アクティブ・ラーニングで変わる大学受験〜損しないための注目ポイント〜

文部科学省の主導で近年進められつつある「大学入試改革」。

2020年度から実施予定だった国語や数学の「記述式」や英語の「民間試験利用」が見送られたこともあり、改革の具体的な予定についてはまだまだ不透明なところが多いです。

ですが、2022年度に高校に入学する学生からいくつかの科目で新課程が導入され、2024年度入試から新課程の反映された共通試験が実施されるとの予定については、いまのところ進められている様子。

顕著な変化が現れるのは特に文系科目で、国語・英語・公民・地理歴史・情報の5科目です。

これについては、「大学入試改革 2024年度」などで検索していただければ、詳細をみることができます。

各科目についての詳細な紹介・検討は別の機会に譲ることにして、ここでは、すべての科目の改革のキーワード「アクティブ・ラーニング」に注目して解説したいと思います。

アクティブ・ラーニングとは

アクティブ・ラーニングとは文字通り、「積極的な学習」のこと。生徒の主体的なコミットメントによって成り立つ学習のことです。

わかりやすく言えば、先生の話を聞き・ノートを取り・テストを受ける…といったこれまでの教育のシステムにおいて、生徒が「パッシブ(受け身)」である面が多くを占めていたのに対して、今後はもっと生徒の参加する授業をやろう、ということです。

アクティブ・ラーニングによる試験問題への影響とは?

試験にどういう変更点が出てくるかというと、主に次のような能力が問われる点です。

実社会で使える知識

顕著なのは、英語での「コミュニケーション語彙・表現」の重視や、国語での「企画書・計画書の作成」や、「スピーチ・インタビュー文の出題」などです。

データを元にしたリサーチ能力

英語・国語・地歴公民のすべてで、グラフや図表の読み解きが出題予定です。これは、データ・数値を元に事象を理解するという、サイエンティフィックなスキルの獲得を目指しています。

選択式の見直し

これも全科目で、今までの単純なマークシート式が見直されています。記述式の導入は見送られたものの、これから再度実現される可能性はあります。

また、正解の選択肢が複数用意されることもあります。これらは、自分で正解を選びとる能力を問うことを目的にします。

以上の変更点が学生にとってどんな変化を及ぼすでしょうか。

まず、「暗記」や「詰め込み」といった勉強法は、従来のパッシブな勉強法の権化として忌み嫌われていると言えます。そのため、いわゆる一夜漬け的な勉強が通用しにくくなり、むしろスキル面の育成が大事になるでしょう。

また、「当てずっぽう」ができなくなるのはもちろん、「消去法」の効果がかなり下がることになるでしょう。受験生にとっては、実践的には結構大きな変化ではないでしょうか。

アクティブ・ラーニング導入の問題点

でも、アクティブ・ラーニングの実施は基本的に「授業をどうやるか」という話で、「苦労するとしても先生の側では?」と思うかもしれません。

もちろん先生は先生で苦労するでしょうが、生徒も同じくらい苦労を抱えることになるでしょう。それも、「授業中ボーッとしていられなくなる」とか、「発言機会が多くなって面倒」とか、そういう授業内の苦労に限らず、大学入試に直接関係するような苦労です。

つまり、この点にアクティブ・ラーニング導入の最大の問題点があると言われるのですが、文科省が求める水準のアクティブ・ラーニングをどの程度実現できるかは、学校・クラス・教師といった本人以外の環境に依存するということです。

学校側が改革の理念とポイントをどの程度理解して、新しい教育に順応してくれるか。教師がどのくらい本気で生徒と共に学んでくれるか。あるいは、議論・討論にオープンな、関係良好なクラスかどうか。

こうした点が、アクティブ・ラーニングの実現にはどうしても関わってきてしまいますが、それでも、全学生は同じように、アクティブ・ラーニングを身につけている前提の試験を受けることになるわけです。

すると、たまたま恵まれない環境にある学生は、たまたま恵まれた環境にある学生よりも、かなり不利になるという点は否めません。(もちろん、この記事でその政治的問題を咎める気はないですが。)

各学生にとっては、これまで以上に周囲とのコミュニケーションの中で学ぶことが大事になる、周辺環境の整備が重要になる、という点を抑えておきましょう。

アクティブ・ラーニングで損をしないための心構え

以上のように、アクティブ・ラーニングは、周辺環境に恵まれない個人にとっては、その「しわ寄せ」を被りかねない側面をもっています。

それでも、家庭・人間関係・学校・塾などの環境は、なかなか自由に変えることのできないデリケートなものです。だからこそ、個人でできる心構えが重要になってくると思われます。

できる限り多様な人とコミュニケーションをとり、見聞を広める

コミュニケーションや実社会的知識が問われる試験においては、広い意味での「コミュ力」が問われる場面が多くなります。

もちろんコミュ力といっても、友達を作るとか場を盛り上げるとかの類のものではなく、多様な意見に触れ、自分の意見をもち、生産的な議論を交わすことです。

授業や課外活動や塾などでそうした場をもつことができれば、一番望ましいことです。

ですが、やはりこれは環境次第。どうしてもそういう空気にならない友人関係もあるでしょう。

もし家族と社会的・政治的な問題を話し合うことができるような関係なら、そうした会話を心がけてみるのも意義があるかもしれません。

SNSを使ってみるのもいいと思います。使い方は気をつけなくてはなりませんが、同好の士が見つかれば、議論の経験も深まります。

いずれにしても、議論の場を設けること、そしてこれが実現しにくいものでも、少なくとも心がけとしては、他人と対話をシミュレーションをしておくこと、これがまずは大事でしょう。

人に教える・伝える・説明する

もっと具体的な勉強法としては、友達や後輩に勉強を教える場を持つといいでしょう。

教えることは、自分の考えを言葉で伝えることであり、わかりやすく説明することです。

教えることを通じて自分の理解が深まり、アクティブな学びを得ることができます。

自分の知識の穴を見つけることもできます。自分では気づかない盲点というものを、人に教えてもらういい機会と捉えましょう。

手を動かしてモノを書く

最後に、一番実践的で実現可能な勉強法ですが、自分で科目のまとめや、それについての疑問・感想などを書いてみるといいでしょう。

ノートにまとめを書くだけでも、ただ教科書を見て暗記するよりも頭を使います。そして、言葉の使い方というものが身についてきます。

もちろん、まとめをちゃんとしたドキュメントとして作成して仲間内で共有したり、ブログに投稿したりするのも有益です。

ただしこのとき、一冊の教科書を丸写ししないように注意しましょう。それだとあまり自分の頭で考えたことにならないからです。最低でも2つ以上の資料(教科書+プリントとか、教科書+資料集とか、教科書1と教科書2)を並べて、それを一つの脈絡のなかに落とし込むのがおすすめです。

まとめ

アクティブ・ラーニングの導入には、生徒個人が周辺環境に影響されやすくなるという大きな問題があります。

こういう点で損をしないためには、アクティブ・ラーニングを得るために、自分自身がアクティブになることが重要です。いうまでもないですが、アクティブに勉強をする機会を受け身で待っていてもしょうがないということです。

そのためには、友人・家庭・SNSなどをうまく活用して、自分の学びを発信し、共有する場面を増やしていく心がけが有益だと言えるでしょう。

著者情報

究進塾 編集局

究進塾 編集局
東京・池袋にある究進塾の編集局です。受験指導のプロが大学受験に役立つ情報をお届けしています。 大学受験対策コースはこちらからご覧いただけます。

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