絶対に知っておきたい私立文系数学を選ぶメリット&デメリット
私立受験といえば3科目受験、文系は英国社、理系は英数理ですが、文系の中にも数学を選択することが可能です。
文系数学は数1A2Bの範囲から出題され、「文系だけど数学が好き、得意」という人が使います。
今回はその文系数学を選択することのメリットとデメリットを含めながら受験する上での必須知識を紹介します。
1.文系数学の特徴
文系数学の特徴といえば数学1A2Bまでの範囲から出題という点が代表的ですが、理系数学と比較する際、出題範囲とは別に少し異なる点があります。
理系数学は圧倒的な計算量が求められ、ゴリゴリと計算し続けるのに対し、文系数学は発想力が求められます。
文系数学は「いかに計算を避けるか」「計算量が少ない解法をとる」「計算が楽になるように式を変形する」「計算よりも文章で論理的に証明する」という流れに持っていける発想力が鍵になることが多いです。
よって計算処理が好きな理系の人が文系数学を解いたときに不快感や苦手な感じがするなんてことも珍しいことではありません。
2.文系数学のメリット
文系数学の最大の利点は早慶上智以外の大学では社会科目に比べて難易度が圧倒的に抑えられている点です。
GMARCHも含め、大半の大学の文系数学は教科書の章末レベルの問題や、易しめの参考書に出てくるレベルが多くを構成しています。
なかには骨の折れる問題もありますが、差がつきにくいのが現状です。
青チャートが網羅できているならば、まず数学で失敗することはなく、むしろ満点近い点数を得点することは容易に可能です。
第一志望がMARCHや日東駒専の人や国立の併願としてMARCH等を受ける人で数学が苦手でないならば文系数学での受験がかなり有利でしょう。
また、大学では文系でも数学を使う授業は多くあります。経済系や商学は数学を使う学問なので、数学を扱っていることは学問の上で非常に有意に働きます。
3.文系数学のデメリット
一見、至れり尽くせりのように思える文系数学ですが、デメリットが重いのも特徴です。
まず、早慶上智では難易度が跳ね上がることです。
例えばMARCHでは以下のような内容の問題構成だとします。
大問2 三角関数
大問3 確率
大問4 ベクトル
大問4 微分・積分
それが早慶上智になるとどうなるかというと
大問2 確率
大問3 数列
大問4 指数関数&対数関数
大問5 空間ベクトル
大問6 微分・積分
一見変わらないようにも感じますが
同じ時間内で計算量が2〜4倍になっていたり、教科書にないような発想を使ったり、違う分野同士の融合問題が出題されたりします。
ほぼ全ての問題で骨の折れる問題が出題されるようになり、小問集合はほぼ出題されません。
次のデメリットは、受験可能な学部が減ることです。
例えば早稲田大学の一般受験を例に挙げると
文化構想学部 不可
文学部 不可
教育学部 不可
商学部 可
社会科学部 可
人間科学部 可
スポーツ科学部 可
国際教養学部 可
このように文学部、文化構想学部、教育学部など人気の高い学部を受けることができません。
同様に慶應義塾大学では
経済学部 可
法学部 不可
商学部 不可(地歴科目が必要)
総合政策学部 可
環境情報学部 可
文学部、法学部、商学部は受験ができません。
このように文系色の強い人気の学部は数学受験ができません。
よって文系数学で受験したいなら、文学系統や法学系統を目指していないことが条件となります。
受験勉強中に志望学部が変わることは珍しいことではないので、学部の幅が狭まるのは将来の可能性を減らすことにもなりかねません。それを覚悟して選択しなければなりません。
さらにセンター利用で不利になりがちです。
センター試験は地歴公民の方が数学と比べて得点が取りやすいと言われています。
