。そのような塗り方をしていませんか。
これはかなりの時間のロスです。
実際のところ、マークが多少はみ出していたり、塗り残していたりしても、しっかりと機械は読み取ってくれます。塗るのが速い人は1つマークするのに1秒もかかりません。
センター英語のマーク数を60としてみましょう。
・マーク1つあたり1秒 1×60=1分
・マーク1つあたり3秒 3×60=3分
ここで2分の差がでてきます。時間の差だけ考えますと、たったの2分と思われるかもしれませんが、2分あればセンター英語の問題は4問解けます。
シートが埋まれば埋まるほど落ち着いて問題が解けることを考慮すると、2分の短縮はそれ以上の時間短縮につながります。
また、これはコンスタントに3秒以内に塗れた場合の話です。塗り方に凝っている人は、気に入らないところを塗り直したりしていますので、実際にはこれ以上の時間がかかっていると思います。あなたがマークの塗り方に凝っている間に速い人は問題を1つか2つ問いているのです。
センター試験は時間にシビアな試験です。その1分の間に何問解くことができるのかを常に念頭に置いておきましょう。
3. 読むのが速い
センター英語を1時間あまりで解く人は、あなたの想像よりも遥かに速く英文を読んでおります。純粋に英語力が高いので、早く解き終わるのです。しかし、英語力が高くても読むが遅い人もいます。
両者の違いは、長文の読み方によるものです。
以下が両者の読み方の違いです。
・左から右にそのまま読んでいる。
・スラッシュリーディングをしない。
・頭の中で音読しない。
・パラグラフリーディング
◆読むのが遅い人
・返し読み
・スラッシュリーディング
・頭の中で音読
・全文を1つひとつ丁寧に読む。
■英語を日本語と同じようにスラスラ読む
ひとことで言うと、読むのが速い人は、英語を日本語と同じように読んでいるのです。
これがセンター英語を1時間余りで終わらせられる最大の要因です。センター英語程度の文ですと、斜め読みでも充分に解くことができます。
解答解説の日本語訳を見ながら一度問題を解いてみてください。おそらく、一文々々丁寧に読まなくてもできると思います。あなたが日本語でできることを彼らは英語でできているのです。
■素直左から右に読む
英文を左から右に読むためのテクニックとしてスラッシュリーディングを紹介している参考書があります。たしかにスラッシュリーディングは返し読みをせずに英語を読むための訓練としては効果的です。
しかし、速く読める人は最早スラッシュリーディングすらしておりません。むしろ、読むのが遅い人ほど、まだスラッシュリーディングに頼っている節があります。
しっかりと適切な区切りが入れられている時点で、あなたの英語力はかなりあります。そろそろスラッシュリーディングから卒業してみてはいかがですか。
■口ではなく目で読む
英語を読むときの自分の口に注目してみてください。聞こえないくらいの小声で英語を音読していませんか?日本語を読む時もそのようにゆっくり読んでいるのですか?口で読むのではなく、目で読むことを意識しましょう。
■パラグラフリーディング
英語も日本語も、「論理」というのは同じ主張の繰り返しです(弁証法は除く)。文章全体、または段落の中に筆者の主張を示す文があり、その他の文は全てその主張の「言い換え(具体例)」、「根拠」、「想定される反論の論破」でしかありません。
そして、英語の場合、嬉しいことにその主張を示す文(トピックセンテンス)のほとんどが段落の最初の文になっております。
英語を読むのが速い人はトピックセンテンスを掴んだ後は、他の文を「これは具体例」「これは根拠」「これは反論の論破」といった感じで、サラッと流し読みをしているのです。
英文を読むのが速い人と同じ読み方をするには、もちろん高い英語力が不可欠です。しかし、この「上級者の読み方」は英語力を上げるだけでは決して身に付きません。英語とは別に自分で「上級者の読み方」を訓練しなければならないのです。
4. 情報を拾い取るのが上手
センター英語の大問6にかける時間の目安は15分と言われております。しかし、速い人は10分以内に解き終わっております。速い人に共通しているのは「答えになるところだけを読む」点です。先に問題を見て、問題の答えになる部分だけを拾い読む感じで読んでおります。それ以外は流れをつかむ程度の流し読みです。
彼らの頭の中を現すとこんな感じです。
問題「メアリーはいつ東京駅を出発したか」
エリート受験生「メアリー、東京駅、時間・・・あっ、この文か。答えは朝9時で③」
英語の長文読解は日本語のテストにするとかなり簡単な問題です。答えははっきりと問題文に書いてあります。現代文のように「書いてある文から順序立てて答えを求める」といった高度な読解力は求められません。