ある程度勉強すればセンター社会で9割を超えることは難しくありませんが、数学は時間がシビアな上に1Aと2Bの2科目あります。
9割を簡単に取れる人なら話は別ですが、センター利用受験では得点調整がされないので不利と言えるでしょう。
最後に、志望校に理系が併願してくることが難点です。
文系数学で受験できる学部は国語が簡単なら理系(特に国立志望)でも受験可能ということになります。
特に国語で差がつかない学部や慶應経済のように英数小論文で、数学で差がつきやすい学部は理系の人は比較的併願しやすいです。
よって数学が得意な理系も同じ学部を受験することは珍しいことではありません。
4.文系数学の選択をおすすめしない人
上記のデメリットから、以下のような人は文系数学の選択を避けたほうが無難かもしれません。
・法学や文学を学びたい
そもそも多くの大学で一般受験できません。
・乱れ打ちで早慶上智のどこかの学部に行きたい
早慶上智の乱れ打ちでは数学受験が受験できる学部の数の関係で不利です。経済学系統を目指していて数学が得意科目なら文系数学でも十分見込みはあります。
・なんとなく、苦手じゃないから
適当に数学を選択して後悔する文系数学受験者は毎年多くいます。選択科目はよくよく考えましょう。
5.文系数学の参考書
最後に文系数学を学習する人向けのおすすめ参考書を紹介します。
基礎編
・チャート式(黄)
定番の参考書です。問題量が多いため、演習が足りないということにはまずならないですが、高3から使うのは非効率的です。
難易度 ☆☆☆
問題量 ☆☆☆☆☆
解説のわかりやすさ ☆☆☆
・基礎問題精講
チャート式よりも軽く、かつ良問が揃っています。無駄がなく、無難で優秀な参考書です。
難易度 ☆☆☆
問題量 ☆☆☆☆
解説のわかりやすさ ☆☆☆☆
・文系の数学 重要事項完全習得編
解説が非常に丁寧で数学が苦手な国立受験生も使うべき参考書です。理系の人にも入門編としておすすめです。
難易度 ☆☆☆
問題量 ☆☆☆
解説のわかりやすさ ☆☆☆☆☆
応用編(早慶上智受験の人)
・チャート式(青)または Focus Gold
定番かつ優秀な参考書です。これが網羅できているならばあとは過去問演習で十分です。とにかく量があるため、高3から手をつけるのは避けるべきとの声が高いです。
難易度 ☆☆☆☆
問題量 ☆☆☆☆☆
解説のわかりやすさ ☆☆☆
・標準問題精講
青チャートの重要な部分をまとめたような問題を揃えています。問題量も程よく、取り組みやすいです。
難易度 ☆☆☆☆
問題量 ☆☆☆☆
解説のわかりやすさ ☆☆☆☆
・文系の数学 実戦力向上編
難関国公立や早慶受験生向けで、非常に丁寧でわかりやすい解説がある参考書です。問題量はやや少なめで高3の夏明けからでも十分に取り組めます。重要事項完全習得編を使ったなら次はこの参考書がおすすめです。
難易度 ☆☆☆☆
問題量 ☆☆☆
解説のわかりやすさ ☆☆☆☆☆
・文系数学の良問プラチカ 数学Ⅰ・A・Ⅱ・B
早慶難関学部や一橋、東大クラスの問題を多数揃えた文系数学の参考書の中でトップクラスの難しい参考書です。この本を完成させればそのまま過去問にいけますが、1冊目として買う参考書ではないので注意!
難易度 ☆☆☆☆☆
問題量 ☆☆☆
解説のわかりやすさ ☆☆☆☆
・大学への数学 1対1対応の演習シリーズ
受験数学に必要な知識をまとめ、良問を揃えた非常に優秀な参考書です。レイアウトや解法に多少癖があるものの、しっかり勉強すれば必ず力になります。薄い参考書なので高1生〜浪人生まであらゆる受験生に対応できます。
難易度 ☆☆☆☆
問題量 ☆☆☆
解説のわかりやすさ 個人差があります
6.さいごに
これで文系の選択科目にて数学を選択する覚悟ができたでしょうか。もし、少しでも躊躇いがあるならしっかりと考えるべきです。逆に数学受験に自信のある方はどんどん演習をこなして力をつけましょう。