拾い読みでも充分解ける程度の文章です。稀に拾い読みだと間違えてしまうひっかけ問題も出て来ますが、しっかりと英語力が備わっておりますと、すぐにひっかけだと気付く問題ですので、あまり気にする必要はありません。
5. 基礎がしっかりと身に付いている
センター英語は幅広い知識を浅く見つけている人より、必要最低限の知識を完璧に身に付けている人の方が高い点数を取れるように出来ています。
以下の2人を例に挙げます
得意科目:英語 難関私立を受験するために、高校英語の範囲を越えて、英検準1級レベルの英語を勉強している。
Bさん
得意科目:物理 理系志望で、英語はそこまで得意ではない。せめて基礎知識だけはしっかりと身に付けて、英語で差が付かないようにしている。
この場合、高い点数が取れるのはBさんです。
センター英語は高1~高2レベルです。それ以上の知識は必要ありません。それよりも、センター英語に出るところだけを徹底的に定着させ、どのような問題も10秒以内に解けるようにした人の方が高い点数がとれます。
幅広い知識を持った人の方が英語力自体は高いかもしれませんが、使わない知識をたくさん持っていても役に立ちません。センター英語の問題は「即答」が基本ですが、難しい英文をいくら読んで勉強しても、それを使わないわけですから、センターの問題を「即答」できるようにはなりません。「即答」できるようにするためには、高校1年~2年の英語の問題を条件反射的に答えが出るくらいまで繰り返し演習しつづける必要があります。
センター理科・地歴・公民は、2次対策がそのままセンター対策にもつながります。しかし、英語のセンターで躓いている人は、センター英語はセンター英語として2次対策とは別に対策しなければなりません。
6. 英語を英語で捉えている
「英語を英語で捉える」とは、日本語を介さず英語の意味をそのまま理解することです。日本語を介するプロセスを省けば、それだけ読むのも速くなります。
返し読みをせず英語をスラスラ読むためにはこの技術を習得しなければなりません。日本語訳に頼っていては、いつまで経っても返し読みから卒業できません。センター英語を早く解き終わるためには必須の能力です。
しかし、ここで気を付けなくてはならないのが、「英語を英語で捉える」=「日本語を使うな」ではないということです。私たちが日本人である以上、思考の基本は全て日本語にあります。「日本語を使うな」は「考えるな」と同義です。英語を英語で捉えているつもりでも、頭の奥底では日本語を使って解釈しているのです。
「英語を英語で捉える」を意識し過ぎると読んだ英文が「ただなんとなくぼやけた情報」にしかなりません。さらにその「ぼやけた情報」を「英語で捉えているからだ」と採るは危険です。実際それで問題を解いてみると分かりますが、全く解けません。
それでは「英語を英語で捉える」とはどういうことなのか。それを以下に説明していきます。
「英語を英語で捉えるとは」仲介になる日本語をショートカットして意味を捉える、もしくは日本語のプロセスを素早く行うことです。
日本語の仲介を速くする方法は訓練のイメージが付くと思います。日本語のプロセスを極限まで速くし、英語を英語で捉えているのと同じ状態に限りなく近づけていきます。しかし、問題はショートカットの方です。
「日本語のプロセスをショートカットする」。
この手の話で良く例として挙げられるのが「リンゴ」です。
「apple→リンゴ→ではなく、apple→
にしろ」と英語の先生たちは簡単そうに言います。しかし、これですと、抽象語の解釈は難しく、かえって日本語で考えた方が簡単な場合もあります。
そもそもショートカットとはどういうものなのでしょうか。
ここで言うショートカットとは、「はしょる」という意味です。ある作業に完全に慣れてしまったので、途中の段階を省略することを言います。つまり、ショートカットをするためには「ショートカットをしないプロセスを完全にマスターする」必要があるのです。
最初から英語を英語で捉えようとしてもそれは不可能です。日本語訳をしっかりできる者でしか英語を英語で捉えることはできません。初めのうちは日本語を介しても良いのです。多くの英文に触れていくと、次第に慣れていき、自然に日本語のプロセスが無くなっていくのです。しかし、この時でさえもその理解のベースにあるものが日本語だということを忘れてはいけません。
7. まとめ
おそらくこの記事を読んだ人の中には「時間短縮の裏ワザ」を期待して読んだ方も多いと思います。しかし、ここで挙げたテクニックや勉強法はあくまで、「速く解ける人の特徴」を挙げたに過ぎません。土台となる英語力は必要ですし、ここで挙げた解法を習得するのもかなりの努力を要します。
この夏を機に、「センターの達人」になれるよう勉強を頑張ってくださいね。